2008年1月30日リリースの5枚目のアルバム。
前作からたった3ヶ月でもう新作。そのためか、ボーナストラック扱いのM13「Monkey see Monkey do」を入れても40分とコンパクトな作品。聴きやすくていいけれど。
リリースに先駆けて、YouTubeにアップされていたM5「Son gotta see tomorrow」が温かみのあるトラックに、聴き取りやすいフロウ、意味のあるリリックといい感じに仕上げっていたので結構期待していたのだけど、アルバム全体を評価すると微妙な作品になる。
前作の方がまだ変化に富んでいて面白い。
首を絞められたカラスがあげる断末魔のようなラップが聴けるM3「Lost Heaven」やM8「光」については特に言及しないとしても、THE SOURCE誌に書かれていた本来『
街風』で目指していた方向性──"ここ3年間ほどのごく普通の日々"を描いた作品がもっと詰め込まれているものと期待していたのだ。
けれど、蓋を開けてみればロックにありがちな表現者としての苦悩を綴った曲が多く、私にはそれがナルシシスティックなラップにしか思えなかった。そうはいっても、ラップにかける思い、世間からの評価について、『
街風』制作時の外野の指示に対しての困惑、羽目を外す遊び、空を眺めること、等々を率直に気負いなくラップする姿には嘘偽りのないSEEDAが感じられはする。
しかし、『
街風』でいえば「AROUND MY WAY」や「山手通り」のような路上の一詩人として街を歩き、変化を見つめ、そこから自身の生活・感情をも切り取り、リリックに落とし込む形で"ごく普通の日々"が描かれるものと勝手に期待していたところがあった。だから、ある種自己愛的なリリックは、熱烈なファンではない私には厳しいものがある。
楽しんだのは、M6「空」やM7「紙とペンと音と自分」、M9「I try」。ヘビメタバンドのアルバムに必ず1曲は入っているチャート要員のバラード曲のようなM10「Nyce Dream」も悪くない。
亡くなってしまったけれど、
刃頭のアルバムでもいい声を披露していたORITOの酔いどれ声が効果的で、この声があるからこそ、このアルバムはどこか温かい雰囲気を漂わせているのだと思う。
1.ヒダマリ (produced by Bach Logic)
2.自由の詩 feat. A-Thug (produced by Bach Logic)
3.Lost Heaven (produced by I-DeA)
4.Homeboy Dopeboy (produced by I-DeA)
5.Son gotta see tomorrow (produced by Bach Logic)
6.空 feat. LUNA (produced by I-DeA)
7.紙とペンと音と自分 (produced by Bach Logic)
8.光 (produced by I-DeA)
9.I try (produced by Bach Logic)
10.Nyce Dream (produced by I-DeA)
11.Mary Mary (produced by I-DeA)
12.Outro (produced by I-DeA)
ボーナストラック
13.Monkey see Monkey do