すばらしくてNICE CHOICE

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Anarchy『Dream and Drama』

2008年9月10日リリースのセカンドアルバム。

1981年、京都府伏見区にある向島ニュータウン(二ノ丸池を干拓し、1977年に入居が開始された都市部のベッドタウン。グーグルのストリートビューで散策すると曇天の空模様の下、鬱々とした直方体が立ち並びなかなか壮観な眺めを味わえる)に生まれ、なんやかんやとありながらそこで立派に生きながらえ、ラッパーとなった男の2枚目のアルバム。

発表直後に1~2度通して聴いてはみたものの、ブログに書くまでもない酷い出来だったのでそのままにしておいたのだけど、タワレコのフリーペーパー「bounce」1~2月号(今年からまた合併号に戻ったのね)に特集されていた2008年の決定盤50枚の中で何と8位にランクインしていた。豊作といわれた日本語ラップ勢の中でももちろんトップ。快挙だ。(他には27位にSEEDAの『HEAVEN』、34位にDJ BAKU『DHARMA DANCE』)

そこに付けられたコメントには、Anarchyの抱える「リアル」と聴き手が実感できる「リアル」とが例え一致しなかったとしても、「音楽」としての評価は別のところにあって、本作は「音楽」としてすばらしい、という趣旨のことが書かれていた。

慌てて聴き直してみた。が、少しも分からない。BIG-Zはちょっと早過ぎたのかもと思ったぐらいだ。道産子の彼もアナーキーのように豊富なバックグラウンドを持って、分かりやすく記号的なリリックに落とし込めれば、ひょっとしたら今頃は"日本語ヒップホップの完全復権を成し遂げた"と讃えられていたかもしれない。

ついでに、ニトロなどに加入せず(誰にとってもいいことずくめ)、そのまま単身西海岸に乗り込み、持ち前の「ゲトー魂」を駆ってフェンスによじ登る勢いでアルバムを2枚ぐらいリリースしてちょっとした実績を作ってから帰国すれば、最強の「ゲトーキング」も夢じゃなかったのに。残念だ。

閑話休題。アナーキーが成り上がったと考える世界があまりに幼稚な「マテリアルワールド」で、げんなりしてしまうのは私と彼との育った環境の違いだろうし、そこは互いの「リアル」を尊重すべきで、とやかくいうところではないのだろう。

焦点はそこにあるのではなく、ラップアルバムの最も核となるラップが「音楽」としてどうなのという話だ。こんなアナーキーのラップを評価してしまっていいの? ちゃちな韻を踏みながら、言葉を性急に叩きつけるかのように吐き出していく。その前のめりな姿勢を評価するというならそれはそれでかまわないけれど、私にはこの一本調子なラップアルバムのどこが面白いのかさっぱり分からない。


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2003.??.?? 1st SG『Ghetto Day'z』
2005.12.21 2nd SG『Ghetto King』
2006.04.19 3rd SG『GROWTH』
2006.12.03 1st AL『ROB THE WORLD』
2007.11.28 4th SG『MY WORDS』
2008.09.10 2nd AL『Dream and Drama』
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2009.01.08 Thursday 23:59 | 音楽 | comments(9) | trackbacks(0)
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2017.04.19 Wednesday 23:59 | - | - | -
コメント
おはようございます。

僕もこれ聴きましたが、ANARCHYに関しては全くもって同意です。
なんとなくGOGONYANTAさんが敬遠しそうなアーティストでも、BESや鬼なんかは大好きだし、今年初めてじっくり聞いたノリキヨもまだレビューこそしてませんが、食わず嫌いだっただけで実際けっこう良かったんですよ、彼のラップがリアルって言われる理由を掴みかけてる段階だと思います。
ただANARCHYは全然わからなかったというか、トラックや作風は好みの問題だと無理矢理納得することができてもあのラップがなんで評価されるのかわかりませんでした。
スキルがあるわけじゃないしリリックも前述したノリキヨやSEEDAに比べると光るものがない、なによりあの声質がダメです。マイクリレーでSEEDAやGEEKあたりの間違いなく上手いラッパーに挟まれたら映えるのかもしれませんが、客演なしのソロでは辛すぎました。GOGONYANTAさんのおっしゃる通り、音楽として評価されて良いのかってくらいのレベルです。でも三曲目くらいにかっこいいトラックの曲ありましたよね。

