新井英樹『シュガー』全8巻








2001年15号〜2004年21号掲載(『ヤングマガジン アッパーズ』)
『あしたのジョー』に始まり、『1ポンドの福音』(ドラマになるとは本当に驚いた。映画もそうだけどテレビ業界もホント駒がないんだな)、『太郎』、『B・B』、『のぞみウィッチィズ』、『はじめの一歩』。ボクシング漫画もあれやこれやと読んできたけれど、どれもこれも主人公が地道に努力する話で、日本人が大好きな「道」になってしまう。「ボクシング道」だ。
この漫画は、ボクシングそのものが面白い。人間ドラマはもちろん濃厚(そこは新井英樹だし)にあるけれど、強いボクサーを強く、本質ではないリングの外のあれやこれやを切って捨てているところがとてもいい。総合格闘技の演出で、試合前に選手の生い立ちやら家庭の都合だとか、因縁だとかを紹介するけれど、あの一番つまらない部分がないのだ。この作品の中にあるセリフでいえば、"人格は二の次 ひたすら殴れ"だ。
こんなセリフもある。"ボクシングの本質的魅力とは、英雄待望であり、天才願望にある"。また、その"天才の美しさを見せつけるスポーツ それがボクシング"。ボクシングに限らず格闘技全般で同じことがいえると思う。だから、ファンは無敗の王者を讃え、ひたすら賛美を送るのだ。
そんな美しいボクシングが読める作品。江口寿史の『エイジ』も面白かったけれど、あれはいつもの失速で未完のままだし、この『シュガー』、続編の『RIN』は強く美しいままのボクシングを続けて欲しい。
"ゆるくねえ時に泣く奴は3流
歯喰いしばる奴は2流だ
笑え、果てしなく、そいつが1番だ"
<火の玉欣>