11月28日リリースの7枚目のアルバム。
やるじゃん、リップ!
ってな言葉が思わず漏れてしまう、威勢のいいイントロにニンマリ。
いいねぇ。
移動遊園地という意味の"FUNFAIR"に相応しい始まりで、胸が踊る。
PESによるM2「NP」もM3「Bbubble Trouble」のハイブリッドなサウンドも最高。
前作のピコピコな音をかなり高次元に引き上げていて、かなりいい。
リリックなんてほとんど聴き取れないし、聴いてもいない。
トラックの音とそれにスムースに乗っかるフロウしか聴いていない。
ただ時々"ウコンも飲んどけ"とか聞こえてくるから面白い。
洋楽ヒップホップを聴く要領で楽しめる。
音いいなぁ。
M3なんて、なんだろう、The Neptunesやwill.i.amを楽しむ感覚に近い。
ロックンロールとヒップホップをまぜこぜにして、両方のいいとこ取りをしちゃった、
M4「SPEED KING」には言葉がない。
すげぇ。
テレビでこの曲をパフォーマンスしているのを見たときはたいしたことないと思ったけれど、
音源で聴くと、音の精巧な組み立て方に圧倒される。
DJ FUMIYAは全く衰えていない。
すげぇ。
ぶっ飛びなサビも、オレンジレンジのような何が何でも楽しんでやるぞという決意を感じる。
一転してアコースティックなサウンドに包まれるM5「Tales」は、
この手の音とメロウなリリックには定評があるPESによるトラックだけど、
そんなリリックを味わうよりも、やっぱりトラックに耳を奪われてしまうんだよなぁ。
音質も素晴らしい。
M6「残念ボーイ」でようやく初期のリップスライムらしい与太話面白がり、
DJ FUMIYAのインストを楽しんだ後に、再び変則ビートの「Evolution」。
Coma-Chiが参加しているけれど、トラックとリップのふたりの前ではされほど目立たない。
悪くはないのだけど。
今回はSUが特にいい。いつも以上に前に出ているように思う。
M8「Fa-a-ar」、M9「I・N・G」とDJ FUMIYAのビート。
トラックだけでご飯が何膳も進みそう。
メジャーでのファーストアルバム『FIVE』以来の才能の爆発では。
M9の楽しげなフックにはこっちも歌うしかないではないか。
ただ聴いているだけなんてもったいなさ過ぎる。
3曲目のインスト「Concourse2」で、DJ FUMIYAにまあ落ち着けと諫められた後は、
MONGOL800とのコラボレーション「Remember」。
モンゴル800を立てているような楽曲。確かにメロディメイカーとしての才能は感じるけれど、
まあ、そこはリップのアルバムに不要かと。
M13「熱帯夜」は文句なく名曲中の名曲。
この夏何度聴いたか分からない。
今聴くと確かにこのアルバムの音に繋がるのだなという楽曲ではある。
もっと生音が増えるのかと思っていたけれど。
タカツキの「nrecorods」からファーストアルバムを出しているSONPUBが参加した、
M14「StroboX」はゴリゴリしたビートととってつけたような上物の鳴りが楽しい曲。
フックはどうしても"バカバカバカ・バウンス"としか聞こえないけれど。
でも、そんな曲。
ラストはPESによる「流れの中で」(M15)。
閉園時間を告げるような落ち着いたインストが最後にあれば良かったかな。
久し振りに傑作だと思えるアルバム。
シングルには名作はかなりあるけれど、アルバム単位となると『FIVE』ぐらいか。
今作は捨て曲なしの15曲で、アルバムとして素晴らしい。
やればできるじゃん、リップ。