すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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国際市場で逢いましょう / 국제시장

62点/100点満点中

2014年の韓国映画。1425万人もの観客動員を果たし歴代2位(1位は同年の『バトル・オーシャン 海上決戦』)を記録している大河ドラマ。監督脚本は2009年の1位を獲得した『TSUNAMI -ツナミ-』(歴代でも現在11位)のユン・ジェギュン。主演は『黒い家』『生き残るための3つの取引』『ベテラン』(ちなみに歴代3位)のファン・ジョンミン。主人公を支える親友ダルグは『ベテラン』では上司役だったオ・ダルス。兵役時代のナム・ジン役は東方神起のユンホ。

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1950年12月朝鮮戦争・興南撤収の混乱の中で、父ジンギュと幼い妹マクスンと生き別れた少年ユン・ドクスは、母と残された幼い弟妹と共に釜山・国際市場にある親戚の家に身を寄せる。1963年12月、ドクスは家計を支えるため西ドイツの炭坑に出稼ぎへ。どんなに辛く困難な時でも父から最後に教わった家長としての責任を果たすべく家族を一番に考え頑張り続ける。
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人口5000万人の韓国で1425万人の観客動員を記録し大ヒットした作品であり、一応は見ておこうと思うのが韓国映画ファンとしての務めかと鑑賞してみたが、これは同国の人しか見られない類の作品だろう。その歴史を幼い頃から肌身で共有していないとかなり厳しい。外国の人間がここから歴史を学ぼうとするのは良いだろうが(韓国人が西ドイツに出稼ぎに行っていたという事実は知らなかった)、130分と長丁場とはいえ1950年から現代までとそれなりに長い時間を描くとなると、朝鮮戦争休戦直後編、西ドイツ炭鉱編、ベトナム戦争編、1983年のテレビ番組「離散家族を探します」編と掻い摘みながらの駆け足になってしまうのだ。

政治に口を挟むこともない。主人公たちは一般市民であり、政治よりも明日の糧がまず問題になる。唯一あるのがベトナム行き直前の70年代中盤(朴正煕大統領・第四共和国の頃)で、夫婦喧嘩中であっても国旗掲揚させられるシーンか。行わないと非難の目で見られるという演出がある。気づけたのはそれぐらい。

離散家族の再会シーンはさすがに胸が熱くなるし、主人公ドクスが"本当に辛かった"と写真の父に語りかけるシーンには韓国人の万感の思いが込められているのもよく分かる。人の一生分の長さの時間が戦後から流れようとしている中で、繁栄と同時にそうした時代の記憶が薄れていくのを、個室でひとり泣くドクスと彼の一族がリビングで楽しそうにしている姿を対比させるクライマックスの演出が如実なように、ドクスが韓国現代史をどう生き抜いたかを描くことで先人の苦労のおかげで現在の成功があると理解させるが、その姿勢はかなり教育的であり、万人に向けて作られているがために難しい表現は排される。子供から年配まで誰が見てもここは笑うところで、ここが泣くシーン、怒る場面とセリフからも音楽からも容易に共感できるよう考えられている。そうした直球の分かりやすさを追求し過ぎた結果のわざとらしい演出や音楽、主要俳優はともかく脇の子役や外国人俳優たちの大根ぶり、邦画以上に製作費は注ぎ込んではいるのだろうけれど、扱う題材が大き過ぎて、どうしてもしょぼくならざるを得ないCGやミニチュア撮影、あるいはグロテスクな老けメイク等々のおかげで、この130分間は相当の我慢を強いられる。

5人にひとりが見た計算になるわけで韓国人にとっては熱狂できる素晴らしい作品なのだろうが、その国民だけが納得すればいい映画もあるのだろう。それと、先日の『私の少女』に続き、今回も東アジア系の出稼ぎ外国人が西ドイツ編の導入部に登場する。日本には伝わってきていないが、韓国国内では外国人との軋轢が高まっているのだろうか。それともたまたまなのか。少し気になった。
2016.03.11 Friday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
私の少女 / 도희야

