読了。
☆☆/5点中
第39回文藝賞受賞作品。
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"姉さん"に拾われて、"半沢良"になった僕。深夜のガソリンスタンドで働く日々だが、ある日、女性のお客さんから手紙を受け取る。いつもと少しだけ違う世界が、ひっそりと動き始める。
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中村航のデビュー作。
"姉さん"の半沢橙子といい、その親友の"山崎さん"も、もちろん物語の語り手"半沢良"やヒロイン"ウルシバラ"も、それぞれ描かれていない部分が多いのにもかかわらず、実に魅力的で、読みやすい文体ということもあり、あっという間に読めてしまう。
まあ、読み終えて感動したとか何かが変わったとかはないけれど、一風変わった青春小説ではあった。
1点、最後の方で、同僚の加藤さんに自分の本名を告げるシーンは蛇足かな。実際にそうなのかは分からないわけだけど、ファストフード店のエピソードから主人公の略歴は何となく想像できるわけで、そのぐらいの具体性があればいいのかなと思う。