関係ない話題になっちゃいますが、鬼のソロは聞きましたか??
BIGJOEと同じく監獄から録音したアルバムで、「部落」や「構成員」、「赤落ち
MCARD | 2009.01.10 Sat 10:06
参考までに、ミュージック・マガジン誌の日本語ラップ年間ベストでもANARCHY1位で、Amebreakのライターが選ぶ2008年ベストでも多くの人が大推薦してます(Blastアワードが残っていれば1位or2位は固そう)。Remix誌の日本語ラップ特集でもANARCHYが大きく取り上げられていました。謎です。
no name | 2009.01.10 Sat 10:56
初めまして。Anarchyのラップを音楽として評価するのは僕も謎でした。
歌詞は確かに赤裸裸に語られているけれど音楽としてラップをかっこ良いとは思えません。
でもこれって僕にとっては般若の「ドクタートーキョー」に関しても同じなんですよね。
歌詞は良いけどラップが単調っていう感想がまず出てくるんですよね。
gogonyantaさんは「ドクタートーキョー」を高く評価していますけど、
Anarchyのラップ(音楽としての)とは違いがこんなにもあるんですかね?

CL | 2009.01.10 Sat 11:41
MCARD様

こんにちは。
今年もよろしくです。

> ANARCHYは全然わからなかったというか、トラックや作風は好みの問題だと
> 無理矢理納得することができてもあのラップがなんで評価されるのかわかりませんでした。

ええ、ホントそうですよね。そこに尽きます。おっしゃるようにマイクリレーの中のひとりならまだしも、客演ラッパーなしでアルバム1枚は勇気があるというかなんというか。TINAともうひとりの男性シンガーがすごく良かったです。TINAといえば確かGKマーヤンのアルバムにも参加していて、ひとり勝ちだったような記憶が。。。いい歌手です。

> 鬼
監獄からの手紙は読みました。なかなかの達筆でした。音源の方は「なんとか浜」でしたっけ、評判が良かったので視聴機で聴きました。まあ視聴機ですから評価のしようもありませんし、機会があればじっくり聴いてみたいなと思いました。それよりもMCARDさんの年間ベストにランクインしていたZIGENが今気になっています。神門よりもいいんですよね。月刊ラップに入っていた「我がままいんざはうす」はそんなに印象なかったのですが、MCARDさんがお勧めしているとなると気になってきました。



no name様

こんにちは。
お久しぶりです。

音楽雑誌を読まなくなって久しいのですが、そんなランキングなんですか。様々な音楽を聴いてきたプロの方が選んだわけで、きっと深い理由があるのでしょう。ちょっと立ち読みしてみます。ありがとうございます。



CL様

こんにちは。
はじめまして。よろしくお願いします。

> 音楽としてラップをかっこ良いとは思えません。
> でもこれって僕にとっては般若の「ドクタートーキョー」に関しても同じなんですよね。

私は般若のラップを聴いて単調だとは少しも思わないんですよね。ふざけ半分にやってみたり、シリアスに涙流さんばかりにラップしていたり、最近のSEEDAのようなフロウでやってみたりと、色々趣向を凝らした上で、秀逸な自己表現としてのリリックが乗り、MCバトルでチャンピオンを取ったからどうのという話ではなく、音源でも最高の結果を残していると思うんですけどね。
gogonyanta | 2009.01.10 Sat 13:16
一般的には神門のほうが評価が高いのかもしれませんが、まああくまで好みの問題です、神門のアルバムは個人的には候補にも入らなかったので。。。
神門よりも総じてトラックの質が高かったので一昨年の1STアルバムも聞いたところ全くしっくりとせず、アルバムの不満点が神門のこころと全く同じだということに気づきました。学んで2NDはトラックに力入れたのかもしれません、そう考えると神門の次は期待できそうですね。
ご挨拶が遅れました、今年もよろしくお願いしますm(_ _)m
MCARD | 2009.01.10 Sat 20:52
話をぶったぎって申し訳ないんですがgogonyantaさんにSCARSの大晦日に出たアルバムを評して貰いたいです。
日本の所謂「サグライフ」を表現するグループの中ではラップの技術も生々しさもかなりきてるグループだと思うのでぜひ 評を見たいです
nicota | 2009.01.11 Sun 13:54
自分もこのアルバムは買いましたが、メディアの評価とは裏腹にそこまで印象には残りませんでした。トラックが合わないのが大きいのかもしれません。

ただ、アナーキーの評価できる点はハードコア(?)系にも関わらず、分かりやすいことだと思います。
以前、gogonyantaさんが何かのレビューで分かりやすいということは売れるということといった趣旨の文を書いていたと思うんですが、
売れるかどうかは別として、一般大衆が想像するところのハードコアなHIPHOP像をうまいバランスで成立させているのがアナーキーなのではないかとアルバムを聴いて思いました。
たぶん、SCARSやMSCまでいってしまうと、普通の人は歌詞の世界観に引いてしまうのではないかと想像してます。

