すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
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RIP SLYME『talkin' cheap』

1998年2月21日リリースのファーストアルバム。

2001年春に「STEPPER'S DELIGHT」でブレイクしてから聴き始めたので、
インディーズで出していたこのファーストアルバムを聴いたのはかなり後になってからだった。
「STEPPER'S DELIGHT」に「雑念エンタテインメント」、「FUNKASTIC」「楽園ベイベー」
とノリのいい曲のイメージが強く、どうしてもパーティーラップを期待してしまうグループだった。

けれど、本作の「白日」と「真昼の夢」に代表される、内省的なPES主導の曲がかなりいい。

"暖かい午後の日差しに揺り起こされ 少し遅めの朝食すませ
 開くスケジュール帳 今日の予定はNICE! 何も入ってない
 でもナイならナイで何もしないのはもったいないからまず
 服着替えてバッグしょって外とびだす アテもない金もない
 けれどもヒマもあるし羽をのばす 耳もとでハネ続けるビートに足どり合わせ歩く
 気付けば知らぬ間にたどり着く いつもの店でいつもの顔ぶれ
 ここに来ると「あぁオレは大丈夫だな」ってなる
 何も変わってないから またくだらない話で笑ってる 今夜も終わらない夜がふける"

M3「白日」でのペスのヴァース。
学生時代の牧歌的な一日を思い起こさせる。
一限からの授業なんて出られたためしはないし、
それが次第に2限、3限となっていき、ILMARIのリリックではないけれど、
"起きてはまた昼寝 今すぐ体重分地球にベッタリつき眠る"状態になっていく。
やがて起き出して、夕方から遊びかバイトに出かける毎日。
ここには私にとっての「リアル」だった日常が描かれている。

もちろんそんな毎日がいつまでも続くとは思ってはいない。
モラトリアム期間はあっという間に終わってしまうことは理解している。

"めくるめくスクロールする日々 何もかんも全部置き去りに
 タンマなんかあるワケもなく刻々と動くオートマティック・クロック
 おいてけぼりされそうなスピードで転がる世界はどっからどこへと"

という不安を抱えつつ、
"目の前にあるはずなのに すぐそばにあるはずなのに"
と「何か」を見つけようともがく。
M9「真昼の夢」でも、ペスは「ライナスの毛布」から抜け出る不安をラップする。

"ビリッケツも一等も関係ない世界に引きずり込まれたけれど
 ジャマもされない この今いる場面からの逃避
 逃げ続けられないって分かってるはずでも
 病気のように 働きバチよりマシ 思いよせるこの新しい街"

夏の真っ昼間に昼寝して見た、楽しい夢に逃げ込むけれど、
モラトリアム終了の文字がちらつき始めている。
でも、もう少しもう少しだけと、弱々しくイヤイヤをしてしまう。

イルマリのヴァースでも、
"暇さえあれば思う この先いったいどう変わるんだろう"や、
"逃げる場所はどこにも無い この広いはずの空はせまく迫り重たい"、
と将来への不安が鎌首を持ち上げ始めているのをしっかり察知している。
だけど、続くフックにあるように、
"まだ終わるには早すぎる もう少し後 それまではここで"
と精一杯の抵抗を試みる。
実に懐かしい気分なる。
キャンパスで色々悩んでいたあの頃のことだ。

"暑すぎる日々はどこに流れる まだ知らない空気を迎えてるって"。
イルマリの最後のヴァースでは、真夏の午睡もいつかは終わるし、
終わったからこそ知る全く新しい世界があることを確信している。

さらにペスの最後のヴァースで、その新世界も知りつつも、
でもやっぱり毛布も捨てがたいという正直な気持ちをさらけ出す。

"風が騒ぎ出した頃 僕はまだ歩きだしたところで右も左も行き止まり
 道標すらもないようなゲーム 今さらやめられたらと思うけど歯車は回ったままで
 あるか分からない二つの世界 僕はそのはざまにいる"

敷かれたレールだろうと自分で敷設したレールだろうと、
誰もがぼんやりと生きているわけではなく、
今この時が長く忙しいだろう人生で、唯一自由に遊べる時間だと知っているからこそ、
思いっきり脇目もふらずはしゃぐのだ。
後になってあの時勉強しておけばと後悔することも多々あるだろうけれど。
このアルバムに封じ込められたラップには、その後の世界が"せまく迫り重い"からこそ、
今を謳歌している雰囲気が見事に切り取られている。


まあ、ただラップは下手。
特にRYO-Zのは酷い。
イルマリとペスは比較的スムースだけど、フルアルバムサイズなので、
ちょっとそれはないのではという曲も何曲かある。
でも日本語でラップすることをかなり意識してやっているし、
彼らなりのディスも愉快で、今聴いてもかなり面白いアルバムだと思う。


1.Cheap Talk
  lyric:RYO-Z、PES、ILMARI / music:PES
2.Recess : Fellow
  lyric:KOHEI JAPAN / music:PES
3.白日 (ALBUM VERSION)
  lyric:PES、RYO-Z、ILMARI / music:PES
4.Fade Away
  lyric:RYO-Z、ILMARI、PES / music:PES
5.Zeek
  lyric:RYO-Z / music:FUMIYA
6.Searchin'
  lyric:PES、SU / music:ROCK TEE
7.サヨナラを言わせないで
  lyric:PES、RYO-Z、ILMARI / music:FUMIYA
8.風に吹かれて
  lyric:PES、ILMARI、TOOSHY、RYO-Z / music:PES
9.真夏に見た夢
  lyric:PES、ILMARI / music:PES
10.Recess : Bush
  music:FUMIYA
11.Tones
  lyric:PES、RYO-Z、ILMARI / music:YOGGY
12.At The Lounge
  lyric:ILMARI、PES、RYO-Z / music:FUMIYA
13.Recess : rub delight
  music:FUMIYA
14.真夏に見た夢 MUMMY-D REMIX
  lyric:PES、ILMARI / remixed by MUMMY-D
2007.11.10 Saturday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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