LUNA『QUEEN of STREET』

2009年3月11日リリースのファーストアルバム。
アルバム前半でのふんだんなオートチューン使いや彼女の体型、あるいは顔を鑑みるに、本人は日本の"Lil' Kim"といっているが、どうも日本のT-Painにしか見えない。歌ってラップもできるし。
M5「Body Roll」で客演しているL-VOKALが、"出来ればボディーはコカコーラのボトルの様な子がいいな"とラップしているけれど、きっとこれはルナへの皮肉だろう。コカコーラのボトルには瓶もあれば、1.5リットルのペットボトルもあるわけで。
戯れ言はさておき、6曲目までのヒップホップサイドはそれほど悪い出来ではない。SEEDAやSIMON、Lボーカルといったアクセントが効いているし、オートチューンの下世話さとも相まって、ヒップホップアルバムらしい低音を楽しみながら聴くことができる。dee.cのトラックの鳴りの良さもかなり貢献している。
ルナのラップは誉められたものではないものの、英語混じりなだけではなく、M6「I'll Be There」では日本語でもできるところを証明しているわけで、頑張りを認めるにやぶさかでない。
ただ、後半のR&Bサイドに入ると失速してしまうのは残念。dee.cによるM7「First Love」はまだ聴けた。というか、このアルバムの中でこの曲が一番いいかもしれない。前半での歌メロで顕著だったやや歌謡曲風味のメロディラインがここでも楽しめる。オートチューンも非常に効果的だ。
それ以降が酷いのだ。どこにでも転がっている物語を薄っぺらい言葉で歌い上げ、それはそれでよくあることだし、その歌物語にリアルという肉付けをするのが表現力なわけだが、残念ながら彼女の歌唱力はその域に達していない。どうせなら最後の最後までオートチューン使いをすれば、その辺りの粗を隠せたろうにと思う。
ボーナストラック扱いで「I Have A Dream」が収録されているが、BESのラップで"君は何を手に 何を捨て 何を背負い 生きる街の中 / それは何処に居ても同じ 取れ行き先まで面舵を"とある。曲の題名からも"行き先"とはそれぞれが思い描く「夢」のことだと推察できるわけだが、その夢に向かって面舵を取れとすると、夢が右方向にあることになるわけで、それでいいのか。夢というこそばゆいものはたいていがその人の正面にさんぜんと輝いているもので、真っ直ぐに突き進んだ方が絵面としてかっこいいと思うわけで、ここは単純に"舵を取れ"がいいのではと思ったり思わなかったり。
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2003.11.19 1st mini AL『THE FREAK SHOW』
2006.09.06 1st SG『HAWAII??』
2006.11.?? 2nd SG『Lost Platinum』(配信限定)
2007.09.?? 3rd SG『I REMEMBER』(配信限定)
2007.09.?? 4th SG『光のドア』(配信限定)
2007.09.?? 5th SG『4ever』(配信限定)
2008.04.23 6th SG『FOCUS』
2009.03.11 1st AL『QUEEN of STREET』
2010.06.23 2nd mini AL『Complexxx 〜言えない気持ち』
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