すばらしくてNICE CHOICE

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スピッツ『ハヤブサ』

2000年7月26日リリースの9枚目のアルバム。

前作から2年4ヶ月ぶりの作品。
1999年冒頭に出された初のセルフプロデュースのシングル『99ep』があったので、
ギターポップ路線からロック路線にシフトを変えているのかなという予測はあった。
1999年はカップリング集の『花鳥風月』とファンクラブ限定のミニツアーがあるだけで、
10月には初となる海外レコーディング(LA)で、さらにロックな曲を意欲的に作られていた。
しかし、12月にメンバーや所属事務所の同意もなく、レコード会社の意向で
ベストアルバム『RECYCLE Greatest Hits of SPITZ』が出されてしまう。
が、そんなこんながある中で、共同プロデューサーに石田小吉を迎え、
『ホタル』、『メモリーズ / 放浪カモメはどこまでも』とシングルを発表し、
ついにリリースされたのが本作。ひときわハードロック指向のスピッツがいる。

親しみのあるメロディのスピッツからギター中心の硬質なサウンドへ移ってしまった今作は、
当時からあまり聴くことはなかった。
が、今回「甘い手」が流れているときに、たまたまボリュームを大きくしてみて、びっくり。
草野マサムネの高く伸びやかな声と深く深く鳴らされるベースが共存していたのだ。
今さらといえば今さらだけど、とても立体的な構造をもつ曲が並んでいるのに気づいた。
「甘い手」は確かに歌詞が直接的で、詩を楽しむタイプの曲ではないけれど、
草野の声をひとつの楽器として捉え、その響きを楽しめば、各パートの演奏技術も相まって、
かなりの名曲だった。

爆音で聴くと、他にもM3「いろは」がとてもいいことに気づかされる。
特にベースの踊るように駆け抜けるフレーズが素晴らしい。
M4「さらばユニヴァース」でも楽器と化したボーカルがギターサウンドに融け込み、
インストを楽しむ感覚で聴ける。

演奏とアレンジがいいのだろう。
同じギターロックを指向した『99ep』や海外レコーディングの「ムーンライト」、
「春夏ロケット」ではこの立体感はなかった。
セルフプロデュースの限界だったのだろうか。
今回石田小吉が参加したからこその変化なのか。
それとも『色色衣』の特別対談で語られていたようにミキサーの影響もあったりするのだろうか。
プロデューサーやミキサーがどこまで音に変化をもたらすのか知らないが、
聴けば聴くほど音の細やかさや新しい発見に気づかされる曲たちで、実に素晴らしい。

「あじさい通り」に似た感じで、どこか懐かしいメロディの「HOLIDAY」もやっぱりいいし、
歌詞も好き。
在原業平の「世の中に絶えて桜のなかりせば〜」を連想させる、
"もしも好きにならなければ 幸せに過ごせたのに"のところとか。

ギターの三輪テツヤが作曲し、石田小吉と作り上げたインストのM8「宇宙虫」も
就寝時に、そのスペイシーなアルペジオの重なりをひとつひとつ追っていくと、
すぐに寝付けること請け合い。

続くM9「ハートが帰らない」の五島良子の声がきれいに草野の声に絡まり、良すぎ。
歌詞の意味なんて気にならなくなる。
やっぱボーカルも楽器なんだと再確認。
オルガンの響きも幽玄の境地へ連れて行ってくれる。

M10「ホタル」は逆に、これまでのスピッツらしくメロディを重視し、演奏を組み立てる曲で、
このアルバムの中では少し浮いている。名曲ではあるけど。
ボコボコ這うようなベースは好き。

M11「メモリーズ・カスタム」はシングル時にはセルフプロデュースだったが、
大サビを石田が作曲し、再アレンジ&再レコーディングされた曲。
サビでのギターリフの単調さは変わっていない。
こんな風にいかにもハードロック・フォーマットといったアレンジがこれまでも多々あったから、
スピッツのロック路線は好きになれなかったのだろうなと思う。

ベース・田村明浩作曲のM12「俺の赤い星」が意外といっては失礼だけど、いい。
草野の声の伸びをきれいに聴かせるメロディで、自分は大人しく弾いているのも面白い。

でも、次の「ジュテーム?」は反則だろう。

"別にかまわないと君は言うけど / 適当な言葉がみつからない
 ジュテーム・・・そんなとこだ

 君がいるのは ステキなことだ / 優しくなる何もかも"

こんな歌詞を弾き語りで歌われた日には、全面降伏するしかない。
じっくり声に集中したいから、胡弓はなくても良かったかな。


最新アルバムの発売前に一通り聴き直してみて、本当に良かった。
過小評価していたこの作品を発見することができた。
音楽家として様々なアイデアを織り交ぜた作品で、
草野のメロディメイカーや詩の才能だけがスピッツではないのだ、
と力強く証明したアルバムだと思う。
ひょっとして『インディゴ地平線』も爆音で聴くと、違う音が見えてくるのかな。


シングル『ホタル』
M1「ホタル」はプロデューサーに石田小吉を迎えた最初の曲。
セルフプロデュースのM2「ムーンライト」はアルバム未収録。
色色衣』に収録される。
B面の見本みたいな曲で、『インディゴ地平線』の頃の曲に近い。
初の海外レコーディング作品、M3「春夏ロケット」もセルフプロデュース。
同じくアルバム未収録で、『色色衣』に収録。
             "最後のニトロで飛ばせ / 狂った火花で飛ばせ飛ばせ"
              という威勢のいいサビのある性急なロック。
             『惑星のかけら』期に似ている。ラストではギターがフィードバック。

シングル『メモリーズ / 放浪カモメはどこまでも』
M1「メモリーズ」は、「春夏ロケット」と同じ海外レコーディング。
セルフプロデュース作品だったが、石田小吉作曲による大サビ("嵐が過ぎて知ってしまった〜")を加えて、再アレンジされたのが、アルバムに収録された「メモリーズ・カスタム」。
              「カスタム」のどこかガンズを彷彿させるイントロは結構好き。
              『色色衣』収録。
              M2「放浪カモメはどこまでも」は石田小吉プロデュース作品。
              アルバムではジム・スコットによるリミックスバージョンが収録されている。
              シングルバージョンは今のところ、このシングルでしか聴けない。


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2000.04.26 22nd SG『ホタル』c/w.ムーンライト & 春夏ロケット
2000.06.21 23rd SG『メモリーズ / 放浪カモメはどこまでも』
2000.07.26 9th AL『ハヤブサ』
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2007.10.05 Friday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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2020.07.07 Tuesday 23:59 | - | - | -
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