すばらしくてNICE CHOICE

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宮部みゆき『楽園 (上・下)』

読了。
☆☆☆☆☆/5点中

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"模倣犯"事件から9年。いまだショックから立ち直れずにいるフリーライター・前畑滋子のもとに、
荻谷敏子という女性が現れた。12歳で死んだ息子に関する、不思議な依頼だった。
少年は16年前に殺された少女の遺体が発見される前に、それを絵に描いていたという。
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「模倣犯」は後編で失速し、残念な作品になってしまったけれど、
この新作は「火車」「理由」に並ぶ傑作になった。
1行目から最後の最後まで、それこそあとがきまで、しっかりあんこが詰まっている。

事件の複雑さや謎解きなどのミステリー要素もさることながら、
ページをめくらせる抜群のドライブ感の要因はやっぱりキャラクター造形の深さ。
平易な言葉のみで、生き生きと人物が描かれ、さすがのひと言。

スティーヴン・キング趣味を発揮したかのような超能力モノは苦手だったけれど、
この作品ではそのスーパーナチュラルな力とミステリーが巧みに絡み合い、
お互いの良さがうまく出ている。
異能な"力"を持ったがうえの悲しみや、その"力"があるからこその謎解き。
でも、"力"があるからといって、すべての謎が解けるわけではなく、
そこには人と人の実際のつながりがあって、それがこの作品のリアルさに結びついている。

一点だけ、最後までどうしても理解できなかったのが、滋子が事件に関わっていく理由だった。
本文中にはいくつか書かれてはいるのだけど、それではどうも納得いかなかった。
でもまあ、それは事件が進むにつれ、次第に気にならなくなることではあるけれど。

「模倣犯」よりも、被害者側の混乱、同時に加害者側の家族の困惑等々が、
しっかり描かれている。

いやいや、久しぶりに全編楽しんで読めた素晴らしい作品だった。
宮部みゆきはやっぱりすごい。


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宮部みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都江東区生まれ。法律事務所勤務ののち、小説家に。
1987年、「我らが隣人の犯罪」で第26回オール讀物推理小説新人賞受賞。
1988年、『かまいたち』で第12回歴史文学賞佳作入選。
1989年、『魔術はささやく』で第2回日本推理サスペンス大賞受賞。
1991年、『龍は眠る』で第105回直木賞候補。
1992年、『龍は眠る』で第45回日本推理作家協会賞受賞。
      『本所深川ふしぎ草紙』で第13回吉川英治文学新人賞受賞。
      『返事はいらない』で第106回直木賞候補。
1993年、『火車』で第6回山本周五郎賞受賞。
      『火車』で第108回直木賞候補。
1996年、『人質カノン』で第115回直木賞候補。
1997年、『蒲生邸事件』で第18回日本SF大賞受賞。
1998年、『理由』で第120回直木賞受賞。
      『理由』で第18回日本冒険小説協会大賞国内部門大賞受賞。
2001年、『模倣犯』で第55回毎日出版文化賞特別賞。
2002年、『模倣犯』で第5回司馬遼太郎賞受賞。
      『模倣犯』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
2007年、『名もなき毒』で第41回吉川英治文学賞受賞。

1989.02 『パーフェクト・ブルー』(東京創元社)
       →創元推理文庫
1989.12 『魔術はささやく』(新潮社)
       →新潮文庫
1990.01 『我らが隣人の犯罪』(文藝春秋)
       →文春文庫
1990.04 『東京殺人暮色』(光文社・カッパノベルス)
       →光文社文庫
1990.09 『レベル7』(新潮社)
       →新潮文庫
1991.12 『龍は眠る』(出版芸術社)
       →新潮文庫
1991.04 『本所深川ふしぎ草紙』(新人物往来社)
       →新潮文庫
1991.10 『返事はいらない』(実業之日本社)
       →新潮文庫
1992.01 『かまいたち』(新人物往来社)
       →新潮文庫
1992.02 『今夜は眠れない』(中央公論社)
       →C・NOVELS →中公文庫 →角川文庫
1992.06 『スナーク狩り』(光文社・カッパノベルス)
       →光文社文庫
1992.07 『火車』(双葉社)
       →新潮文庫
1992.09 『長い長い殺人』(光文社)
       →カッパノベルス →光文社文庫
       『とり残されて』(文藝春秋)
       →文春文庫
1993.03 『ステップファザー・ステップ』(講談社)
       →講談社文庫
1993.09 『震える岩 霊験お初捕物控』(新人物往来社)
       →講談社文庫
1993.10 『淋しい狩人』(新潮社)
       →新潮文庫
1994.04 『地下街の雨』集英社
       →集英社文庫
1994.07 『幻色江戸ごよみ』(新人物往来社)
       →新潮文庫
1995.05 『夢にも思わない』(中央公論社)
       →C・NOVELS →中公文庫
1995.07 『初ものがたり』(PHP研究所)
       →PHP文庫 →新潮文庫
1995.09 『鳩笛草』(光文社・カッパノベルス)
       →光文社文庫
1996.01 『人質カノン』(文藝春秋)
       →文春文庫
1996.10 『蒲生邸事件』(毎日新聞社)
       →文春文庫
       『堪忍箱』(新人物往来社)
       →新潮文庫
1997.11 『天狗風 霊験お初捕物控2』(新人物往来社)
       →講談社文庫
       『心とろかすような マサの事件簿』(東京創元社)
       →創元推理文庫
1998.06 『理由』(朝日新聞社)
       →朝日文庫・新潮文庫
       『平成お徒歩日記』(新潮社)
       →新潮文庫
1998.10 『クロスファイア』(光文社・カッパノベルス)
       →光文社文庫
2000.04 【共著・室井滋】『チチンプイプイ』(文藝春秋)
       →文春文庫
       『ぼんくら』(講談社)
       →講談社文庫
2000.07 『あやし 〜怪〜』(角川書店)
       →角川文庫
2001.04 『模倣犯』(小学館)
       →新潮文庫
2001.08 『R.P.G.』(集英社文庫)
2001.11 『ドリームバスター』(徳間書店)
2002.03 『あかんべえ』(PHP研究所)
       →新潮文庫
2003.03 『ブレイブ・ストーリー』(角川書店)
       →角川文庫
       『ドリームバスター2』(徳間書店)
2003.11 『誰か』(実業之日本社)
       →光文社・カッパノベルス
2004.06 【絵・黒鉄ヒロシ】『ぱんぷくりん 鶴之巻』(PHP研究所)
2004.06 【絵・黒鉄ヒロシ】『ぱんぷくりん 亀之巻』(PHP研究所)
2004.03 『ICO 〜霧の城』(講談社)
2005.01 『日暮らし』(講談社)
2005.06 『孤宿の人』(新人物往来社)
2006.03 『ドリームバスター3』(徳間書店)
2006.08 『名もなき毒』(幻冬舎)
2007.05 『ドリームバスター4』(徳間書店)
2007.08 『楽園』(文藝春秋)
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2007.09.01 Saturday 23:59 | | comments(0) | trackbacks(1)
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