すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
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般若『ドクタートーキョー』

2008年7月23日リリースの4枚目のアルバム。

般若はスリリングだ。時代を見据える鋭利な視点と、それを直接的な言葉で表現するラップ。本来ヒップホップが持っていたはずの瞬発力を彼は相変わらず自分のものとしていて、また、過剰なサービス精神で聴き手を楽しませる姿勢からは頼もしいラップスターとしての自負も感じられる。

般若のラップが楽しめるのは、切れ味鋭い悪態やら率直すぎる物言いなど分かりやすいからだ。なぜ分かりやすいのかといえば、日本語でラップをしているからで、そして、ふと周りを見わたしてみると、今の日本語ラップ村の中で、普段の会話と同じ言葉で無理なくラップしているラッパーは彼しかいないことに気づく。同時に、彼が蛇蝎のごとく嫌うK DUB SHINEが広く浸透させた日本語で韻を踏み、日本語でラップするスタイルを今正しく継承しているのは、般若であることにも。

ただ、ケーダブは分かりやすい事柄を誰にでも理解しやすい言葉でラップすることに留まり、底の浅さを感じてしまう。思慮というものが足らないのだ。般若もまた分かりやすい悪態を素直な言葉で放つスタイルだったが、前作から内省的な言葉が紡がれ始め、今作ではその路線がさらに顕著になった。

"クソな現実"の中で生きるしかない、やるせない日常を活写しつつ、それでも生きていくしかない自身をまっすぐに見つめるリリックには、表現者としての確かな成長を感じる。

危険に思うのは長渕剛への傾倒ぶりで、インタビューでも"あの人は神だよ"と語っている。現実を冷徹な目で見つめ、独特のユーモアでくるんできた般若がやがて長渕のようなナルシシスティックな曲を書くようになったら非常に残念だし、今の路線が非常に危ういところにいるのも事実だ。

早くも次作アルバムに取りかかり始めたようで、今作のように長く待たされることはなそう。楽しみだ。
2008.08.06 Wednesday 23:59 | 音楽 | comments(6) | trackbacks(0)
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2017.10.17 Tuesday 23:59 | - | - | -
コメント
はじめまして。
最近になって、このブログの存在を知り、マメに閲覧しております。
よろしくお願いいたします。

自分も基本的な(リスナーとしての)スタンスとして所謂ギャングスタ・ラップがあまり好みではないので、概ねgogonyantaさんの主張には賛同できるものが多く、楽しく読ませていただいております。
(例を申し上げますと、「You The Rock(やはりBestは「Sound Track'96」がキャリア最高の出来と思います)」「Twigy(今日、久しぶりに「聖戦」を聞き返しました)」「Tha Blue Harb(BossのインテリぶりはHip Hop特有のバックボーンがあり共感できます)」「G.K.Maryan(その昔、当時の彼女が渋谷Harlemにてマーヤンにナンパされ、「気持ち悪い・・・」と言っていました。友人の姉もナンパされ・・・以下同文)」に関しては同意。「Zeebra(「Greatful Dayz」の客演、リリックがもたらした功罪の「罪」に関しては激しく同意)」「Rhymester(僕は好きですが・・・)」への評価に関しては疑問・・・という感じです。)
また、Hip Hopに限らず、その他多くのジャンルに精通(などと言うと、いつもの調子で謙遜なされるかもしれませんが・・・笑)されているようで、当たり前の話ですが、盲目的なHip Hopリスナーよりもよっぽど信用に足る人物と感じております。

一通り読ませていただいたのですが、gogonyantaさんに寄せられる多くの批判的なコメントは、ご自身が批判的なスタンスで記事を書かれた場合が多いようですね。
gognyantaさんが賞賛の意を認めた記事の場合、多くの人はスルーか、ある種「にこやか」(他意はありません)なコメントをされているケースがほとんどで、「なんでだろ〜う♪」と疑問に思いました。

音楽雑誌は本より、90年代後半から様々なBBSや、00年以降たくさんのBlogを見てきましたが、日本人(この場合、欧米人との比較ではなく、自分が日本人のコミュニティーに属し、それしか知らないからなのですが・・・)は本当に議論下手で、他人の意見や価値観を受け入れる習慣(キャパシティーの問題ではなく)がなく、結果、相対的な、大局的なものの見方ができていないんだなぁとしみじみ感じます。

だいたい、gogonyantaさん個人の感想文なのですから、所謂「主観」が(このBlogにコメントする方は「主観」「客観」という対義語が好きな方が多いようですが・・・)記事を支配するのは仕方がないことだと思いますし(個人的にはプロの方の仕事にもそれを望みますが・・・)、gogonyantaさんが書かれているレビューのすべては市場に流通する「商品」が対象です。ことさら権威的な立場にも無い一般の人間が、市場に量通している作品について「あーだこーだ」言う。こんなことは音楽に限らず、世界中のそこかしこで行われていることで、取り立てて言うほど、何も珍しいことではありません。

しかし、日本人(←前述の通りの定義で)の多くはこのことに意識的でなく、あくまで一義的な"消費者"としての感覚しかないのでしょうね。しかも日本のHip Hopに顕著ですが、対象のアーティストや、作品を神格化し、自分の精神的な拠り所にしている場合が非常に多く、web上のBBSや、Weblogなどの場で批判の「ひ」の字でも出ようものなら、過剰なまでの(アーティスト≒自己?)防衛に走る。
関係者でもないかぎり(もしくは、万引きでもしないかぎり)CDなんか身銭を切って手にしているだろうに・・・