そのぶん、アナーキーは少なくともこのアルバムではドラッグネタがどうとかハスリングがどうとか、女がどうとかといった、サグさで攻めるというよりは、ちょっと"破天荒"レベルで抑えてるようにも見え、また、ラップのスキルは荒削りでリリックにもひねりがありませんが、それもまた、分かりやすさに拍車をかけてる気がします。
そういう意味では、これまでよりも、共感はしやすくはなったかもしれませんね。


話は変わりますが、呂布カルマのアルバム聴かれましたか?是非、感想をお伺いしたいです。
ハヤト | 2009.01.12 Mon 00:46
こんにちは
ANARCHYに関してgogonyantaさんのおっしゃる通り一本調子というのは分かります。
日本語ラップとして考えれば得にスキルがあるわけでもなく、言葉選びもフロウも単調ですし面白くないといえばそうです。
ただ、彼には応援したくなる何か、期待したくなる何かがあります。
これはカリスマ性なのかもしれません。

今までに地方からインディペンデントで発信してここまで評価されるようなカリスマ性を持ったラッパーはBOSS THE MCくらいしか思いつきません。
しかもBLUE HERBのときのように日本語ラップファンに向けているというよりは広く一般に向けて歌っている感じがします。つまり彼が本気で広く一般にヒップホップを広めようとしているのが伝わってきます。

だからといって内容やトラックがポップなわけではなく、あくまでヒップホップを貫き通し、自前の不良的なリリックを歌っているところが今までの「ヒップホップを広めるため」という言い訳をしてきたラッパーとは違います。にも関わらず僕達のような不良ではない人種にも何かを感じさせてくれる普遍性を持っています。これは例えば2PACやBIGGIEの歌を一般人が聞いても何かを感じるのと同じ感覚です。

普段僕は洋物ラップばかり聞くのですが、彼の登場には正直驚き感動しました。
BLUE HERBももちろん好きですが、BLUE HERBは僕の中では「日本語ラップ」の領域でした。でもANARCHYは「ヒップホップ」だと感じました。
それは洋物ラップを聞いている時に映画を見ているような感覚になるのと同じだったからです。このようなラッパーの登場は日本初だと思いますしそういう意味で評価に値すると思います。

あと詩的にも詩から読み取れる人間性もBIGZAMとはほど遠いと思います。
$$$ | 2009.01.12 Mon 20:30
nicota様

こんばんは。
お久しぶりです。

> SCARSの大晦日に出たアルバム
出てましたね。どなたかが買って下されば、聴きたいですけど。。。機会があればということですみません。



ハヤト様

こんばんは。
コメントありがとうございます。

> 一般大衆が想像するところのハードコアなHIPHOP像をうまいバランスで成立させているのが
> アナーキーなのではないかとアルバムを聴いて思いました。
> ラップのスキルは荒削りでリリックにもひねりがありませんが、
> それもまた、分かりやすさに拍車をかけてる気がします。

ああ、そうなのかもしれませんね。分かりやすく記号化したリリックは歌詞カードを見なくても入ってきますし、その歌詞が繰り広げる物語はどん底から頂点に這い上がるという非常に明快で共感しやすいものです。今の苦しい経済状況の日本にマッチしているかもしれません。

> 呂布カルマのアルバム聴かれましたか?
ひょっとしてCOMPASSのBBSに書き込みされました? "初期の般若を思い出しました"という感想が書かれていて、期待が高まっているところです。必ず書くつもりですので、もう少しお待ち下さい。



$$$様

こんばんは。
はじめまして。

> BLUE HERBのときのように日本語ラップファンに向けているというよりは
> 広く一般に向けて歌っている感じがします。
> つまり彼が本気で広く一般にヒップホップを広めようとしているのが伝わってきます。
> このようなラッパーの登場は日本初だと思いますしそういう意味で評価に値すると思います。

記事を書き上げてから色々とコメントをいただき、プロの批評がどのようなものかととりあえずアメブレイクを見てみましたが、全くピンときませんでした。でも$$$さんの書かれた本作への評価にはなるほどと膝を打ちました。私には日本語ラップとヒップホップの差異は言語の違い程度のものと感じていますが、$$$さんが書かれた意味合いでAnarchyに未来を見出したが故に評価するとなれば、活字メディアでの過大ともいえる評価には納得できます。

> BIGZAM
単にネタです。ラップ技術だけを取り出してみれば変わるところはないとも思っています。
gogonyanta | 2009.01.14 Wed 01:36
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