88点/100点満点中
2007年公開のギレルモ・デル・トロ監督作品(2006年)。
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1944年スペイン、内戦終結後も独裁政権に反発する人々がゲリラ闘争を展開する山間部。
再婚した母と共に、レジスタンス掃討の指揮をとる義父・ビダル大尉のもとへとやって来た
少女・オフィリアは、不思議な妖精に導かれ、牧神・パンと出会う。
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予告編やチラシを読んだときに、これは見なくてもいいなと思ったけれど、
巡回しているブログでの評判があまりに良くて、そうした作品は外れが少ない傾向があるので、
行ってみることにした。
ダークファンタジーというよりは、痛みを感じさせる描写が多く、ある意味ホラー。
少なくとも安易にファンタジーだからということで、子供を連れて行くと大変なことになりそう。
空想世界の生き物は全て、人間の価値観からいえば醜悪で、その点は大いに楽しめた。左が牧神・パンで、右が食人鬼。特にこの怪物の造形は秀逸。
ゲリラとの戦闘が激しくなり、辛い現実を突きつけられるにつれ、
オフィリアの空想──自分は妖精の国のプリンセスの生まれ変わり──が膨らみだす。
その描写の素晴らしさと現実の戦闘の残酷さの描き方は絶妙だった。
で、結論もアンハッピーエンディングではあるけれど、
マッチ売りの少女の最期のように妄想の中で幸せに死んでゆく。
戦時中のかわいそうな女の子の話。
それだけのような気もするけれど。
それよりも義父の扱いが酷かったように思う。
自分たちの主義を信じ、そうでない者を排斥する。
戦争なんてものはそういうものだろうし、
愛する我が子をさらった悪ガキ(礼儀知らずの義理の娘)に、
策略でもって催眠薬を飲まされ、意識が朦朧としている中で、
撃ってしまっても、それはしょうがないかと。
ファンタジー世界のイマジネーションは非常に素晴らしい映画だった。
オチも良かった。かわいそうな女の子はせめて彼岸の世界では幸せになって欲しい。
けれど、それはとてもありふれた話で、物語としてはイマイチ。
思っていたよりも自分の中でハードルを高くしていたのだろう。
それが失敗の第一の敗因だと思う。
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<ギレルモ・デル・トロ監督作品>
1992年 クロノス
1997年 ミミック【監督/脚本】
2001年 デビルズ・バックボーン【監督/脚本】
2002年 ブレイド2
2004年 ヘルボーイ【監督/脚本】
2006年 パンズ・ラビリンス【監督/脚本】
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