すばらしくてNICE CHOICE

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ぼくを葬る / Le Temps Qui Reste

40点/100点満点中

フランソワ・オゾン最新作。2006年公開映画。

ネットでの評判は結構いいようだが、どうすればそこまで評価できるのか、
まったくわからない。非常に悪い出来だと思う。

"死"をめぐる3部作で、『まぼろし』に次ぐ2作目とのことだが、1作目の『まぼろし』
も面白いと思えなかったお子ちゃまな人間にはなかなかハードルの高い映画なのだろう。

末期ガンと診断され、余命3ヶ月と宣告されたゲイでカメラマンの主人公が辿る
"残された時間(原題)"の過ごし方。
死を受け入れ、向かい合い、自分の生き方を顧みる。

恋人、両親、姉、祖母、仕事、と様々な人に別れを告げ、死と向き合う。
なかでも、昔は仲の良かった姉との複雑な心の動きは、ゲイならではの感情であり、
監督自身の思いが色濃く出ているのかなと邪推してしまう。
安易に離婚してしまうのに、子供だけは授かってしまう女性という性そのものに
強い嫉妬心を抱き、苛立ちを募らせる。
ゲイカップルの結婚は正式には認められず、ましてや子供を産むことなど出来はしない。
実際に子供が欲しいとかではなく、出来ないという不可能性に苛立つのだろう。
自分の子供ができるとわかってからの、姉との電話での和解はいいシーンだった。
そして、不妊で悩むカップルとのベッドシーンも滑稽でよかった。

が、人間は1人で産まれてきて、1人で死ぬ。これは当たり前のことで、
そんなことをオチも、盛り上がるドラマもなしに、監督の死生観を垂れ流しで、
さあ、これが芸術でござい、木戸銭は1800円ですよって。
それは暴利だろう。
自分1人で育ち、勝手に大人になったかのように考え、傲慢に死んでいく。
そんな主人公に誰が共感できるのか。
爽やかな朝日射す砂浜を散歩中の観光客が、死体を見つけたらどうなる?
しかもカラスにでも突っつかれて、無惨な肉片をさらしていたら。
まったく自分勝手な死に方で、どこで感動していいやら。

フィクションなわけだし、全ての源、母なる海に抱かれて死ぬのは美しい。
それは、かまわない。
しかし、テロ国家でもあるまいし、今更、死にロマンなんてあまりにも陳腐。
身勝手さが若さだとしても、この主人公は31歳という設定で、いい年だろう。

井筒監督ではないが、映画はドラマだと思う。
カメラマンである主人公が、死を間際にして本当に自分の撮りたい被写体を見つけ、
思いを込めてそっとシャッターを押し込む。
そこには、今までの感謝や思いの丈が込められた写真が焼き付けられているのだろう。
それを観客に想像させるのでなく、見せろよ。
実際に見せて、こちらの心を揺さぶって欲しかった。
エンドロールのいつまでも続く潮騒なんて眠いだけだ。
折角ギリギリで起きていられたのに、あやうく眠りかけた。
死なんてきれいなものではないし、死はそれまで隠していたものを曝くものだ。
あそこで1葉でも2葉でもファインダーの中だけの主人公の本当に伝えたかった気持ちを
映してくれれば、もう少し評価した。

まあ所詮、お上品な映画を理解できない無粋なハリウッド映画好きの言い草だが、
この映画は作り手がひとりで悦に入っているだけの作品でしかないと思う。
『8人の女たち』や『スイミング・プール』のような映画を次はお願いします。
2006.04.30 Sunday 00:00 | 映画 | comments(3) | trackbacks(1)
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2019.08.20 Tuesday 00:00 | - | - | -
コメント
コメントありがとうございます。
トラックバックは迷惑なのがきたので中止しております。すみませんでした。
わかば | 2006.05.02 Tue 10:32
『まぼろし』も面白いと思えなかったお子ちゃまな人間にはなかなかハードルの高い映画なのだろう。

天の声 | 2009.04.19 Sun 22:09
天の声様

ハレルヤ!
天のお声が降臨した!! しかもお説教を垂れられた。ありがたや~。アーメン。
gogonyanta | 2009.04.22 Wed 00:36
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