すばらしくてNICE CHOICE

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巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡
国立新美術館で行われているピカソ展に行ってきた。サントリー館でも同時期にピカソの自画像をテーマに開かれているのだが、どちらもパリの国立ピカソ美術館所蔵のもので、それぞれ国立美術館が167点、サントリー館で約60点を公開している。帰宅してから家にあるピカソ展のカタログを見てたら、9年前の1999年に上野の森美術館で開催された「ピカソ展」も国立ピカソ美術館の所蔵品からで、結構かぶっていることになる。ただあの時は全86点と少なかったので、今回は挿絵等もあるけれど、2館合わせれば220点以上。まさに大回顧展。

「ラ・セレスティーナ」(1904年)
1901年秋から始まる「青の時代」の作品。オノヨーコにも似ているけれど、モデルはバルセロナで売春宿を経営する女。丁寧に塗られた様々なマットな青がとてもきれいで、かなり好き。ただ本展では青の時代の絵がこれだけしかなかったのは残念。
残念といえば、本展での一番古い時代の作品がこれというのも回顧展を名乗るにはちょっと肩すかし。ピカソが天才ぶりを発揮する少年期の絵も見たかった。昔上野でやったMOMA展だったかで見た幼い頃の作品の、大人顔負けの正確なデッサンに圧倒された覚えがある。


「ギターとバスの瓶」(1913年)
キュビスム期の立体もの。彩色された木片を使って作られている。何が描かれているのかタイトルからどうにかこうにか読み取るしかない世界に突入した時代だったけれど、平面が立体になるとああなるほどこんな描かれ方をしているのかと少し納得できるので面白かった。


左が「座る女」(1920年)
右が「手紙を読む」(1921年)
ピカソがシュールレアリスムに向かう直前に見せた"ピカソ独自の古典主義"作品。右の作品の絵全てを覆う重苦しさや、大胆にデフォルメされた腕などがすばらしい。しっかり塗り込まれた背景、服の皺などもいい。
下は「泉」(1921年)


「接吻」(1925年)
シュールレアリスム期に入った作品。なんとも奇妙。でもピカソらしい。順番に見ていくとここから絵がカラフルになり、また読み解く楽しさ(とはいえ、顔がこれで、胸はあれだよね、でもってこっちのこれがブーツかみたいなレベルだけど)もある。

敢えて下品なものいいをすれば、上の口と下の口がなんとも・・・。



「画家とモデル」(1926年)
これ以降も繰り返し現れるモチーフとのこと。右側に画家がいて、左側に小さくモデルがいる。うねうねとなっている曲線がなんとも美しい。

左から「白い背景の裸婦」(1927年)、「肘掛け椅子の女」(1927年)、「大きな水浴の女」(1929年)。真ん中は残念ながら「おやすみプンプン」ではなかったし、右も猫の絵ではなかった。猫といえば1枚だけ鳥を捕らえている作品があったけれど、残念ながらこの右端のようなかわいらしい猫ではなかった。


「海辺の人物たち」(1931年)
妻オルガとの結婚生活が破綻の様相を呈し始め、1927年に17歳のマリー=テレーズと出会う(ちなみに、この時ピカソは46歳。全てはアートのため。何もいうまい)。やがて"あふれんばかりの女性性、そして官能性が、ピカソの芸術を支配するようになる"。年と共に性への抑制が取り払われたのか、どんどんむき出しになっていくのがいい。


左から「読書」(1932年)、「赤い肘掛け椅子の女」(1932年)、「赤い肘掛け椅子に座る女」(1932年)。


左が「窓の前に座る女」(1937年)で、モデルは1935年に娘マヤを生んだマリー=テレーズ。中と右は「ドラ・マールの肖像」(1937年)、「泣く女」(1937年)。共にモデルは1936年にピカソと出会い、新たなミューズとなるドラ・マール。ふたりの女性を同時に愛し始めるピカソだが、絵を見る限り、ドラ・マールは気性が激しそうで怖い。特に「ドラ・マールの肖像」の赤い爪がなんとも獰猛そうだ。

「雌ヤギ」(1950年) ブロンズ像
後ろから見るとパックリ割れた性器が豊饒を象徴しているよう。

海外の美術館だと彫刻に関しては触らせてくれるとどこかで読んだことがあるけれど、ピカソ作品も同様なのかしら。こういう作品を見ると頭を撫でたくなる。東京駅のイノシシのように。


「朝鮮の虐殺」(1951年)
ゴヤを援用した反戦画。"戦争を直接的に表現されている点で、ピカソとしては例外的な作品"。確かにこの絵は異彩を放っていた。


左は「デッサンするクロード、フランソワーズ、パロマ」(1954年)

右が「膝をかかえるジャクリーヌ」(1954年)
1943年にフランソワーズ・ジローと出会ったピカソはやがて生活を共にし始める。1947年には息子クロードが生まれ、その2年後にはパロマが誕生する。ピカソも家族の絵を多く描くようになるが、この左の作品当時はすでにフランソワーズはふたりの子供と一緒にピカソの元を去っていた。

ピカソの最後の伴侶となったのがジャクリーヌ・ロックで、1954年頃から絵に登場し始める。


「風景」
1973年4月8日に91歳で幕を閉じるピカソがその最晩年1972年3月31日に、終焉の地ムージャンで描いた作品。最初見たときは、筆の流れも雑でさすがのピカソも90歳ともなると惰性で描くような絵を生み出すのかと思ったのだけど、なぜか惹きつけられて、じっくり見るとこれが迫力のある切り口でいいのだ。下から見上げるような視点が不安定さと同時に絵に勢いを与え、真っ直ぐに伸びた樹木とその椰子のような葉がそれを補完する。とても良かった。


会期も後半に入った日曜日の3時に入館したので、結構混んでいるのかなと思いきや、天候も不安定だったためかそれほどでもなかった。1点ずつじっくり見て2時間ちょい。途中で休憩を挟み、見終えたのが6時前。2度見するときには入館が5時半までということもあり、初めのエリアはもう閑散としていたので気に入った作品をゆっくり鑑賞できた。
2008.11.16 Sunday 23:59 | アート | comments(2) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:59 | - | - | -
コメント
これは良い!!!行きたいとは思ってたんだけど、、もうすぐ終わってしまう・・・・・。。僕は絵画に関しては全くの無知なんですけどね。。

「接吻」って凄いなぁ。。近くで大きな絵で見たい。。

ところでこれって一人で行きました?!俺はわりとあーだーこーだ言いながら観たいんですけどww
のりお | 2008.11.17 Mon 21:49
のりお様

こんばんは。
いつもありがとうございます。

私も絵画について知らないことが多いです。特に技法や流派についてはさっぱりですが、ピカソは直感的に楽しめるのでいいですね。「接吻」はなんていうかトイレの落書きのような直接性が魅力です。まあそこだけではないですけどね。でも大事なことです。

> 俺はわりとあーだーこーだ言いながら観たいんですけど
これもよく分かります。私も人にこれは下手だとか、イマイチとか、完全なる手抜きだねとか好き放題いいながら見るのが好きです。というわけで今回は同居人と一緒に行きました。途中で嫌がられましたけれど。静かに見たい絵も確かにありますが、あーだこーだいうのも大事だと思います。話す中で気づかなかった発見もあるわけですから。

多分会期ギリギリに行ってもそれほどは混まないかと思います。
gogonyanta | 2008.11.17 Mon 23:44
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