69点/100点満点中

2014年の韓国映画。『リンダ リンダ リンダ』『空気人形』『クラウド アトラス』のペ・ドゥナ(1979年生まれ)と、『アジョシ』『冬の小鳥』で高い評価を受けたキム・セロン(2000年生まれ)の共演作。サスペンスドラマ。監督は本作が長編デビューとなる女性監督チョン・ジュリ。ゲスな存在を好演するパク・ヨンハ役は『人類滅亡計画書』でペ・ドゥナと一応共演しているソン・セビョク。原題は"ドヒよ"。

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ソウルから海辺の寒村に所長として赴任してきた若い女性警視イ・ヨンナムは、継父パク・ヨンハから日常的に暴力を受ける女子中学生ソン・ドヒと出会う。村では彼の虐待は問題にされず、反対に唯一の若い働き手として重宝されていた。ドヒを守るために尽力するヨンナムは酷くなるばかりの状況を見かね、夏休みの間自宅で預かることに。
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簡潔にまとめれば、都会から来た若い女性が閉鎖的な田舎町で虐待される少女を救う話。"閉鎖的"であるよう演出され、野卑な雰囲気をたたえるものの、"偏見に満ちた"とまではならないので(階級的なこともあるのだろうが、好意的に、というよりもフラットにか、見ている同僚が多い)、よそ者ヨンナムが疎外され追い詰められるまではないのだけど、イヤ〜な感じが常に醸成されていて最後までなかなか見終えることができなかった。田舎に行ったら襲われた系のホラーは好きだけど、真綿で首を絞められるように包囲網がじわじわ狭められていく設定は苦手。

村社会に異物として混入したことでできる軋轢が作り出す嫌さの他に、もうひとつ漠とした怖さが余韻として残るのは興味深い。ドヒを救った若い警察官ですらも幼い彼女に対し恐れにも似た感情を持っていることに、ヨンナムは彼女を村に残せないと感じたわけだけど、その警官の憶測は正しいのかもしれない。ドヒは長年虐待を受けてきて、愛情の求め方からして歪み(自傷行為等)、また自らの身や新たな庇護者を守るためせざるを得なかったという側面があるにせよ、継父を直接的にハメる前段からすでに準備を仕込んでるわけで(ヨンナムに一度罪をかぶせる)、かなりのしたたかさだ。ドヒはただ可憐な少女ではない。そうしたことを全て理解し、だからこそ少女を助けなくてはならないという善なる精神が主人公を突き動かしたと捉えることは可能だけど(まあそれが普通か)、この先のことを考えると見目麗しいふたりの女性の単なる救済の物語では終わらない不気味さを覚えるのだ。

それもこれもハン・ヒジョン(한희정/Han Heui-Jeong)のアコギに乗った柔らかい歌声が、冒頭と同じ雨の中を走る車と共に流れ出し、こわばった体を優しく包んでくれて楽にはなる。

キム・セロンは『冬の小鳥』や『アジョシ』の頃に比べると成長しずいぶん大きくなり、相変わらず巧いのだけど、ペ・ドゥナと一緒に風呂へ入る場面や継父とのクライマックスシーンなど、気をまわし過ぎで撮り方のトリックだと分かっていても幼児ポルノぎりぎりな気がして落ち着かない。記事を書くにあたり、女性監督だったと知り、その辺りの安心感もあったのだろう。カンヌの「ある視点」部門で上映されたらしいし、欧米での評価はどうだったのか知りたい。
2016.03.11 Friday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
コンフェッション 友の告白 / 좋은 친구들

