すばらしくてNICE CHOICE

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Dragon Ash『LILY OF DA VALLEY』
1999年7月のサードアルバム『Viva La Revolution』で累計174.3万枚もの売上を記録し、
その勢いはとどまるところを知らない降谷建志。

9月、Sugar Soulのシングル『Garden』に降谷が客演し、オリコン初登場3位。
「LOVEマシーン」に阻まれて1位を獲得できなかったけれど、90万枚を超える大ヒット。
12月にもSugar Soulはシングル『Siva1999』をZEEBRAを迎えてリリースするが、
初登場10位。それでも売上は10万枚以上に。
ちなみに、2000年1月、お返しのフィーチャリングで、ジブラのシングル『ZEUS2000』にSugar Soulが参加するも初登場14位。売上も4万枚程度。

2月、降谷とBOTSが「Steady & Co.」名義でプロデュースしたMIHOのデビューシングルは、
CMのタイアップもあり、初登場12位。6万枚以上の売上と降谷の仕事には実績が伴った。
(彼女のセカンドシングル『OVER』にはBOY-KENが客演していた)

アルバムリリース後に2本の全国ツアーをこなしたドラゴン・アッシュは、ついに2000年3月15日に7枚目のシングル、
『Deep Impact feat.Rappagariya』をリリース。
初登場第2位。56万枚以上の売上。
降谷の"Hey! Yo, mother fucker 声を聞いたか"とやけにハーコーなライムで始まる。

"腐った情報の異常な混雑 抜け 貴重な音楽届けるDragon Ash"
というQのお墨付きをもらい、さらに自信を深め、ぶち上げたライムが、

"日本全土巻き込む暴動起こし 持ち上げるぜ Over ground
 先駆者が築いた音楽の土台 役者は揃った格好の舞台
 特攻隊長 Dragon Ash 次なる革命目指して進め"

フックでは高らかに、Q、山田マンと共に、
"日本を変える真の音楽と お前の鼓膜直接Contact
 心に響く凄まじい爆発音 いよいよ壁は無くなるぞ"

ただオリジナルのトラックよりもM2に収録のDJ KRUSHによるリミックスがかっこいい。
走馬党らしい分厚い鎧がすべてはぎ取られ、むき出しになった3人のラップが味わえる。
もしかしたら悪意があったのかもしれないけれど、それでも降谷のラップは悪くない。
押韻原理主義者のようなラッパ我リヤのふたりと遜色のないライムを放っている。
立派なものだと思う。

M3「Lily da Kid」では、確かに英単語を多用する甘いところはあるけれど、
ミクスチャーバンドでよく聴かれるラップよりもよっぽどしっかりしている。
なによりチャートや音楽業界を変えていきたいという理想を抱えているのがいい。

"いまだに引かれた Borderline マジくだらないやめようぜいがみ合い
 そんなこんなで世紀末迎え どんな困難もふっとばす
 たとえ旅の途中に不意の天誅かます輩さえもOut of 眼中"

M4「休日」は、それこそブッダブランドの「ブッダの休日」や
スチャダラパーの「彼方からの手紙」のような曲。

『Deep Impact』の翌週にジブラがシングル『MR.DYNAMITE』をリリース。
初登場第13位。2万枚以上の売上。
当時カウントダウンTVに出ていたのを見た。
ふたりのサイドMCを従え、フックの"一点突破"のところで、人差し指を突き上げ、
腕を上に振り上げるパフォーマンスが鳥肌ものの恥ずかしさがあったのを鮮明に覚えている。
6月リリースのジブラのセカンドアルバム『BASED ON A TRUE STORY』は、初登場3位。
売上げも25万枚以上。実力だけではなく、ドラゴン・アッシュ効果も確実にあった。

前作から4ヶ月後の2000年7月12日に8枚目のシングル、
『Summer Tribe』をリリース。
頭からっぽなサマーチューン。
M1のオリジナルよりもM2「-Komorebi Mix-」の、
夏の終わりを感じさせるトラックの方が好み。
よく言われるように、降谷のラップが明らかにジブラを意識したフロウとリリックに変わっている。
降谷らしさが完全に消えて、一瞬ジブラがラップしているのかと思うほど。
でも、それってそれだけラップする技術が巧くなったということだとは思うけど。
まあ、オリジナリティを何よりも大事にするヒップホップにはナシな話ではある。

