すばらしくてNICE CHOICE

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TAK THE CODONA『RED EYE CONTACT』

2008年8月23日リリースのセカンドアルバム。

TAK THE CODONAがくゆらす言葉の数々は、瞬間の強い印象を放ちつつ上方へと螺旋を描き、そのままふと消えてしまうこともあれば、反対に、深く深く体の内に潜り、日々の生活の中で、ある日ふとこの気持ちを表現する言葉があのラインなんだなと浮上してくることがある。

フルアルバムとしては2作目となる、約1年半ぶりの今作でもラップされる主たるテーマは変わらない。ラップを続けていくことと、生きていくことの両立についてだ。時々葉っぱ関係もあるけれど(だってタイトルからしてねぇ)。手を代え品を代え、正面からバックから斜めから語り尽くす。語彙の豊富さと比喩のうまさがあるから、少しも飽きさせない。

ジャズの高貴な香り漂う上音の裏で、ジャンクなビートがとっちらかるOlive OilトラックのM2「きせかえカメレオン」では、"ハズレくじなら山ほど引いた これからもずっと引かされていくけど"のラインだったり、"きびだんごがなくてもついてくるバカはせいぜいお前だけ"というフックが耳にこびり付いて離れないM3「きびだんご」だったり、もっと挙げれば、M15「アップリケ」での、"心を許すと裏切られたとき立ち上がれない / アップリケで塞げ 心の隙間"もそうだ。生きていくことの辛さを根底に滲ませ、だけれども人は生きていくしかないわけで、後ろ向きになりつつも仕方なく立ち上がり、どうにかこうにか前を向く。タクザコドナのラップにはそのいやいやの八起き目が活写されている。

ファーストアルバムがあまりに傑作だったために、超えられるのか不安だったが、なんなく飛び超えてしまった。音の幅が広がったことが大きい。インストのM1「CHILL STEP」からしてこれまでのタクザコドナにはない音──弦楽器の旋律に民族っぽい音が乗る──で始まり、オリーブ・オイルの格好良く決まった音に引き継ぎ、M3ではエミール・クストリッツァ監督の映画音楽で聴けるような旋律が耳を楽しませる。

もちろん、これまでのようなブロークンなビートもたくさんあるし、いかにもなアングラ臭は濃厚だ。仙人掌が参加したM6「パパのお仕事」での管楽器のループ、そしてshowhachiトラックのM7「NIGHT CLUB, NIGHT MARE」でのホーンのサンプリングにはやられてしまった。ちょっと派手な音にもタクザコドナは合うようだ。自作トラックのインスト曲M8「GREEN DAYO!」では今度は不穏なホーンが鳴り渡り、またまたしびれてしまう。


聴けば必ず分かる声質とフロウ、抜群の語彙の多さ、表現のうまさ、さらにはトラックメイカーとしての才も併せ持つラッパー・タクザコドナ。発売から1週間以上経ったけれど、ネット検索をかけてもほとんど記事がない状況。この才能を放置してするのは本当にもったいない。でも、彼はM10「Marking Here」のリリックにあるように戦い続けるのだろう。CD-Rでのリリース共々、新たな"新大陸"を楽しみに待ちたい。

"1ヶ月分の水と食料買い込んで籠城 数値は大事 でもそこじゃねぇ 俺の365日間戦争
 尻尾の先まであんこの詰まった一生を送りたい 合理的に生き延びるより情熱的にくたばりてぇ
 大小かかわらずその代償を惜しまねぇ生き方に憧れる
 休日返上終日迷路にさまよいこんだまま衰弱していく意識 飛ぶ鳥落とす 目論見通り
 怖いもの知らずだったあの頃に原点回帰 もう一度振り立たせる脂ぎった野心
 週日に書き込むしわくちゃな地図に俺の位置付けマーキング

 おねしょで縄張り闘争 人気(ひとけ)のない島がシーツに浮かぶ
 おねしょで新大陸創造 世界地図にない島がシーツに浮かぶ"
M10「Marking Here」から
2008.08.29 Friday 23:59 | 音楽 | comments(4) | trackbacks(0)
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2017.04.19 Wednesday 23:59 | - | - | -
コメント
こんばんは、お久しぶりです。

うん。このアルバムは本当に最高ですね。
買ってからこればっかし聴いてます。

トラックがどれも素晴らしくクレジットを確認してみると
ほとんどがダクザコドナによるもので本当に驚きました。

>。生きていくことの辛さを根底に滲ませ、だけれども人は生きていくしかないわけで、後ろ向きになりつつも仕方なく立ち上がり、どうにかこうにか前を向く。タクザコドナのラップにはそのいやいやの八起き目が活写されている。

歌詞カードがないのにリリックからここまでくみ取れるgogonyantaさんにも
感服ですw
kenKOBA | 2008.08.31 Sun 23:43
連投すみません。まったく関係ないのですが
これ知ってます?面白いメンバーですよ

http://www.imeem.com/people/kFB49wu/music/Cty0ee-5/sterusssuika_featdaigo_kobayashi_skyfish_web_exclusive_ver/
KenKOBA | 2008.08.31 Sun 23:51
初めまして。ハヤトと申します。初めてコメントします。

コドナはMIDICRONICAのコンピに収録された54の活動再開曲(でもやっぱりやってないみたい)で初めて聴いて、何だこの耳に残るラップは!と思って気になっていました。

中々話題にのぼらないアーティストですが、今回の2ndを聴いて、やはり、この人の力はスゴイなと思いました。実のところ1stは未だ聴いていませんが、傑作だということで、今度探しにいこうと思います。
ハヤト | 2008.09.01 Mon 00:00
kenKOBA様

こんばんは。
いつもありがとうございます。

> このアルバムは本当に最高ですね。
それ以外の言葉はありませんね。

> 歌詞カードがないのにリリックからここまでくみ取れるgogonyantaさんにも感服ですw
いや、まあ思い込み半分ですけどね。でも、歌詞カードがなくても聴き取れるのもタクザコドナのいいところだと思います。歌詞カードは前作にはあったのに、今回ないのは節減なんですかねぇ。意図は分かりませんが、でも聴き取れるのでいいかなと思いました。

> これ知ってます?面白いメンバーですよ
飛んだら、SUIKAがSTERUSSとやった曲じゃないですか。これは夜話で聴きたいと思っているので、とりあえず今は保留にしておきます。でもありがとうございます。小林大吾もいるんですね。ちょっと驚きました。


ハヤト様

こんばんは。
はじめまして。

> コドナはMIDICRONICAのコンピに収録された54の活動再開曲
そんな曲があったのですか。知らなかったです。今度捜してみたいと思います。ありがとうございます。

> 実のところ1stは未だ聴いていませんが、傑作だということで、今度探しにいこうと思います。
ええ、ちょっとすごいですよ。ずいぶんの前の記事で書いているのですが、イントロを視聴機で聴いた瞬間、買わなければと思いました。降神のなのるなもないや、カルデラビスタ、DJ YASなんかも参加していて微妙に豪華なところもいいです。普通に売っていると思いますので、ぜひぜひ。
gogonyanta | 2008.09.01 Mon 01:17
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