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2021.02.10 Wednesday | - | - | -
2001年宇宙の旅 / 2001: A Space Odyssey

100点/100点満点中

1968年のスタンリー・キューブリック作品。その年のアカデミー賞では、監督・脚本・美術部門でノミネートされながら、獲得は特殊視覚効果賞のみ。

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人類の夜明けから月面、そして木星への旅を通し、謎の石版と知的生命体の接触を描く。
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新宿プラザ劇場が10月をもって閉館となり、11月7日までの1週間、過去に上映し人気を博した名画特集をやっている。以前から大きなスクリーンで一度は見たいと思っていたこの作品を見てきた。

やっぱりすごい映画だ。143分という長い作品(途中で2分20秒という中途半端な休憩タイムがある)は冒頭のサルからラストの赤ん坊まで一切緊張が途切れない。些細な小道具から宇宙空間までとことん追求したリアリティ、静謐だけど雄弁なカット、そして観客の常識を凌駕する展開。40年も前の映画ではあるけれど、いまだ色褪せていない。

400年前の地球から始まり、月面で発見された黒色の石版、木星に向かう探査船、木星での出来事。大きく4つに分かれる構成だが、何といってもつかみの冒頭がすごい。最初にこのシーンと出会ったのは『すすめ!! パイレーツ』だったか『究極超人あ〜る』だったかのギャグマンガで、パロディにされていたものだけど、本物はさらに痛快だ。英知の塊に触れた人類の祖先が、動物の骨を道具として手に取り、やがてそれが外敵を倒す武器となり、敵を撲殺したその骨を空に放ると、そのまま似た形の宇宙船になるという、あの有名な場面。何度見てもすばらしい。

その宇宙船内が無重力であることを示すために、たった1本のペンと居眠りしているフロイド博士の浮いている腕だけで演出してしまう見事さ。音楽もいい。サルが鳴き喚く世界から道具同様に、人の絶え間ない努力で進化を進めてきたクラッシック音楽の粋を集めたようなヨハン・シュトラウス2世の「美しく青きドナウ」が流れる。

音楽といえば、どれもいいのだけど、石版登場シーンで流される幾重にも重なったコーラスワークが不気味さと共に荘厳さをも表現し、すごい。

木星に向かう船中で起きたコンピューターHAL9000の突然の反乱。ここでもいくつものカットの美しさに惹かれる。放り出された仲間の救出に向かうポッド内から、対象を捉え近づくシーンの美しさ。ハルの反抗で戻れないポッドが母船と対峙する構図の美しさ。とことんハードSFなのに飽きることなく見ていられるのはこの構図・カットのすばらしさにもある。

木星探査の真相を告げられた最後の生き残りボーマン船長がついに目的地に近づくと、そこで待ち受けていたのは当然あの黒色の石版で、怒濤のラストシーンになる。

40年前の映画でもあるし、そのラストを詳細に書いてしまう。

人類を導くように宇宙空間に浮かぶ石版。突如様々な色の光の中をボーマン船長は進み始める。説明が一切ないため、これが空間移動なのか、時間移動なのか、あるいは膨大な知識量を意味するのか分からない。時々ボーマン船長の歪んだ顔が映り込む。

ビッグバンと思しき爆発があり、銀河が映り、赤や白の靄がたなびく。陸地ができたばかりの原初の地球らしき映像に変わり、さらにボーマン船長の目玉が大きくアップに。

そこはヨーロッパ調の部屋だった。ポッドがシュールに置かれている。ボーマン船長は部屋に立っている。ここまでくると何が何やら分からない。部屋を横切り、鏡に映る宇宙服を着た自分の姿に見入る。突然音がすることに気づく。音の方をそっとのぞこうとする。ある意味ホラー。先程までボーマン船長がいた部屋で背中を向けて座った男が食事をしている。男は気配に気づいたのか立ち上がり、隣の部屋にいるボーマン船長の方に向かう。が、ボーマン船長が目に入らないのかまた食事に戻る。行儀悪く左手を腿に乗せたまま食べる。男はまた何かに気づき、ふと目を横にやると、大きなベッドに老人が眠っている。老人が腕をプルプルと持ち上げ、指さすとそこにはあの石版が静かに鎮座している。カメラがターンし、再びベッドに向けられるとベッドの上には球体が置かれている。赤ん坊が入っている。

謎が飽和状態。例の有名な「「ツァラトストゥラはかく語りき」」が流れ、月に続いて地球が映り、そして、先程の球の中の赤ん坊が地球と並ぶ大きさで、旁らに浮かぶ青い惑星を見つめている。やがてゆっくりこちらに向き直り観客を見たところで暗転。クレジットロールが始まる。

わからん。ボーマン船長がどうなったのか、食事をしている男や老人は何者なのか、それと赤ん坊は何、とはてなマークになるものの、まあ地球外にも知的生命体はいて、彼らは地球を見ているし、これから外に出る(アポロ計画の頃だよね)のも結構だけど、畏敬の念を忘れることなく正しい道を歩めよということかなとひとり解釈して映画館を出た。

で、帰ってきてウィキ等を見たら、木星到着以降のシーンは、"ひとり探査を続行したデイブは木星の衛星軌道上で巨大なモノリスと遭遇、驚愕の体験(あの部屋の男は全てボーマン船長で、老いていく様子らしい)を経て、人類を超越した存在・スターチャイルドへと進化を遂げた"ということらしい。あの赤ん坊がスターチャイルドで、あれはデイブの進化系なんだ。アーサー・C・クラーク版『2001年宇宙の旅』も読まなければいけないということだね。読まずに理解できた人というのはいるのだろうか。

でも分からないなりに映像や展開に圧倒された作品だった。見られて良かった。


全然関係ないけれど、船外活動用の宇宙艇ポッドがガンダムに出てくるやられモビルアーマー・ボールに似ていて(まあモデルだろうね)、で、ボールは大量生産品で同じやられモビルスーツのジムの支援機なわけだけど、ジムがどうしてその名前になったのかと考えていた。ジムとボール。ジミー(D.LがK DUB SHINEとのビーフで執拗にいってたね)とボールからではと。ジム1機に何機のボールがつき、チームとなるのか知らないけれど、2機だったらうまくまとまる。英語ならGMとJimmyだけどそこはそれ、日本人だし。どうなんだろう。そんなこと考えていたから、映画の本筋を理解できなかったのかもしれない。



だいぶ長くなってしまったけれど、最後に新宿プラザ劇場を忍んで。もう12年も前の話になるけれど、当時好きだった子との初めてのデートがここだった。懐かしい。ウィル・スミスがタコ型宇宙人を素手で殴りつけるというお馬鹿な映画だったけれど。

HPによれば、"1969年11月に1044席を誇る日本を代表する映画館としてオープン。日本では唯一「スターウォーズ」6部作全てを興行した映画館であり、また、1997年12月に公開した「タイタニック」においては26万6千人という一興行での動員記録を樹立"したらしい。バルト9の一番大きいところで433席、新宿ピカデリーで607席。シネコンはちまちましてるし、やっぱり大きなスクリーンを大勢で見るのが映画の醍醐味のひとつでもあると思うので、閉館は残念。向かいの新宿ミラノ(1064席)は頑張って欲しい。


【追記】2014.04.20
こんな記事があった。
「『2001年宇宙の旅』の撮影舞台裏写真100枚がネットに」→ブログ記事
同情報サイトではこんなのも紹介していて良かった。
「スタンリー・キューブリックの娘が当時の撮影現場写真を公開」→ブログ記事
2008.11.02 Sunday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2021.02.10 Wednesday 23:59 | - | - | -
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