スケボーキングのふたりのMC、SHUNとSHIGEOが客演した「EPISODE2」は、
今聴いた感想としては、懐かしい声が聴けて嬉しいということだけかな。
トラック的にはリップスライムのDJ FUMIYAがリミックスしたM4の方が楽しい。
「STEPPER'S DELIGHT」や「雑念エンタテインメント」につながる音を創り上げている。

このシングルの翌翌週にはドラゴン・アッシュ主催イベント「TMC」を機に、
2000年の期間限定で結成されたTMC ALLSTARSで、1枚のシングルをリリースした。
まだインディーズだったリップスライムに、スケボーキング、ラッパ我リヤ、Missile Girl Scoot、
PENPALSによるユニット。
とても正しいフックアップの形だと思う。
しかも14万枚以上の売上があげ、セールス的にもしっかり実績を残した。

順風満帆だった降谷に少しずつかげりが見え始めるのもこの頃だ。
8月23日にリリースされたDJ HASEBEのシングル、
「MASTERMIND feat.ZEEBRA & MUMMY-D」のRHYMESTER・MUMMY-Dのヴァースで、

"チェックしてみな言葉尻を 俺は巷で噂のマガイモン 誰かさんのコピーのバッタもん
 と比べんな ちゅうか比べてみっちゅうか 見りゃわかんだろ食われるか食うか"

降谷の庇護者であったはずのジブラと共に、MUMMY-Dが降谷をディスしているように聞こえる。

2000年11月29日リリースの9枚目のシングル、『Lily's e.p.』。

少しだけケチはついたけれど、ドラゴン・アッシュの人気は変わらず、
この曲も初登場第2位を記録している。
M1「Amploud」を聴くと、降谷のラップはもとのフロウに戻っている。
しかもこの曲では歌心のあるラップを披露していて、らしさが出ている。
バンドの特性を生かしたトラックもいい。

さらに、素晴らしいのがM2「静かな日々の階段を」。

"時にはなりふり構わずに生きよう 迎える朝 変わらずにまだ 陽はまたのぼりくりかえしてゆく
 窓の外は南風 洗い流してこの胸の痛みまで 過ぎ去りし日の涙
 時がやがて無意識の中連れ去るのなら 大事なのは光だけ
 あともう少しここにいたいだけ"

初期のミニアルバムにあったような日常を描く詩が復活した。
それが肩肘張らないゆるいラップに乗ると、ロックなアレンジよりも合っているように思う。

M3は「静かな日々の階段を (e.p. ver.)」とあるけれど、
劇的にトラックが変化しているわけでもなく、
フックをしっかり歌う分、M2のオリジナルの方がいい。

M4の「Amploud (Modern Beatnik mix)」は車谷(AIR)が自分の曲を使って、リミックス。
あんまり。
このお返しに降谷がAIRに参加したのが2001年3月リリースのシングル『Right Riot』。
こっちもあんまり。

2001年1月31日にリリースされたDJ OASISのファーストアルバム『東京砂漠』に収録された、
「ハルマゲドン feat.K DUB SHINE & ZEEBRA」でのジブラのリリック。

"どこの坊ちゃんだか知らねぇが 俺のサルマネだけなら要らねぇな
 BEATS TO THE RHYME 理屈じゃない ダセエくせに人前でキックすんじゃない
 お前の知らねぇ様々な四十八手 巧みに操った奇襲作戦開始"

と、今度はご本人からディスられてしまう。


そんな中、2001年3月14日にリリースされたのが、4枚目のアルバム、
『LILY OF DA VALLEY』。

ジブラに気を遣ったのか「Summer Tribe」はヒットしたにもかかわらず、収録されていない。

野暮ったいジャケットからも伺えるように、ほぼラップ曲でうまった作品。
トラックはドラゴン・アッシュの独自色がかなり強まっている。
特に、ラウドなギターを全面に押し出したサウンドはヒップホップ畑にはなかった。
この辺りはもう一度自分たちがどこから出てきたのか見直した結果なのだろう。

