2008年6月18日リリースのサードアルバム。
前作『
400』から6年と4ヶ月。長かった。春頃に発売日のアナウンスがされても容易には信用できないぐらいに疑心暗鬼に陥っていたほどだ。でも待った甲斐がある傑作に仕上がった。やっぱりShing02はすごいんだよ。
テーマ、その深み、言葉の選択、フロウ、押韻、そしてトラックメイカーとしての才。すべてに魅了される作品。いやいやベタ褒めになってしまうし、聴いていると自然と顔がほころんでくる始末だ。
シンゴ2は日本語ラップの幅をググッと押し広げている。本作を聴いていると、普段触れている日本語ラップが語るテーマ・言葉がいかに限定的であったかということに気づかされる。早口ラップであってもテーマやリリックを易々と聴き取ることができるのはそのおかげなのだろう。ラップは言葉を重視する音楽であり、あらゆる事象について語ることができるはずなのに、他ジャンルと比較すると、こうあらねばならないというわけのわからない呪縛が一際強く、似たり寄ったりラップが際限なく繰り返されてきた。
このアルバムでシンゴ2が吐き出したリリックのように、一度聴いただけでは理解できず、5〜6回聴いてもまだ全容をつかめない情報量の多さ・奥の深さでもいいのだ。歌詞カードがあって初めて納得できるラップでもいいと思うのだ。
確かに直接的な言葉による直感的な音楽という側面もラップにあることは否定しないけれど、そことは大きく離れたところで深化していく表現も受容できるのがヒップホップだと思う。
次は歌詞カードを見ながら聴いてみて、追記の形で続きを書きます。