59点/100点満点中

2014年の韓国映画。クライムドラマ。原題は"良い友人たち"の意。

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お調子者のインチョル、正義感の強いヒョンテ、ドジなミンスの3人は、中学卒業式をさぼり遊んでた山で遭難事故を経験したことで一層強く結ばれ、成人しても変わらぬ友情が続いていた。損保の営業マン・インチョルはゲーム賭博店を経営するヒョンテの母キム社長と彼には内緒で火災保険契約を結ぶ。さらにふたりは放火事件を装った保険金詐欺も計画。彼はミンスを誘い、実行するが、キム社長が死ぬ事態に。何も知らないヒョンテは進展しない捜査にしびれを切らし、自ら犯人を探すべくインチョルとミンスに協力を依頼する。
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テンポが悪過ぎる。泣き落としとまではいわないが、変に情感を込めた演出が多く、無駄に尺を使う。その割には主役の3人以外への待遇が悪く、インチョルの女友達は彼にとって都合がいいだけの女性というだけではなく、物語の中でも人格など何もないかのように好きなように扱われるし、インチョルを追い詰める同じ会社の特別調査部チーム長シン・イスも同様で、亡くなったキム社長に金を貸していた高利貸しリュ社長、あるいは警察も同じように3人の物語を悲劇に導くための便利な部品と化している。

臆病で女性にはすぐに手をあげ、始終怒鳴りちらし、しかもクチャラーなインチョルが軽率で短絡な思考が生み出した犯罪は、全盛期のコーエン兄弟映画のように悪い方に転がっていく。嫌いにはなれない展開ではあるものの、上記したようなご都合主義が如実過ぎて、友情と保身の板挟み的な折角の醍醐味も薄れる。ただ長いだけだ。クライマックスで判明する音楽プレイヤーにまつわるエピソードはいい隠し味だが、そういったワザが随所に発揮されていれば違ったはず。
2016.03.09 Wednesday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
コールド・バレット 凍てついた七月 / Cold in July

64点/100点満点中

ステイク・ランド 戦いの旅路』や『肉』のジム・ミックル監督による2014年のサスペンススリラー。主演は2006年から2013年まで続いたTVドラマシリーズ「デクスター 〜警察官は殺人鬼」で主役を演じたマイケル・C・ホール。共演に『MUD マッド』『8月の家族たち』『ファーナス/訣別の朝』のサム・シェパード、「特捜刑事マイアミ・バイス」や「刑事ナッシュ・ブリッジス」のTVドラマで人気を得たドン・ジョンソンら。保安官レイ・プライス役は監督の相棒として過去作でも出演&脚本を担当しているニック・ダミチ。DVDスルー作。

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1989年テキサス州東部の小さな町。額縁屋を営むリチャード・デインは、自宅に深夜侵入した青年フレディ・ラッセルを射殺してしまう。正当防衛と判断され、お咎めはなかったが、フレディの父ベンは彼に怒りを露わにする。幼い息子ジョーダンの身を案じ、リチャードは警察に協力を要請。万全の警護にも関わらずその夜、何者かが自宅に押し入り逃走する事件が起きてしまう。
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110分という時間にしては大きく展開する物語になるが、ジム・ミックル監督はテンポ良く進めていく。主人公一家が標的にされる話、警察の陰謀、ヒューストンへの移動、フレディの正体、アジトへの襲撃。どれも意外性があり、中弛みがないよう新たな人物の出し方もよく出来ている。ただ、全体として見た時に、例によって原作小説は未読だけど(これまでに8度もブラム・ストーカー賞を受賞しているジョー・R・ランズデールの『凍てついた七月』)、おそらく筋書きを追いかけることに一生懸命になり過ぎた印象を受ける。

父親ふたりのそれぞれの息子への対応が描かれる。ひとりは懸命に守り、ひとりは涙しながら罰する。最愛の存在でありながら後者を選ばなければならなかった苦しみはしっかり描かれるし、俳優の良い演技も披露される。でも、それだけの大きなドラマが脚本のただの一要素としての扱いで終わってるのが残念だ。これまで幾度となく見てきた凡庸な演出ではなく、一切の躊躇いなしで撃つシーンはかなり惹かれるものがあるが、そのクライマックスの導入部にある、自分が持つ拳銃を掴まれ自分を撃ちそうになるというありがちに過ぎる演出からの赤く染まる色調などテレビドラマ的な安っぽさに辟易させられたことも影響しているのだろう。

それと、1989年という中途半端に古い時代を舞台にする必要があったのか最後まで疑問だったのだけど、原作小説について検索したら同年にアメリカでは出版された作品だったようだ(翻訳はその10年後)。現代劇に変更して良かったと思う。リチャードのえり足を伸ばしている当時のダサい髪型が気になってしまったから。
2016.03.08 Tuesday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
リピーテッド / Before I Go to Sleep

