すばらしくてNICE CHOICE

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キリコ『未発表音源集01』

2007年9月に行われた「全日本ラップ殺人事件」の物販で購入(CD-R)。確か1000円だったはず。左が表で、右が裏ジャケ。貼りきれないほどステッカーが付いてきた。

M1「なんなの?この女ラッパー」はおそらくモデルとなった女性ラッパーがいるのだろうけれど、女性だけに限った話ではなく、他力本願のうさん臭いラッパー全てに当てはまるリリックがシンプルなビートとフルートループの上に乗る。

"フィーチャリングは誰々 プロデューサーは誰々 あなたはどこの何ていうラッパーですか"と小ばかにしたフックが憎たらしい。今となっては少し懐かしい感もあるファーストアルバム『僕は評価されない音楽家』の頃の山彦フロウでラップされる。

M3「踊らされた人間の元になった曲」はクレジットではカイゲン名義。1ヴァース目がそのカイゲンなのかな。キリコは2ヴァース目を担う。カニエの影響で45回転のサンプリングをし始めた人たちへの皮肉はこの段階ですでに盛り込まれている。それと、"厚底とガングロで渋谷を歩け"もそうか。でも、それ以外はだいぶ違うし、ところどころで押韻を意識しているようだ。フックはまるっきり同じで、トラックは異なる。

M4「アズキ文庫」はファーストの「Intro」のトラックの若干違うバージョン。ファーストほど洗練されていない。セカンドアルバム『BLAST』の「ORIGINAL MC」に似たフロウで、自分で考えるヒップホップをやるべきだと主張する。

爽やかな「イパネマの娘」の上で愚痴るのがM5「ボサノバで愚痴を言おう!」。

"ソロになった途端 態度が冷ややかになった君を忘れないよ
 1回しか話したことなさそうだけど ジブラをジブさんって呼んでいた人 結構いたよね
 大きなお世話かもしれないけれど 何であの人が今晩のメインなの
 韻踏んでいるだけで下手くそなのにもしかしてレコードリリースしているっていうことだけが理由?"

"リリースや知名度だけでものを量るようなその物差し うざいからへし折ってやりたいよ"

他にもダイダラボッチ時代の愚痴やアズキレコード誕生秘話(?)なども。ファーストにもコーラスでクレジットされていた奥さんは歌手だったよう。

西海岸産のヒップホップの上にキリコがラップをかぶせたのがM6「5%」。何の曲か知らないのだけど、"ドープ ドーパー ドーペスト こんな私はどうですか ウエストコーストの人々"といった感じ。

ファースト収録バージョンよりもっと明るいジャズネタトラックなのがM7「フリーダムジャズ・ダンスの元になった曲」。

"今 現在ジャズヒップホップが金になる ジャズネタなら誰もが飛びつく
 内容は上ネタが重要 ***********分かりやすさがポイント
 フロウは単調でいてつまらない リリックは意味を持たない 気持ち良ければそれ以上求めない
 だから聴いても意味がない トラックが気持ち良いジャズネタなら90%のMCがこれに当てはまる
 「僕はラップを***としています」というMCほど聴けない
 でもそんなアナログをレコ屋の店員は今週のお勧めと盛り上げる
 「心地良いフルートが 心地良いピアノがピートロックを思わせる」
 このような見出しにリスナーは踊らされる 僕も昔はよく騙されました
 どこのレコ屋も仕入れの内容は似たり寄ったり MCもレコ屋も個性がない
 だから多くの人はDMRで済ませる 自ずとどのDJも同じ選曲 しかもNujabesまがいの"

リリックの辛辣度が上がっていて楽しめるが、きれいなピアノループが響く非常に心地良いトラックのため、ファーストにあったグルーヴが足らず、物足りないと感じてしまう。でも、フックで"やっぱりあなたもクソラッパー"と繰り返すところは好き。

