法政大学の学祭・第61回法政大学自主法政祭に行ってきた。イベント「カオス VS コスモス」のオープニングアクトに七尾旅人が出るというので、いそいそと向かった。七尾旅人はすごく良い! という噂は聞いていて、作品よりも先にライブで体験というのもまあ乙なものだろう。
14時から始まる予定だったのだけど、サウンドチェックが押しに押したらしく、50分遅れと案内が出て、しょうがないので発情期のオス猿が跋扈するといった様子の学祭を見て回る。
昨年も思ったけれど、ここの学祭は本当に品がない。まあ他の学祭に頻繁に行き比較できるほど見てきたわけではないし、どこも同じなのかもしれないけれど。
ようやく時間がきたので、コスモスステージに向かう。アコースティックギターを抱えてすでにステージにスタンバイした七尾旅人が隣のステージの音チェックが終わるのを待っていた。ヒラヒラした黒一色の服を纏い、容貌はどことなくプリンスを連想させる。会話や演奏を聞いても思ったのだけど、アーティスト肌なところも似ている。
14時52分、ようやく軽いMCと共に始まる。
曲が進むうちに、体育座りの周りの若者たちが次第に頭を下げてじっと聴き入っているのに気づく。少し怖い。本人はひょうひょうとしたMCでいい人な印象だけど、人の心に深く入り込む類の音楽のようだ。
私はといえば、1曲目の華原朋美の「I'm proud」をカバーする前に語った、この曲は当時路上売春していたコギャルたちの慰めになっていたという鋭い指摘に感心したぐらい。そういわれて意識して歌詞に耳を傾けると、なるほどそう聞こえる。
"飛行機に乗って戦場に赴いてしまう人の歌"と紹介した曲から、MCを挟まず3曲続けて演奏した(もしかしたらこれで1曲の大作曲なのかも)。ここがこの日のハイライトだったのだろう。うつむく人が一気に増加した。
『911FANTASIA』という表題の作品があるし、"世界を変えたあの飛行機に俺だって乗ってるよ あのこと共に"という歌詞からも勝手に同時多発テロの歌と思いながら聴いていた。視点がいい。テロや争いをただ否定するのではなく、聴き手をあのテロの渦中に引きずり込み、共に考えるべきだという視点はとてもいいと思った。
とはいえ、この人の良さを理解するには1時間のライブではなく、じっくり作品を聴いたうえで、3時間ぐらいのワンマンライブでも体験しなければ分からないのだろうなとも思った。上に挙げた曲以外は歌詞もメロディも引っかかるものはなかった。
最後は「どんどん季節は流れて」という未発表曲で、素朴なメロディのサビに観客もコーラスで参加させて締めた。
15時51分終了。
1.I'm proud / 華原朋美
2.Walk On The Wild Side(日本語詩バージョン) / Lou Reed
3.働く子
4.コードをひとつ覚えたら
5.?("飛行機に乗って戦場に赴いてしまう人の歌"といい始めた曲)
6.?("今にしゃべるわ、この子は魔法の言葉を")
7.?("世界が変わるとき立ち会ってしまったら、何ていうの")
8.どんどん季節は流れて