60点/100点満点中

ニコール・キッドマン主演の2014年のサスペンスミステリー。共演にはコリン・ファース、『記憶探偵と鍵のかかった少女』『イミテーション・ゲーム』のマーク・ストロングら。製作費2200万ドル。

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事故の後遺症で朝目覚めるたびに前日までの記憶をなくす記憶障害を負ったクリスティーン・ルーカスは、夫ベンから献身的に支えられ生活している。ベンの出勤後、担当医を名乗るドクター・ナッシュから電話がある。治療として夫に内緒でビデオ日記を撮影するよう指示してきたと告げ、その隠し場所を教わる。早速再生したクリスティーンは障害の原因が事故ではなく、何者かに襲われたためと知る。夫と医師の説明はまるで食い違い、何を信じていいか混乱するが。
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それほど悪い出来ではないし、役者も揃ってる。が、ドキドキさせられるシーンはあっても、やや平坦なまま、キッドマン・ファース・ストロングが演技をしてるなぁで終わってしまう。デジカメの録画機能を利用し、隠されていた事情が少しずつ判明していく展開など悪くないし、こいつが悪者だろうと思っていた人物がそのまま犯人であってもひと工夫はある。

それでは一体何が悪いのか?同じく普通の主婦を演じた『ラビット・ホール』の時とは違い、今回のニコール・キッドマンは野暮ったい髪色と髪型で役になりきろうと努力してしまい、いつもの輝きがない(隠している)のが原因に思える。どうせ平板なサスペンスになるなら、往年のハリウッド映画のそれのように市井の主婦にこんなオーラを放つ人はいないだろうぐらいの無理があっても、キッドマンの本来の美貌を楽しめる演出で良かったのでは?
2016.03.07 Monday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
パージ:アナーキー / The Purge: Anarchy

67点/100点満点中

2014年のSFスリラー。『パージ』の続編。監督脚本は引き続きジェームズ・デモナコ。製作費900万ドル。

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2023年アメリカ。1年にひと晩だけ殺人を含む全ての犯罪が合法となるパージ法のある社会。パージ開始まであと数時間と迫る中、娘カリと共に低所得者地域に暮すシングルマザーのエヴァは病気の父の行方を気にし、別居に向けた話し合いが進む夫婦シェーンとリズは高速道で車が故障してしまう。一方、亡くなった息子の仇をとることだけを考え生きてきた男は完全武装し、装甲仕様の車で街へと繰り出す。
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製作費が3倍に跳ね上がったことで、宇宙船内の攻防から宇宙基地での"戦争"になった「エイリアン」シリーズのように、あるいは高層ビルでの縦ロールからより広い空港を舞台に横スクロールなった「ダイ・ハード」シリーズのごとく、スケールアップがしっかり図られている。続編は駄作との例の定説から増えた製作費を有効活用することで脱却しようという努力は報われたといっていい。

前作から1年後を描く続編とはいえ、話そのものに繋がりはなく、サンディン一家は登場しない。この1年で何が起こったのか説明されないが、失業率が5パーセント以下に抑えられた近未来はその前年が1パーだったわけで、もしかしたら陰りが見えているのかもしれない。ともかく、9年前に就任し"新しい建国の父"と称えられるD・タルボットが少し姿を見せたり、今回のパージが第6回だったりと世界観が少し明らかになる。さらに重要なのはパージ法が"貧困層の排除を狙った政策"でしかなく、抵抗しようと呼びかける黒人活動家カルメロの存在だ。

一軒家を舞台にしたシチュエーションスリラーから、見知らぬ3組が偶然一緒になり無法地と化した一夜を無事生き残れるかというサバイバルスリラーとなり、派手に機関銃がぶっ放され、車両は火柱を上げ、パージを善行と捉える人たちの狂気が渦を巻く様子が映し出される。