M8「ボランティアとパフォーマンス」はフックで、"ボランティアパフォーマンスでリスナーを騙す"と繰り返す1曲。ブルックリン出身の有名ラッパーを引き合いに出して、メディアに取り上げられるボランティアについて腐す。"ハッハッハー"という笑い声を挟むフロウはかなり斬新。最後には、"僕は辻褄の合わないラッパーが大っ嫌いです!"と断罪。

北関東スキルズの面々とのM9「身嗜みの乱れたMC達」を聴いていると、キリコってラップがうまいと思えてくる。けったいなフロウだけど。4ヴァース目で登場し、セカンドの「MCバトルを観て思うこと」で語っていたこととほぼ同じ内容をラップする。ずいぶん酷い集団とやっているなと思うものの、3番目と5番目がまだ良かったかな。

ダイダラボッチ名義でのM10「アメリカから独立できない日本語ラップ」。これってアナログでのみリリースされた『ハクレン』にも収録されていた曲だけど、同じバージョンかは不明。90年代日本語ラップへの熱い想いを語り、あの頃の熱がどうして冷めたのかといえば、"いつまでたってもアメリから独立できないからです"と断ずる。2ヴァース目の歌うようにラップする人がいい味を出している。ビートへの日本語の乗せ方がうまい。ダイダラボッチに興味が湧いてきた。

"ハーコーラッパーだけが評価される ここジャパン / こんなことは許されぬ 不当なあなたに書くこの詩"とのフックに大きく頷いてしまうのがM11「ハードコアに身を投げる」。

"ヒップホップも聴かない層も欲しがる心地良い楽曲を意図的に制作をしたわけでもないのに
 ディスられる そんな現状に私 首を傾げてしまいます
 スキルのないMC達は評価されるために本来のスタイルでないハードコアラップに身を投げる
 またそんな彼らに騙されてしまうリスナー またそんな彼らを評価してしまうライター達"

"95年以降の日本のシーンに打ち寄せた反抗思考の高波にも背中(?)を変えなかったRIP SLYMEやMELLOW YELLOWがもっと評価されるべきで リアルだと私は思っています"

リリックの引用だけで十分かな。私がどうこう書いても蛇足なだけ。強いて書くとするならしょぼいトラックが残念。

最後はヒップホップへの盲目の愛を歌った「blind love 01」で美しく終わる。

"あなたという存在が私にとって何にも変えられないものだから Blind Love 今の俺は盲目さ
 周りの景色なんて見えやしないよ 愛してる それ以外にどんな言葉が浮かぶの?
 LovsicよりLove-Sickな気分さ"

この手の攻撃的ではない面を前面に出したアルバムも聴いてみたい。サードアルバムはそうなりそうだけど。


最後に、さっき発見した「落ちぶれても元B-BOY」とのタイトルが付けられたキリコのコラムのURLを貼っておく。JETSET RECORDSのHP上にアップされているのだけど、たった2回で終了してしまったようで、非常に残念。ラップでいっていることと同じことではあるけれど、留学経験があるなどいろいろ興味深い情報がたくさん。続きが読みたい。
第1回 HIPHOP(2008.04.08)(http://www.jetsetrecords.net/jp/columns/column/75)
第2回 レコード(2008.06.22)(http://www.jetsetrecords.net/jp/columns/column/79)


1.なんなの?この女ラッパー (1"57)
2.シャウト / オコジョNOW (0"20)
3.踊らされた人間の元になった曲 / カイゲン (3"38)
4.アズキ文庫 (5"04)
5.ボサノバで愚痴を言おう! (2"34)
6.5% / エリストン・ザック (3"11)
7.フリーダムジャズ・ダンスの元になった曲 (1"42)
8.ボランティアとパフォーマンス (1"49)
9.身嗜みの乱れたMC達 / 華乱・gull・moppy・non of 北関東スキルズ (3"30)
10.アメリカから独立できない日本語ラップ / ダイダラボッチ (4"48)
11.ハードコアに身を投げる (3"44)
12.blind love 01 (2"48)
2008.11.18 Tuesday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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2017.06.22 Thursday 23:59 | - | - | -
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