すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
07 / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
<< アクロス・ザ・ユニヴァース / Across The Universe | main | 石持浅海『アイルランドの薔薇』 >>
メテオ『魔獄の分裂 〜絶叫物件へようこそ!!』

2008年8月23日リリースのファーストアルバム。

"一日三回マスカキ これがメテオスタイル"。まだDaijiroh(a.k.a.Meteo)名義だったメテオがタカツキのファーストアルバム『hip hop music』(2001年)収録の「SMRYTRPS (Bring it on/Bring it out)」で吹き込んだパンチラインの破壊力たるやすさまじいものがあった。

あれから7年。最初はゲテモノと思っていたけれど、昨年何本かのライブを見て、印象が大きく変わった。ライブでこそより生きてくる声は何よりの武器だし、前のめりの姿勢には次第に好感を抱くようになった。そして、ついにはCDでのフルアルバムのリリース。今も昔も韻がどうのとかフロウがどうのというラッパーではなく、勢いが全てのスタイルは良くも悪くも一貫している。

前置きはさておき、メテオをそのまま表したようなジャケットを目の届かないところにそっと置いて、曲の雰囲気が壊れようとも悪びれもせず下品なリリックをぶち込み、輝きを放ってきたラッパーのファーストアルバムを聴いてみる。意外や意外、すんなり楽しく最後まで聴けるアルバムになっていた。あのえぐみが思ったよりも薄めで、強烈なのはM3「気遣い気遣い 〜もてなし野郎のブルース」とM7「グアテマラの熱砂 〜日没から夜明け〜 サボテンマン in EL CALIO」ぐらい。この2曲ではさすがメテオという、こちらが彼に期待している常人には作り出せない世界観が味わえる。

総勢14名もの客演陣がいて、完全なソロが2曲しかないというありさまなのだが、そのフィーチャリング勢が総じて2軍ラッパーばかりなので、悪目立ちするメテオを押さえることのできる才能がキリコぐらいしかいない。ダースレイダーはトラック制作では活躍するが、ラップーとしては抑え気味。

M12「偏執狂に気をつけろ」でのキリコは昨年宇都宮のライブで見たときのような、聴きにくいラップスタイルのままで少し残念なのだけど、ダメレコの面々をネタにしたり、"SEEDAの次は俺たちの番だろう"と放言したりと変わらずに楽しませてくれる。一方で、メテオはキリコのヴァースとは関係ない方面から偏執を語り、個性派同士のぶつかり合いは互いに場外で終わった印象。

初めて聴くシンガー兼ラッパーのacharuは魅力的だった。M4「食事と買い物」ではトウマ57ムーヴ・トラックの上に、かわいらしい歌声を乗せる。ラップも披露。これが女の子女の子した声でのラップで嫌いじゃない。思い起こせば、YURIのラップもそれなりに気に入っていた自分がいた。もう1曲、M13「魔獄の急行 〜EXPRESS YOURSELF〜」でもいい調子で歌っている。

冴えない客演に加えて、全ての曲でメテオワールドが全開になっているわけでもないのに、どうして聴き応えがあるのかといえば、トラックの良さだ。まずM1「魔獄の分裂イントロ 〜絶叫物件の悪夢の玄関」とM2「BEYOND THE 魔獄」ではpunpeeが粋なトラックを仕立て上げ、序盤を盛り上げる。トウマ57ムーヴがaharuの活躍するM4とフルートループ(?)が印象的なM9「その店は24時間営業」の2曲できれいめのトラックを提供。親分ダースレイダーは全13曲中で5曲を制作。どれもがダースレイダー自身の最新アルバムのトラックよりもファンキーですばらしい。

残念だったのは2曲だけ、M3とM6「崩壊するカベ」。M6はSIMONの最新作を全面的に手掛けていたGunsmith Producitonのひとりが制作したもので、あのアルバムでも思ったのと同じ感想を抱いた。小手先だけの上音にビートで、とても退屈だ。


メテオといえば、飛び道具的なポジションだったのに、思った以上に普通に聴けるアルバムだったことは驚きだが、まあそれでも彼のブログの文体と同じで、誰にも真似できないラップスタイルはさすがだ。もっと荒唐無稽、奇想天外、複雑怪奇なメテオ節でも楽しめたとは思うけど。それとエロが減ったのはさすがに年齢を重ねたからなのかな。ちょっと寂しく感じた。


********************************
2006      AL『MURAKAMI POSSE PRESENTS "MY WORLD"』(CD-R)
2007      mini AL『PRE PRO』(CD-R)
2007      live mini AL『LIVE @某クラブ』(CD-R)
2008.08.23 1st AL『魔獄の分裂 〜絶叫物件へようこそ!!』
********************************
2008.09.01 Monday 23:59 | 音楽 | comments(11) | trackbacks(0)
スポンサーサイト
2017.07.26 Wednesday 23:59 | - | - | -
コメント
おひさしぶりです。

短いコメントで申し訳ないですが…(苦笑)

きーつかうなー きーつかうなー  がバイト中に頭の中でリピートしまくりで困ってます。。

すごいアルバムでした…。
| 2008.09.03 Wed 03:21
残念だった2曲は
客演なしなんですねwww

M3、歌詞カードに歌詞じゃなくてあらすじとか載ってて
個人的には面白かったです。
| 2008.09.03 Wed 23:55
3時21分の名無し様

こんばんは。

> きーつかうなー きーつかうなー  がバイト中に頭の中でリピートしまくりで困ってます。。
分かります! あれは強烈ですね。あと、「その店は24時間営業」のフックも結構好きです。メテオらしいというか。