長く、また雑多になりましたが、こういった事象の背景にあるのは、「批評精神の欠如」が最大の要因かと思いますが、これは音楽業界、アーティスト、リスナー、それぞれにとって深刻な問題かと思っています。360°からの「批評」によって、発信する側は緊張を強いられ、よい作品を生み出すための努力をするはずですから。

仮に資本主義におけるメジャーシーンの場において、このような物言いが出来なくとも、gogonyantaさんのような方が少しでも増えて、こういったBlogが増えることを期待しております。

さて、前置きが長くなりすぎましたが、日本のHip Hopシーン(?)において、般若は様々な意味において、稀有な存在ではないかと思います。
前進のGroup「般若」、そして妄走族、ソロに至るまで、終始一貫した「現状」に対する反抗、gogonyantaさんの言葉を借りれば「冷徹な目で見つめ、独特のユーモアでくるんできた」ラッパーは般若以外には存在しないでしょうし、それでいて(公にはあまり語られませんが)ビジュアルに関しても各
S.Kamimachi | 2008.08.08 Fri 01:43
途中でコメントが切れてしまいましたね・・・
初めてのコメントで気合を入れすぎまして、冗長になってしまいました。
申し訳ありません。

上記コメントについての訂正
>(×)前進のGroup「般若」
>(○)前身のGroup「般若」
ケアレスミスは学生時代から変わってないのね・・・と少し凹みました。

ちなみに自分は現在27歳の男性です。よろしくです
(Like a 出会い系の自己紹介)
S.Kamimachi | 2008.08.08 Fri 01:53
こんにちわ
僕は悪態をつくラップが全く性に合わないんで
般若は全然ダメでしたが唯一長渕プロデュース
だけが良かったです

それはnyantaさんが危惧すると書いてるように
長渕がまさしく神だからです
長渕とラップが融合して面白くないわけがありません
カラオケで笑いが欲しくなると
真剣に長渕を歌い上げるというのが
僕ら仲間内での鉄板です
ご察しの通りバカにしてるわけですが
どの曲を取ってもその楽曲やコーラス(掛け声)と
詩の世界のあまりの長渕っぷりに、バカにしていたはずが、
いつしか感動すら覚えてくるのです
同じくもう1人の神としてアントニオ猪木も
あげられます
矢沢は神ではありません
そのパフォーマンスやエピソードは中途半端で
インパクトに欠けるからです
何となくこのカテゴライズが伝わりますでしょうか?
結局の所我々は長渕をバカにして笑いますが
最後にはバカにしきれず
あまりに強烈な
オリジナリティの前に膝まずかされるのです

あの般若のアルバムで彼が真に伝えたかった事は
日々の不満などではなく
あの1曲のバックコーラスに込められた
長渕の魂のみだと信じています

what's? | 2008.08.08 Fri 14:54
S.Kamimachi様

こんばんは。はじめまして。
いきなり長文のコメントがあり、びっくりしました。ありがとうございます。"だいたい、gogonyantaさん個人の感想文なのですから、"からの文章は、いつかいわれのない批判を受けたときに使ってやろうと思いました。

> 360°からの「批評」によって、発信する側は緊張を強いられ、
> よい作品を生み出すための努力をするはずですから。
ここも好きです。"緊張を強いられ"ってすごいですよね。

これからもいろいろ書いていきますので、よろしくお願いします。



what's? 様

こんばんは。
最近コメントを頻繁にいただけて嬉しいです。

> 唯一長渕プロデュースだけが良かったです
真っ向から違う意見をぶつけてきましたね。

> 結局の所我々は長渕をバカにして笑いますが最後にはバカにしきれず
> あまりに強烈なオリジナリティの前に膝まずかされるのです
まあ、オリジナリティについては渋々とうなずかざるを得ませんが、何かもう、私の中の邦楽界には彼はいないんですよね。尾崎豊と一緒です。ああいうのは受け付けないんです。全否定です。

> あの般若のアルバムで彼が真に伝えたかった事は日々の不満などではなく
> あの1曲のバックコーラスに込められた長渕の魂のみだと信じています
この言い切りって、私が本文で書いたケーダブ云々と同じノリですよね。まあ、でも嫌だなぁ、このまま長渕長渕していったら。それを笑えるほどは大人になりきれていないですよ、私は。
gogonyanta | 2008.08.09 Sat 20:49
こんばんわ
そーですか、そーですか
そんなに笑えないですかぁ
般若の、長渕の桜島ライブの前座に
日本刀もってって出演してしまう
というエピソードなんか
正に長渕化してて相当おもろいんですけどねぇ

そういう点で尾崎は全く神じゃないしおもろくないですね
長渕の、ライブ前に正拳突きし過ぎて骨折しちゃったり
猪木の、永久電気のプロジェクトだったり
神がかったエピソードが無いですから

まぁ笑いこそ音楽の好みより遥かに複雑かつ繊細なものなので
これ以上長渕をオススメはしませんが
僕の好きな「神」エピソードを言いたかっただけでした
ではまた





what's? | 2008.08.12 Tue 01:02
what's? 様

いつもどうもです。

> 笑いこそ音楽の好みより遥かに複雑かつ繊細なものなので
"笑い"ときて、"神"とくれば、あれですよ、「モンスターエンジン」のネタの「神々の遊び」! 最近の一番のヒットです。「あらびき団」でよくやっているんですけど、あれは面白いです。もしご覧になったことがなければ、是非YouTUBEで。
gogonyanta | 2008.08.12 Tue 01:13
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