すばらしくてNICE CHOICE

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Small Circle of Friends『FUTURE』

2008年11月19日リリースの9枚目のアルバム。

1970年代初頭というから今から40年近く前のことになるが、はたして日本語でロックを歌えるのかという「日本語ロック論争」なるものがあった。それまでの定説では日本語はロックのメロディに乗らないというものだったのだが、はっぴいえんどが『風街ろまん』でロックのメロディに日本語をあっさり乗せてしまい、くだらない言い争いは終結した。今日のロックファンからしたらそんなことで争っていたなんてお笑い種でしかない。

だけど、日本語ラップファンにしてみると、ただの笑い話ではすまない。今でも日本語でラップは無理だという話や日本語でやられると恥ずかしいという声を聞く。ケツメイシやRIP SLYME、SEAMO、KREVA、童子-Tらの頑張りもあり、ランキングでラップを耳にすることは多くなったが、まだまだロックほど一般的ではない。

そして、日頃日本語ラップに親しんでいても、無理なのかもと思うことが時々ある。まあそれはたいていはリズム感の悪いラッパーがむりやりビートに言葉を乗せているがためということが多いのだけど、日本語本来のイントネーションを無視したラップもまたマイナスイメージを増長させていると思う。ブリンブリンなアクセサリーという普通の日本人の感性には少しも響かないファッションですら最悪なのに、さらに不自由な日本語を駆使した早口では受け入れられないのは当然のことだ。


さて、本題。ラップ、トラックメイクを担当する東里起とボーカル担当の武藤サツキによるユニット──Small Circle of Friendsが3年ぶりに出したニューアルバムが本作だ。デビューから15年というキャリアがありながら、いまだに新鮮さを失わないラップがすばらしい。東は普通に会話するかのように日本語でラップをする。おかしなイントネーションを使うことなく、ビートへのはまり具合も抜群であり、韻も鮮やかに踏んでくる。日本語ラップを否定する人たちにはまずこのデュオの音を聴かせたい。

特に良かったのは、長旅からの帰宅を題材にしたM4「ただいま」、一瞬で曲の色を変えるフックのコーラスが美しいM5「BALI HAI」、ふたりなら生きていけると歌うM7「ステレオ」。そして日本語ラップ村を対岸の火事と笑い、そのウィットは社会批判にまで伸びるM8「PASS THE MIC」は最高だ。

後半も「ザ・ピーナッツ」に登場するルーシーのセラピーごっこから発想を得たのか、M9「LUCY'S ROOM」では精神カウンセラーを演じ、夢の中のパレードを描いたり、タイムトラベルとSFにも手を伸ばし、幻想的な雰囲気の思い出話に、都会の孤独を綴るストーリーテリングもの、雨降りのクリスマスにひとりでいる悲しみをラップし、起きあがれと告げるM1「INTRO-WAKE UP」に繋がるべく、準備に期間に入るM15「日々いこうよ」で終わる。

日本のラッパーたちはテーマを自ら制限することで、使用する言葉も限定してしまい、自分の首を絞めているのとはまるっきり反対に、テーマが多様だから言葉も自然と豊富になるラップが本当にすばらしい。

タワレコで見たインストアライブが良くて、すぐに買ったわけだけど大正解だった。
2008.12.24 Wednesday 23:59 | 音楽 | comments(2) | trackbacks(0)
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2017.04.19 Wednesday 23:59 | - | - | -
コメント
こんばんは。
年末の31日に通りすがり書き込むのも何か
フジギな感じですが、初めて書き込み致します。
hanaです。

私も、scofはデビュー以来のfanで
「ジャイルスの!」と言う話も聞こえるくらい
海外では話題になっているのに
表に出て来ないのが、この人達の意図なのか?

と思っていたところに今回の新譜に
解説(感じた事?)を書いてらしゃるのを
見て、そうなんだと一人何かわかった気がしました。

何がわかったんだと問われるとスッとは出てきませんが、
なんとなく思って来た事の胸のつかえが取れた感じです。

私も渋谷のタワレコいました。

つい楽しくなって。
書き込んでしまいました。
また、遊びに来ます。

よいお年を!



hana | 2008.12.31 Wed 06:45
hana様

こんにちは。
はじめまして。

彼らが海外で話題になっているのにも関わらず、なかなか表に出てこないのはどうしてなのかという疑問を、hanaさんがこの記事を読まれて納得されたというのは、何度自分の文章を読み直してもやっぱり分からなかったのですが、でも気に入ってもらえたのは素直に嬉しいです。ありがとうございます。

海外でどれだけ評判になっているのかは知らないのですが、日本でももっと聴かれてもいいと思いますね。それだけの実力はありますし、ただ単に日本語ラップとしてもかなり優秀です。まあでもあんな狭い村社会にいるよりは、外から眺めていた方が健全なのでしょう。

来年はワンマンも計画しているようですし、楽しみです。

これからもよろしくお願いします。

ではでは。
gogonyanta | 2008.12.31 Wed 13:15
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