M2「21st Century Riot」にはこれまでになかった社会問題を取り上げるリリックが見られる。

"Yo 街じゃ悩める十代が ナイフ握り相手は重体だ さらにHighway乗っとりバスジャック
 「なら2万円」 援交かカスJap"
"Yo! またも手に取る賄賂に 最後には警官逮捕に 汚職政治家達がたいそうに
 嘘臭ぇし 「不正のないように」"

ただ、この後が続かず、まあ言ってみた程度のもので、基本は"百合のもとに集い革命"という、
これまで通りのコンセプトを最後まで押し通す。
英詩のラップがなくなったのはいいなと思う。

"そんな中に夢追う者同士 手ぇ組んだら ぜってぇもろ調子いい
 てめぇのケツはてめぇで持つべきだ そいつが分かる奴は突撃だ"

という歌詞をついつい取り上げて、揚げ足取りたくなるのは私の性格の悪さゆえだろう。

M5「Bring It」あたりは、ゴリゴリのリフが轟き、KORNあたりを意識していたのかな。

一転、M6「Sunset Beach」はアコースティックな音とブレイクビーツがきれいにはまった曲。
穏やかないい曲だと思う。
同じようにアコギを前面に出したM7「My Friend's Anthem」から、
M8「百合の咲く場所で」への流れはいい。

"生まれ行く千年紀の最初に飲み込まれないように 空を消し去っていく超高層 人々は徒競走
 終わりある人生でも夜を越そう つかみとれるさ 今日こそ Yo"
"Yo 生き抜くのは困難で 誰もが皆そうなんで
 ほらね それでも黄色い肌 誇り歌うただ"

ただ、M8はサビで急にパンク精神を思い出すのが、ちょっと。
このあたりにドラゴン・アッシュの自由さがあったりするのだろうけれど。

M5に方法論が似ているM9「Aim High」を聴いていると、
確かにだみ声で語尾を下品にし、英単語を多く取り入れるライムは、
この頃のジブラのスタイルに通じるところがある。
(さすがに「Summer Tribe」ほどそっくりではない)
好意的な見方をすれば、それは降谷のいくつかあるスタイルのうちのひとつでしかないんだけど。

荒々しい曲が2曲続いて、シングル曲のM11「Deep Impact Ft.Rappagariya」、
さらに同じくシングルになった「静かな日々の階段を」。
「静かな日々の階段を」はやっぱり「e.p. ver.」よりも、
アコギの力強いコードストロークで始まるオリジナルの方が好きだな。

珍しくシーケンスが使われた、本編最後の曲「Lily of da Valley」(M15)。
"祈りは口より出で来ずとも誠の思いは閃くなり"などと、
若干古い言葉の使い方をした歌詞がメロウに歌われる。

M16「Outro」を経て、初回限定版にのみ収録された「EPISODE2 (Album ver.)」の後、
16分47秒の無音があってから始まるシークレットトラックは「花言葉」。
これはいい曲ではないか。
隠しトラックにしておくのはもったいないと思う。
きれいにミクスチャーされている。

"百合の花が一人 戦場に気高く白い 涙一枚落とし 願い散りゆく頃に"
"変わらない愛でごらん上を見て 黒、白、黄の手を決して離さずに
 気が付けば雨はやんで キレイな空があった キミは髪を拭いて言った キレイな空だね

 そう星を射抜いてやれ キミのやり方で ほら 少し高くあげた 手と手離さずに"

歌詞もいいし、「Lily of da Valley」よりもこっちを最後にもってくれば良かったのに。


恒例。国民投票によってこのアルバムから選ばれたのは前作と同じく8曲と最多。
第2位 「百合の咲く場所で」
第6位 「静かな日々の階段を」
第16位 「花言葉」
第17位 「Deep Impact feat. Rappagariya」
第35位 「Bling It」
第38位 「Lily of da Valley」
第42位 「Sunset Beach」
第48位 「Revolater」

シングルのみの発表だった「静かな日々の階段を (e.p. ver.)」は第34位。 
「Summer Tribe」は第37位。
2007.08.31 Friday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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