一番盛り上がるはずの人間狩りが、そういう設定で仕方ないと理解しつつも、闇が深すぎて何が何やらな演出になっているのは残念だ。またパージ法には裏ルールがあるなどといきなり説明されても(彼らの存在意義の解説が必要だったのは分かるが)、もともと幼稚な設定で鼻白むギリギリのところで保ってる作品だけに、色々明かすのは結構だけどそのバランスには難しさがある。

今年7月には3作目が公開されるようで楽しみ。反パージの活動家カルメロが政府を転覆させる物語になるなら面白いと思ったけれど、しかしそれでは『ハンガー・ゲーム』か。
2016.03.06 Sunday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
アサイ 『木根さんの1人でキネマ』第1巻

2016年1月発売。

これは楽しい漫画。30代の女性映画ブロガーがその強過ぎる映画愛を全力で語るコメディ漫画で、取り上げられる映画が小憎たらしいフランス映画とか小難しいインディーズ作品ではなく、超有名大作がメインなのが良い。1作目からして『ターミネーター3』で、次はマイケル・ベイ監督、ウィル・スミス主演の『バッド・ボーイズ2バッド』。

"血が飛び散ったり、爆発したり、ドンパチしたり、人が死ぬ映画ばっか見るように"なったという回想や、"私が面白いと思った映画こそが最高に面白い映画なのよ!"(このブログの存在意義を的確に表現してもいる)など、パンチラインばかりで本当に面白い。それと、映画をネタにしているということで、各回の"未公開シーン"があったり、エンドロール後のおまけ映像のような話が足されている構成もいい。

残念なのは、ビジネススーツになぜか下着が透けてたりなどの不自然なサービスカットが結構あることか。そもそもこの表紙がアレだ。そんなことしなくても勝負できる内容の面白さだと思う。
2016.03.06 Sunday 23:58 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
パージ / The Purge

69点/100点満点中

イーサン・ホーク主演による2013年のSFスリラー。製作にはマイケル・ベイの名前も。監督脚本は1998年『交渉人』で脚本を担当していたジェームズ・デモナコ。製作費300万ドル。

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2022年アメリカ。"新しい建国の父"が1年にひと晩だけ全て犯罪を合法とするパージ(浄化)法を施行したことで犯罪率や失業率が劇的に改善、米国はかつてない平和な時代を迎えていた。防犯システム会社の敏腕営業員ジェームズ・サンディンは妻メアリーとふたりの子供(娘ゾーイと息子チャーリー)と共に3月21日のパージの日を迎える。自慢の堅牢な防犯設備のおかげで何の心配もないはずだったが、家の前で助けを求める黒人男性をチャーリーが無断で入れたことで一変。彼を狩っていた若者たちが現われ、男を引き渡すようジェームズに迫る。
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2013年6月の全米映画興行成績で、2週連続首位だった『ワイルド・スピード EURO MISSION』を押しのけ、初登場1位に輝いたのが本作だった。興収3637万ドル(約35億円)は"ノンシリーズのR指定ホラー作品としては歴代最高のオープニング"成績だというし、日本でも知名度があるイーサン・ホーク主演作でもあり、すぐに日本でやるかと思ったら、これがなかなかなもったいぶり。翌年夏には続編『パージ:アナーキー』も初登場2位と好成績を記録し、ついにかと期待したら甘かった。日本では2015年に入り、『パージ』が7月18日、その2週間後に『パージ:アナーキー』の公開とあいなった。まあ興味も薄れて劇場には行かなかったのだけど、ソフト化は迅速で、その3ヶ月後。スクリーンで鑑賞しなかった身にはありがたい話ではある。なお、本国では今年の独立記念日に第3弾『The Purge: Election Year』(予告編)が公開だ。

1年で半日、夜の12時間(19時から翌朝7時まで)だけ全ての犯罪が自由に行える近未来という大きめの世界観を打ち出しつつも、主人公一家の自宅が殺人集団に襲われるというシチュエーションスリラーにすることで低予算によるしょぼさをうまく回避している。かくまってしまった黒人男性を若者たちに差し出すのに設けられた時間制限は焦燥感を煽り、自宅内とはいえ暗闇が作り出す緊張感など目新しさはないもののしっかり工夫はなされ、余計だとは思うが、主人公ジェームズ演じるイーサン・ホークの指示を守らず、家族たちがてんで勝手に動き回るため見ている側のストレスも順調に蓄積される。

