2008年7月16日リリースのファーストアルバム。
Nujabesの右腕なのか、舎弟なのか知らないけれど、彼との仕事を通して頭角を現してきたトラックメイカー・宇山寛人。レーベルは当然「hydeout productions」。
M1「81summer」こそ、NOMAKのような和の旋律が面白いと思えたものの、続くM2「Climbed Mountain」でのグダグダとした展開には苛立ちがつのるばかりだし、M3「One Dream」やM4「Nightwood」といったこのレーベルの音源に最も期待されているきれいめのピアノが乗っかる曲では、Nujabesには敵わないことが明らか。その傾向はM12「Stratus」も同様。ホテルのラウンジで薄く流すのに最適な音だと思う。
上音の華麗さは他のアーティストに比べればずっと感じられるのだけど、Nujabesとの比較で、曲に魅力が感じられないのはメロディが作れていないからだ。ついつい口ずさんでしまうメロディがNujabesにはあったけれど、宇山にはそれがない。
また、上音に奉仕するだけのビートもすぐに飽きてしまう要因だ。トゲを抜かれているからこそ、ラウンジミュージックとして成り立つのだろうけれど。
唯一聴けるなと思えたのは、SpecificsのGolden Boyが客演したM9「Vision Eyes」。メロウなフルートとしっとりとしたピアノの響きがいい塩梅なトラックの上に、語りに近いラップが乗る。展開がたるいトラックが多いのだから、もっと客演を増やして、その辺りを補強すれば良かったのに。