津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』

読了。
☆☆☆/5点中
2005年の第21回太宰治賞受賞作品。
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身長175センチ、22歳、処女であることに戸惑う主人公。
就職が決まった大学4年生の卒業までの日常を描く。
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昔、ある音楽評論家が、
"ロックは自分の半径5メートル以内のリアリティを歌うべきだ"
とか何とか書いているのを読んだことがある。
この小説は半径3メートル以内のリアリティが描かれていて、
実際にはいない登場人物だったり、事件ではあるのだろうが、
本質的な苦悩、戸惑い、思考は作者のものとして読める。
だからこそ、非常に面白く読めた。
ただ、文章に強いクセのようなものがあり、ところどころ読みにくい。
同居人は半分ぐらいで投げ出してしまっていた。
一気に読めてしまうところと、遅々として進まないところが混在している。
私にはそれも含め書き手の体温が感じられ良かったのだけど。
いくつかの文章で村上春樹の匂いをかいだ。ほんの少しだけ『ノルウェイの森』の香りを。
レストランでトイレを我慢して、白い皿に有名便器メーカーのロゴが浮かび上がる場面や、
構内に散らばっている左翼チラシの裏をメモ代わりにすること、
ミスドの100円セールで1000円以上使う話、そのすぐ後のプレスリー話など、
にやって笑えるエピソードも多くて、楽しめた。
半径3メートルのリアリティを固守する主人公が、
そこから外界に向けて少しずつ触手を伸ばそうと努力し、
ゆったり成長していくラストは、嫌な話を最後の盛り上げにしてしまってはいるけれど、
それでも、いい方向を志す強さがあって良かった。