すばらしくてNICE CHOICE

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Shing02『「歪曲」新来』

2004年2月25日リリースのシングル。

今週発売される6年ぶりのニューアルバム『歪曲』。それに先駆けるという形で、リリースされたのがこのシングルなのだけど、4年も前の話である。遅々として進まなかったように見えるアルバムも、ようやく本当に本当に出されるようだし、嬉しい。

この盤に収録されているのは1曲のみ。しかもタイトルが付けられていない。M1は「音」、つまりインストで、M2が「言」。これがラップありの曲になり、ダブバージョンが収められたM3は「揺」となる。

7分14秒と長尺なこの曲はシンプルすぎるビートの上に、尺八が吹き渡り、幽幻を演出する。その上に乗るラップは"ラブソングアルバムになる"という予告通りに、狂おしくもいじらしく、最愛の人を求める言葉が連なる。一時の夢の話かと思えば、次第に実際のことなのかと思えるほどに言葉が迫真に満ちていく。

"良い詩だねの一言を空に浮かべる真昼の転寝 / 朧げな雲の淵に面影を重ね 指でなぞる仮染めの夢 / 夜霧に漕ぐ船 唯一の慰め 遠いあなたの胸 / 慈しむための言の葉もまだままならぬ / 貯める想い 窓が白むと共にいつ消えても尚懐かしむ"

小説で使われる言葉としてはまだしも、日本語ラップのリリックとしてはかなり古風な言葉を用い、物語を静かにスタートさせる。やがて、"全世界の悪を帳消しにするあなたの笑顔"と、想いを寄せる人の秀でたところをひとつひとつ挙げていく。眉、瞼、睫毛、瞳、鼻梁、くちびる、耳、髪・・・。

様々な色名を効果的に挿入させ、モノクロのトラックをややカラフルに染め上げ始める辺りから、視線は顔からそっと下に向かう。

"背中からうなじまでの窪み 夕暮れと同じ色のつぼみ / 桃色にすべて口づけ 深紅に染まれば息継ぎ / 粒が滴る初心な毛並に 幕に隠れる無垢な割れ目"

フック後のヴァースではさらにシンゴ2の視線、あるいはなぞるその手は淫らに乱れる。

"潜って見付けた一つの真珠 神秘に包まれた真実 / 広い床に横たわる珊瑚 底にある子(ね)の宮を散歩"

こうしてついに核心に辿り着いたShing02は"オットセイ"のごとく高くいななく。


巷にありふれたセックスソングとは大きく異なる。それだけは確かだ。「」を聴いたときも、日本語のヒップホップでここまで表現できるのかと驚いたものだけど、この曲も同様だ。言葉の数が制限されてしまうポップミュージックとは違い、心ゆくまで連ねることのできるラップならではの表現で、人を愛すること、その気持ちの大きさ、その真摯さを描ききっている。無尽蔵に語彙を持つシンゴ2ならではなのかもしれないが、それでもまだまだラップに可能性があることを証明している曲だ。

この曲に題名が付けられ、できればラップの録音レベルをもう少し大きめにして、新譜に収録されていると嬉しい。
2008.06.15 Sunday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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