すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
08 / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
<< Dirty Old Men『accelerate』 | main | チェイサー / 추격자 / The Chaser >>
GOEMON

80点/100点満点中

CASSHERN』から5年。紀里谷和明監督の待望の新作。2009年公開作品。

************************************
1582年、本能寺の変。織田信長は天下統一を果たせず、非業の死を遂げる。一方で謀反を起こした明智光秀もまた三日天下に終わり、羽柴秀吉に討ち取られる。それから15年。天下人となった豊臣秀吉の治世は戦乱の世ではなくなったものの格差が広がり、庶民は困窮していた。そんな時に現れたのが天下の大泥棒・石川五右衛門。義賊として庶民のヒーローとなる。ある夜、五右衛門はいつものように大屋敷に盗みに入り、大判小判と共に南蛮製の箱を手に入れるのだが・・・。
************************************

よくできている映画だった。前作『CASSHERN』が秀でていたのは唯我独尊な世界観と美術であり、物語る力や俳優を生き生きと撮る力には乏しく、今作は監督の独特の色使いや作品世界を大きなスクリーンで見られれば十分という思いだけだった。しかし、意外にもしっかりと練られたドラマがあり、125分と長尺だったものの、十二分に楽しめる。前作でのそれは相当に酷いものだったのに比べれば格段の進歩だ。見る者を置きざりする省略の潔さが気高くもあったわけだけど、今回はほどよく説明を入れて分かりやすさを心掛けている。

江口洋介が主役の時点で演技力なんてものは期待できないわけだが、この点でも意に反し、最初こそ違和感があったが、次第に慣れたのか、さほど煩わされずに見られた。徳川家康を演じた伊武雅刀は声だけで大人ぶりを演出でき、あれは反則。中村橋之助の織田信長は不思議な貫禄と雅があり面白い存在感だった。

そして、平幹二朗。彼は千利休役だったのだが、大河ドラマを思い出してしまい、茶々に悪さをするのじゃないかと気が気でなかった。あの髪型のせいだな。その茶々を演じたのは広末涼子で、よく見れば確かに彼女だと分かるのだけど、予告篇で見たときは一青窈かと思ってた。

まあ、大人の俳優はそれなりの演技だったので、特に大きな不満はなかったのだが、子役時代の五右衛門と茶々の絡みにグッときた。茶々を福田麻由子が、五右衛門を田辺季正が演じる。福田は少し前に別の映画かドラマの番宣のためにバラエティ番組に多く出ていたので知っていたが、この子は本当にうまい。出番はわずかなのに強烈な印象を残した。いい年をした大人なのに子供の演技に涙腺を刺激されるとは思わなかった。

前作のお笑い枠は宮迫博之だったわけだけど、今回はガレッジセールのゴリ。下手ではないが、使い方がまずかったように思う。後半の処刑場辺りから雑になりだしたのが残念。

CG映画のアクションは笑えるほど豪快な方がいいというのが信条なので、この点でも特に不満はなし。強いて挙げれば、前作のようにバックが暗いとどうにか様になるが、陽光の下で戦うと予算の都合が垣間見られ、粗が目立ってしまう。暗転する省略を多用したのも上の理由からなのだろうが、それはいいと思う。紀里谷監督の省略は思いっきりがいいから好きだ。

CASSHERN』ではくすんだ背景が多用され、陰鬱な感じだったけれど、今回は豊臣の世ということもあり、豪華絢爛な極彩色の背景、衣装が花開き、なかなか壮観なものだった。悪くない。前作とは趣が違うが、しっかり作り込んでいるのは同じだ。



以下、思いっきりネタバレ。



舞台となる時代は1582年の本能寺の変から15年後ということで1597年になる。この年までに茶々(淀殿)は秀吉の子を産み、利休は自害させられている。朝鮮出兵(文禄の役)はこの年だ。つまり、紀里谷は史実を改変したというよりも、パラレルワールドを描いているわけで、まあ五右衛門が仇の秀吉を討つという衝撃の展開もありといえばありなのかもしれない。その突き抜け感は実に紀里谷ワールドだ。そんなことを知らずに見ていたので、唖然とさせられたのだけど。あのジョン・ウーでさえ、『レッドクリフ Part II』で曹操殺しを思い止まったのに。

でも史実の範囲内で描かれたらさらに評価できただろうなとは思う。


しかし、外国人が想像するオリエンタルムードな映像がふんだんにあり、アメリカ人も大好きな忍者が大活躍する映画なわけで、向こうでもそれなりにヒットするのでは。どうなのだろう。オープニングでワーナー・ブラザースがクレジットされていたから、その予定があるのかな。

それと、韓国人格闘家のチェ・ホンマン。秀吉の護衛役として奮闘を見せるのだけど、あれは芸人のチョ・ヘリョンが「君が代」に拍手するよりまずい事態になりそうだ。いくら作品世界では韓国出兵がないとはいえ。あの大剣を振り回すシーンにもう少し迫力があれば良かった。


まあ何にせよ、紀里谷和明を断固支持。『CASSHERN』は色々批判が多かったし、今作も同じように噴き出るのかもしれないが、エンターテイメントに特化しながらも自分の色を出せる数少ない日本人監督なのだ。次も期待したい。
2009.05.01 Friday 23:57 | 映画 | comments(6) | trackbacks(0)
スポンサーサイト
2019.08.20 Tuesday 23:57 | - | - | -
コメント
私的には、予告を観た限り「キャシャーン」でやった陳腐な「ブレードランナー」ごっこを時代劇風に撮ってるだけにしか見えないので、というか反省の色が見えてないのでシカトして「グラン・トリノ」か「パニッシャー:ウォーゾーン」を観に行こうかと思います。
フランク | 2009.05.02 Sat 19:54
フランク様

こんにちは。
お好きにどうぞ~。
gogonyanta | 2009.05.03 Sun 10:55
http://www.kamipro.com/column/korea.php?id=1241348641

やはりバッシングされましたね。
日本人はかりにB-29に乗った人を演じた人が国内で活躍してもバッシングしないでしょうけど。
どっちの国民性がいいんだろうか。
なのるながない | 2009.05.04 Mon 12:44
なのるながない様

こんばんは。
お返事が遅れましてすみません。

愛国心がないのと、過剰な愛国心。どっちの国民性がいいのか迷いますが、韓国映画を見ていると、この人たちとケンカをしてはいけないとか考えちゃったりします。
gogonyanta | 2009.05.08 Fri 00:51
すいません、つい先日「GOEMON」観たんですけど全くの駄作でした。
中途半端な反戦メッセージ(もしくは貴族万歳な内容)とPS2よりクオリティが低いCG(とくに草原での戦い)に見終わった後は海よりも深く落ち込むと同時に紀里谷に殺意を抱きました。やっぱり月に映るシルエットはどんな風に撮ってもダサいですね。映像を売りにしててもあんなに安っぽかったら映画以前の問題ですよね。ブルーレイで観たんですが珍しく損した気分になりました。以上、報告でした。
赤影 | 2009.11.13 Fri 23:24
赤影様

こんばんは。
ご報告、おつかれさまでした。
次からはご自分の心の中にそっと収めたままでも大丈夫ですよ。以上。
gogonyanta | 2009.11.15 Sun 14:40
コメントする











この記事のトラックバックURL
http://gogonyanta.jugem.jp/trackback/2773
トラックバック
Profile
Search This Site
Category
New Entries
Comment


Archives

今日も愚痴り中