すばらしくてNICE CHOICE

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Hisomi-TNP『シュルデイズ』

2007年10月29日リリースのフルアルバム。

なにやら深遠なイメージのイントロが終わり、M2「ナクサカナ」が始まると、
その高速ラップに圧倒される。
最初に聴いたときは思わず笑ってしまったほど。速すぎるよ。
さながら『スターウォーズ』の冒頭でお馴染みの"遙か昔、遠い彼方の銀河系で〜"
という字幕が三倍速で過ぎ去っていくよう。
一つ一つの単語は聴き取れるものの、使われる言葉の意味性がありすぎるため、
まごついてしまい、文章としての意味が掴めやしない。

"正負全て起ることに理 取り残された心置いて表向きは大人に
 自分の声で繰り返す 言い聞かせる言葉に 夜空に星が目を覚まし始めた頃の月の隣
 記憶乗せるセルの輪廻 夢に溶ける現実 覚えるんだ 現在はもう来ないから
 古来から 記された筆跡は遺跡 蓄積から解放される時代二十一世紀"

いやいや、速くても言葉を聞き取ることのできるラップはすごいんだけど。

昨年、Shing02のライブにゲストで呼ばれて2曲ラップするのを見た。
速射砲のように放たれる言葉と押韻で作り上げるグルーヴが印象的たっだけれど、
それに加えて、意味のあるリリックだったことにすごいなと思った覚えがある。
だけど、本作に収めれている曲は総じて抽象的だったり、状景描写に終始していて、
心からグッとくる曲が少ない。
もしかしたら驚くほどの言葉量で物事の外枠を捉え、その捉え方・見方から、
慮れというスタイルなのかもしれないけれど、私にとってはこの量があるなら、
もっと赤裸々な「思い」を聴きたかった。

まあ、そうはいっても好きなタイプのラップではある。
M2「ナクサカナ」の"孤独のサーカス団"と喝破するくだりは秀逸なパンチラインだと思うし、
虚しさと悲しみを感じ取れる。

Q-ILLが客演のM3「色を忘れたカメレオン」では独特の言語感覚で、
日本の「今」を切り取っていて素晴らしい。

"雑踏 雑音 レインボーネオン並ぶダイニングテーブル
 like a 主人のいないノスタルジー列島 明日への迷路
 でも確かめながら踏みしめる移動 景観と伝統は発展と対象に
 無情に時代に消える開発の代償 溢れる広告と食物の腐食
 イカレタパッチワークで街を装飾される日々"

ほぼ同じテーマのM6「情報蟲」も巧い。陳腐になっていない。
M16「アンバランス隠れ処」は辛辣に皮肉っているけれど、オブラートに包み過ぎかなとも思う。
はっきり侮辱するところにヒップホップの良さがあったりするとも思うのだけど。

"気になるのは自分の位置ばかり 見えるところだけ入念に芝刈り 日溜まりに集めた偽善の塊
 頭には狸の皮の山 イメージ先行型の肥満人の欲張るよくある自己暗示"

"偏れば見方が狂うから 全てを見渡す"、と蝙蝠であることに誇りを持つ、
M10「逆説・仲間外れの蝙蝠」でもいいことを言っているし、
同じように、ニュートラルな立場で物事を"見定めろ"という視点は、
M12「paradigm shift」の、"ほんの一歩下がれば見えてくる"にも繋がる。

かなり賢いラップをする。
だからこそ、分析や風刺、毒舌だけではない、知識のフィルターを通さない、
むき出しの感情が迸るラップも聴いてみたくなる。
1分にも満たない小品M9「在ルガママ」のような曲がもっとあれば良かった。


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2001.12.31 『四面楚歌』
2002.06.15 『AS』
2007.10.29 full AL『シュルデイズ』
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2007.11.13 Tuesday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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2017.06.27 Tuesday 23:59 | - | - | -
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