2007年11月14日リリースのファーストアルバム。
5ヶ月前に出したシングル「ここにいるよ feat.青山テルマ」がオリコンランキングで17位まで上昇し、累計で10万枚を越えるヒットになりそうだというのをあるブログで知った。先週だけでも5000枚の売上。シングルとはいえ、ヒップホップではすごい数字では。ただ、テレビで見る限り、女性ボーカルが歌うメロディはまあポップで悪くはないものの、ぼそぼそと低音の小声ラップは何を言っているのかさっぱり伝わってこず、その良さか不明だった。自己主張がない、目立たないラップも珍しいけれど、売れているという。
ならばとアルバムを聴いてみた。M1「DOGG POUND」からいきなりヘッドフォンに響くのはジブラ声(DMX声でも可)。がなりラップにハーコーな調子のリリックで少し唖然となる。同じ路線の曲はもう1曲だけあり、それがM5「First Contact」。"WackなMCすぐさま排除 一匹狼沸かすぜ会場 常に上昇 マジuntouchable どこの会場いつでも圧勝"という痛快なリリックが轟く。M5がデビューシングルで、M1がセカンドシングルだったよう。
これ以外の8曲はM2「ここにいるよ」とほぼ同じ路線で、メロウなトラックの上に語りかけるようなラップが乗る。ピアノの旋律がきれいなトラックだったり、ラテンフレーバーをまぶしてみたり、時にはすべて歌メロだけだったり、男の恋心をラップしてみたり、当たり障りのないピースフルをまき散らしてみたり、とても聴きやすい。ラップもスムースだから自然と耳に飛び込んでくる。
パーティラップ以外の売れるラップとはこういうものだと確信し、采配を振るった大御所プロデューサーの手腕を誉めるべきなのかな。川添象郎や佐藤博が深く音作りに関わっているようだし、彼らのツテによるのだろう、細野晴臣がM6「CASSIS」、高橋幸宏がM3「ID」、とそれぞれ楽曲を提供している。
しかもM1のPVには、YMOふたりにプラスでムッシュかまやつやミッキー・カーチスらが出演し、老いさらばえた姿を披露。よく分からない。芸能界の長老のお墨付きという感じなのだろうか。
これはこれでラップのひとつの在り方なのだろう。例えジブラに似ていても、エミネム風であっても、英語と日本語がちゃんぽんになっていても、音源では聴き取りやすい数種類のフロウを使いこなし、スムースでメロウでとっても分かりやすい。売れていることはいいことだ。
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2005.11.01 1st SG『First Contact』
2006.01.11 【再発】『First Contact』(2曲追加)
2007.02.28 2nd SG『DOGG POUND』
2007.06.20 3rd SG『rain』
2007.09.19 4th SG『ここにいるよ feat.青山テルマ』
2007.11.14
1st AL『Spirits』
2008.10.15 【SoulJa×Misslim】5th SG『記念日 / home』
2009.01.21 6th SG『ONE TIME feat. 一星 & 沖仁』
2009.02.25
2nd AL『
COLORZ』
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