冒頭で増加し続ける暴力事件のニュース映像を流す演出や"パージ"についてのラジオ討論、テレビが街の状況を映し出したりする演出は『スターシップ・トゥルーパーズ』を彷彿させる(あそこまでのブラックコメディさはないが)。現代アメリカが抱える問題を劇画化しているのだろうが、2013年製作の完全オリジナル脚本ということは、その翌年夏に起きた「マイケル・ブラウン射殺事件」やその後の一連の黒人への白人による差別事件は関係なく、それ以前から頻発していた銃乱射、同時にますます進んでいく格差社会の危うさを炙り出しているのだろう。

そうはいっても、パージ法が制定されたという設定は『リアル鬼ごっこ』の山田悠介が思いつきそうな荒唐無稽かつ幼稚さがある。しかし、暴力や残虐描写をきちんとエグさを持って映し出すことで説得力をもたらしているし、これほどのヒットになるとは思わず、続編の予定がなかったからこそできたオチだとは思うが、その思いっきりの良さも好感度を高める。それと、米大統領選への各党の指名候補争いが続く2016年現在から見ると、あながち・・・となってしまうほど笑えない状況なっているのが何より怖いのだ。
2016.03.05 Saturday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
ねむようこ 『ふつつかなヨメですが!』第1巻

2016年2月発売。

小学館の「スピリッツ」で昨年から連載が始まったねむようこの最新作。彼女にとって青年誌は初とのこと。

"高校2年生の小向大の家にやってきた兄嫁の小麦。新居が決まるまでの仮住まいだったはずが、兄・徹の急な海外出張で、そのまま同居することに。この兄嫁、かわいくて気の利く理想のお嫁さんかと思いきや、料理、洗濯が一切できないうえに、危険な秘密の過去まであって・・・"。

元ヤンキーだった過去も含めて、その猫かぶりを剥がされたくない小麦と、純情高校生の義弟・大、彼女を追い出したいブラコンの妹・紫との攻防といった今時ここで笑いを作るのかといったベタに過ぎるホームコメディ。SNSで以前紹介してもらった『とりあえず地球が滅びる前に』がホント面白くて、ドラマ化されてるのを先に見ている『午前3時の無法地帯』もこのねむようこと知って、過去作を少しずつ集めているところなのだけど、最新作は青年誌連載ということも影響しているのか、男性読者を意識し過ぎて正直この1巻を読んだ限りでは微妙。
2016.02.14 Sunday 23:58 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
小池ノクト 『6000 (ロクセン)』全4巻

2011年3月発売。      2011年9月発売。      2012年3月発売。

2012年8月発売。

現在は新作『マッシュルーム』を掲載している幻冬舎の月刊誌「月刊コミック バーズ」で2010年11月から2012年9月まで連載していた深海を舞台にしたホラー漫画。私は古本で揃えたのだけど、新刊にはハリウッドで映画化という帯が巻かれていた。そのニュースを伝えるナタリーの記事を読んで、小池ノクトが兄妹によるユニットだと知る。映像化権が買われたからといって必ずしも作品化されるわけではないけれど、もしそれなりの製作費をかけて作られるなら楽しみ。

6千メートルの深海にある施設を3年ぶりに再稼働することになり、手伝いで降りた主人公が直面する恐怖を描く。逃げ場のない閉鎖空間で、3年前の閉鎖の原因となった謎の事件が徐々に明らかとなっていき、精神的にまいるだけではなく、しっかりバケモノも登場させ、出し惜しみをしないホラーになってはいるが、深海で仕事をしようという技術者・科学者がどうして古代文明について絵が描けるほど詳しいのか?、他にも減圧の問題は?とか気になるところはある(粗探しでしかないが)。とはいえ、よくまとまっているし、読みやすい。
2015.11.10 Tuesday 23:57 | 漫画 | comments(0) | trackbacks(0)
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