23時55分の名無し様

こんばんは。
コメントありがとうございます。

> 残念だった2曲は客演なしなんですねwww
ああ、そうですよね、どちらもソロ曲でしたね。M3はあんなトラックだから、あの強烈なラップが生きるのかなとも思いました。計算ですかねぇ。

> M3、歌詞カードに歌詞じゃなくてあらすじとか載ってて個人的には面白かったです。
私もです。歌詞カードであらすじというのは初めて見ましたね。Shing02の「美獣」もああしたら面白くて分かりやすかったのかな、とちょっと不届きなことを考えてしまいました。
gogonyanta | 2008.09.04 Thu 00:22
こんばんは。予告どおり、ありがとうございます。
僕もこのジャケットの趣味の悪さはちょっと・・というかんじです。
この絵の良さをわかる懐の深さは自分にないなと思ってしまいました。
メテオもなんですかね、変わらず・・変わらずなんですけど、なんとなく、昔はもっとこっちがやられたって思うようなフロウがあったんですよね。
言ってることは変でもキャッチーでかっこいいフロウが。
そういうのを排除したら生々しいとこが残りましたっていうアルバムでした。
勢いがすべて・・・なんでしょうか、やっぱり。
sasuke | 2008.09.04 Thu 21:06
sasuke様

こんばんは。

> 僕もこのジャケットの趣味の悪さはちょっと・・というかんじです。
あ、嫌いではないんですよ。まあ、趣味が悪いとは思わないこともないですが、ヒップホップのジャケとしては冒険だと思いますし、やったなと思います。遠ざけたのは、ラップだけで充分エネルギーを吸い取られるのに、ジャケでも吸い上げられてはたまったものじゃないということです。

> メテオもなんですかね、変わらず・・変わらずなんですけど、なんとなく、
> 昔はもっとこっちがやられたって思うようなフロウがあったんですよね。
> 言ってることは変でもキャッチーでかっこいいフロウが。
> そういうのを排除したら生々しいとこが残りましたっていうアルバムでした。
> 勢いがすべて・・・なんでしょうか、やっぱり。
おっしゃっていることはよく分かります。フロウというか、破壊力抜群のパンチライン(たいていは下品でしたが)がもっとあって、SMRYTRPS内では絶対に異分子だったにもかかわらず、何だか魅了されてしまうパワーがありました。あの力の源は、SMRYTRPSというグループの中にいたからこそ発揮されたものだったのかな、と。そしてダメレコという受け皿は異端をも上手に受け入れることのできる懐の深さがあって、ちょっと薄れていったのかなとも思いました。

人の良さを売りにし始めた、今のメテオも決して悪くないですけどね。無理していない自然体との印象を受けます。
gogonyanta | 2008.09.05 Fri 00:56
>ダースレイダーはトラック制作では活躍するが、ラップーとしては抑え気味。

「グアテマラの熱砂」のサボテンマンってダースレイダーじゃないんですか?(そう聴こえたのですが…)
他で抑えてる分、ここで爆発してるような気がします。
この曲は思わず笑ってしまいました…。
TOY$ | 2008.09.05 Fri 22:24
TOY$様

こんばんは。

> 「グアテマラの熱砂」のサボテンマンってダースレイダーじゃないんですか?
すみません。曲名を「グアテマラの奇跡」にしていました。修正しておきます。さて、サボテンマンですけど、あれはダースレイダーでしょうね。でもラップかといえば、微妙な気もします。爆発はしてますし、笑えもしますけれど。音源と同じことをやれるのか、生で聴いてみたいです。
gogonyanta | 2008.09.06 Sat 01:20
私はsdpのサイトから何やら楽しそうなことやっているみたいなので飛んできました。そしたら、完全に管理人さんの書きようと他の人のレスポンスがおもしろすぎてロックされました。無駄に英語が多いのはきにしないでください。本当に楽しめました。ありがとうございます。これからも見に来るんでブログをぜひ続けてください。
マズイ飯くってマス | 2008.09.10 Wed 12:13
マズイ飯くってマス様

こんばんは。
はじめまして。

> 本当に楽しめました。ありがとうございます。
いえいえ、こちらこそ喜んで頂けて嬉しいです。「倉庫」というカテゴリーに面白いコメントをまとめてありますので、もしよろしければどうぞ。字ばかりで読みにくいですけど。飽きるまで続けると思いますので、これからもよろしくお願いします。
gogonyanta | 2008.09.11 Thu 00:12
メテオは去年出した2枚目がかなり良かったです。
こっちじゃなくて先にそっちを出せばよかったと思う出来でしたw
JIN | 2010.09.28 Tue 18:42
JIN様

こちらにもありがとうございます。

> メテオは去年出した2枚目がかなり良かったです

評判いいですよね。ただ、今年も新譜がどんどんリリースされるし、無料ダウンロードものも豊富だし、なかなか手が回らない状況です。一時の冬の時代に比べれば嬉しい悲鳴なんだけど、これがなかなか・・・。
gogonyanta | 2010.12.04 Sat 21:54
コメントする











この記事のトラックバックURL
http://gogonyanta.jugem.jp/trackback/2252
トラックバック
Profile
Search This Site
Category
New Entries
Comment


Archives

今日も愚痴り中