すばらしくてNICE CHOICE

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ミスト / The Mist

100点/100点満点中

『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』のフランク・ダラボン監督が三度スティーヴン・キング原作を映画化。2008年公開作品。

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のどかな田舎町を襲った激しい嵐の翌日、デヴィッドは湖の向こう岸に発生した異様に深い霧に懸念を抱きながら息子と共にスーパーマーケットへ買い出しに出掛けた。するとやはり、その濃い霧は間もなく買い物客でごった返すマーケットに迫り、ついには町全体を飲み込むように覆っていく。
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これが今年ナンバーワンだね。決めるにはまだ早いような気もするけれど、これでいいよ。こんな映画になるとは思ってもいなかった。ラストの衝撃はとてつもなく重く、見終えた後に一駅分歩いてもまだまだ拭い去ることができなかった。本当の恐怖映画というのはこういうことをいうのだろうね。

スティーヴン・キングの作品はそのほとんどが映像化されているけれど、たいていが駄作に終わる。そういうものとして最近では見てもいない。そんななかで、今作のフランク・ダラボンが1999年に監督した『グリーンマイル』は、難しい長篇(キングの長篇だからその長さは他の作家の数倍の分量がある)の映像化にもかかわらず、映画としても見応えがあったし、人より長生きしなくてはならないという恐怖をしっかり描ききったところが良かった。

そのフランク・ダラボンが撮るわけだから期待が高まる。しかも中篇の「霧」(『スケルトン・クルー1 骸骨乗組員』所収)をだ。十数年前に読んだっきりの作品だけど、とても印象深くてよく覚えている。霧の中からなにか得体の知れないものが襲ってくる。それだけでもワクワクするし、ラストははっきりと示されることはないのものの、かすかに明るい未来を感じさせる閉じ方で、キング作品にしてはいい余韻があった。

で、実際のところはというと、オープニングは映画のポスター描く主人公が、赤いバラに筆を走らせているシーンから始まる。はるか遠くには黒い塔がそびえ立ち、手前の画面の大半を占めるのは、二丁拳銃の男──ガンスリンガーだ。ニヤッとさせられる出だしに思わず顔がほころぶ。

とはいうものの、霧が街を覆いだし、逃げ込んだスーパーマーケットを襲う、安っぽい触手が描かれる辺りから次第にげんなりしてきて、さらには超合金昆虫のようなモンスターとの制作費がかかっていなさそうな格闘も興ざめで、ダメダメ映画な予感がしてくる。

ところが、超自然な化け物よりももっと怖いのは人間自身であるという、例のお約束的な展開に物語が移った辺りから再びググググッと惹きつけられていく。聖書原理主義者のばばあ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)が本当にいい味を出しているのだ。

そして、ラスト。"映画史上かつてない、震撼のラスト15分"というあまりに定番な決まり文句もたまには当たることがあるのだ。エンドロールが流れ、音楽が少し早めに終わり、ヘリコプターのパラパラという音だけが場内に響き渡る館内で、私はひたすら待っていた。たった一発の銃声が轟けば、この胸の重みが少しは軽くなるのに、と。でも無情なフランク・ダラボンは淡々とエンドロールを終わらせてしまう。おかげで重い足どりで映画館を出て帰るはめになった。

1980年にホラーアンソロジーの一篇として発表された「霧」にはまだ甘さがあった。けれど、2007年版『ミスト』は非情で、容赦なく見るものを打ちのめす。現代社会の中でのこの作品の位置づけというものもできれば考察してみたいけれど、ようやく胸のつっかえが取れてきたので、ひとまず休みたい。


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<フランク・ダラボン作品(監督・脚本の映画のみ)>

1983年 スティーブン・キングの ナイトシフト・コレクション 【監督】
1987年 エルム街の悪夢3/惨劇の館 【脚本】
1988年 ブロブ/宇宙からの不明物体 【脚本】
1988年 ザ・フライ2/二世誕生 【脚本】
1994年 フランケンシュタイン 【脚本】
1994年 ショーシャンクの空に 【監督/脚本】
1998年 プライベート・ライアン 【脚本】
1999年 グリーンマイル 【監督/脚本】
2001年 マジェスティック 【監督】
2007年 ミスト 【監督/脚本】
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2008.05.11 Sunday 23:59 | 映画 | comments(2) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:59 | - | - | -
コメント
いやぁ〜100点ですねぇ
僕も文句なしです
前にコメントでも書きましたが、
救いの無いイヤ〜な話し大好物なんで
最高でした
正直nyantaさんのブログ読んで見に行こうと
思ったんで後味悪いラストというのは知って見ましたが
それでも十分楽しめました
僕も最初の触手とイケてない俳優陣に
これがnyantaさんの100点か?と
心配になりましたが全く問題なかったですね
僕的には霧から現れるモンスター達が
毎回種類が違ってて嬉しかったです
カット割りもそんなに良くなかったと思うんですが
話がしっかりしてればこんなに面白く見れるんですね
what's? | 2008.05.16 Fri 21:37
what's? 様

こんばんは〜。
や、珍しく合いましたね。

> 最初の触手とイケてない俳優陣
多分この辺でハードルがググッと下がったのも良かったように思います。主役の彼は結構下手でしたよね。言葉が分からないせいもあって、外人さんで下手だなぁって思うことはあまりないんだけど、今回は違和感を覚えながら見てました。

> カット割りもそんなに良くなかったと思う
そうなんですよね。上で書かなかったですが、カメラの動きがテレビドラマ的というか何だかなぁという感じだし、CMが入るのかと思うような暗転も多くて、マイナス点が多いにもかかわらず、"話がしっかりしてれば"いいんですね。

いやぁ、やられました。映画っていいですね。
gogonyanta | 2008.05.17 Sat 02:13
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