すばらしくてNICE CHOICE

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FUNKY MONKEY BABYS『ファンキーモンキーベイビーズ3』

2009年3月4日リリースのサードアルバム。

彼らの何が受けてそんなに売れているのかとセカンドアルバムを聴いてみたことがある。「僕」と「君」の物語がこれでもかと分かりやすく噛み砕かれ、その上から丁寧に包装された音になるほどと納得はしつつも、こんな音楽に訴求力があるなんてと呆れもした。もう聴くこともないと思っていたが、2枚目は最高で5位だったのが、今作は初登場で首位をかっさらっていった。なのでもう一度挑戦してみた。


初週の売上枚数が8万302枚、2週目3万2637枚(6位)、現在4週目で16位につけ、累計枚数は13万9130枚。好調だ。最新チャートでもあるこの4週目は、Diggy-MO'のソロ作やマボロシのサード、スチャダラパーの待望の新譜などもランクインしている。しかし、それぞれ21位で7929枚、25位6527枚、47位3681枚と元気がない。昨日聴いたTARO SOULに至っては193位だ。一方でチャート向けヒップホップグループのnobodyknows+は11日にベストアルバムを出していて、こちらは初登場48位。同じくベストをリリースしたエイジアエンジニアも120位と奮わない。

人気だけで考えるとFUNKY MONKEY BABYSはすごいグループといえる。日本でヒップホップ/ラップといえば彼らなのだ。14万枚もさばけるグループは日本にはいないのでは。そういえば、昨年の童子-Tの企画アルバム『12 Love Stories』は4週目で同じく14万弱売れていたか。

当たり前の話ではあるが、売れたからといって音楽性が高いわけでもないし、売れなくてもすばらしい楽曲は無数にある。


本作の大半の曲は前作同様に「僕」と「君」の童貞物語だ。健全安全好青年な「僕」が「君」と出会えた奇跡に感謝し、「君」を幸せにすることが自分の全てであると思い込み、一方では「君」に全部伝えたら、これまでの関係が壊れてしまいそうと心配しながらも、友達のままでいることも辛いので、身勝手に自分の想いを伝えてしまう。

始まりがあれば終わりもある。今作では2パターンが用意されている。すなわち夏と冬の別れだ。"冷たくなった僕の頬を温かい掌でそっと包み込んでくれたんだ 僕は幸せだった"。過去形が悲しみを誘う。

もうひとつの路線は無垢な未来志向だ。目の前には無限の可能性が広がっていると錯覚し、どこへでも行けるのだと聴き手に出発を促す。将来の自分のために、今汗を流すことは尊いことだと語りかける。

彼らのメッセージを否定する人間はいないだろう。もしいるならば、その人はきっと人でなしに違いない。子供の悪行を見て見ぬふりをするならまだしも、自らの犯罪行為を誇る大人が多いヒップホップというジャンルで、未来ある子供たちに向けて、"誰かのためじゃない 成績表のためでもない / もっと大きな自分が未来で待っているから走るんだ"と熱く訴える汚れなきひたむきさは評価されてしかるべきだ。


と、まあ彼らの美点を挙げてみたのだが、曲を聴けば分かるようにお子ちゃまラップの最たるものである。どんな能書きを垂れようとも、全ての楽曲で金太郎飴なフロウを聴かされては少しも琴線に触れないわけだが、でもこういうのが売れるのだ。

カラオケの影響なのか。誰もが簡単に口ずさめるように、わざと同じ調子でラップしているのかもしれない。曲ごとでフロウを替えると難易度が上がってしまうために、演出した下手さなのか。フックの歌がラップ同様にどうしようもないのも同じ趣向によるものだろう。誰もが歌った時に様になるようにだ。

リリックの平易さもみんなで盛り上がるためには最適だ。ひとり小難しいことを歌っても、場の雰囲気が壊れるというもので、楽しい席にはひねくれた表現よりも直球の方が伝わる。

まあ、カラオケに行かない人間の思い込みだけの分析なのだけど。ふとタロウソウルが苦戦している理由も思い浮かんだ。歌うラップで受け入れられやすいはずの彼だけど、ひょっとしたら歌やラップがうますぎることに原因があるのかもと思ってしまった。つまり、カラオケで再現するのが難しいということだ。


何にせよ、青二才ラップばかりでは苦痛だ。M11「ナイトショット」のナンパに勤しむ男の話のように若干のエロ要素を取り入れたり、M12「LOVE乱舞」のごとく初デートの失敗をコミカルにラップするなど、SEAMOがやっている路線をもう少し意欲的に導入すれば、アルバムとしての聴きやすさが増すように思う。
2009.04.07 Tuesday 23:59 | 音楽 | comments(6) | trackbacks(0)
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2017.10.17 Tuesday 23:59 | - | - | -
コメント
はじめまして、いっつも読んでます。
辛口な評価が見ててとても気持ちいいです。

そして「金太郎飴なフロウ」
すっげーパンチラインだと思いました。
いっつも見てるだけで書き込むつもりはなかったんですが、
あまりにも良いパンチラインだったので書き込みしました。
では。
なべわた | 2009.04.09 Thu 13:36
なべわた様

こんばんは。
コメントありがとうございます。

そんなに誉めていただくと何だか照れます。ありがとうございます。どのようなコメントでも嬉しいので、これからも気軽に書き込んで下さると幸いです。

ではでは。
gogonyanta | 2009.04.10 Fri 00:44
カラオケのくだりは鋭いご指摘だと思いました。

グリーンやらファンキーモンキーとかは皆馬鹿みたいに歌いますからね。
けど僕の周りではKREVAを歌う人はあんまりいないんですよ。

やっぱり単調なフロウでなきゃ歌いづらいのでしょう。

般若の「その男、東京につき」を歌ったらみんなから白い目で見られたあの日を忘れることはないでしょう。
いっちゃ | 2009.04.10 Fri 11:28
いっちゃ様

こんにちは。
いつもありがとうございます。

やっぱりカラオケで人気なんですか。大声で歌ったら盛り上がりそうですもんね。でもあんなリリックを聞かされるのも苦痛だなぁ。KREVAは「音色」とかならメロディがあるから良さそうですね。般若がカラオケに入っているというだけで驚きでした。
gogonyanta | 2009.04.12 Sun 11:18
幼稚園のころ健全 安全 好青年、好きでした。
左の胸に常識バッチをか〜がや〜かせて〜
2ばん | 2009.04.16 Thu 22:49
2ばん

こんばんは。
いつもありがとうございます。

そこを拾っていただけるとは本当に嬉しいです。しかし、幼稚園のときですか。結構年が離れてるんですね。
gogonyanta | 2009.04.17 Fri 01:00
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