すばらしくてNICE CHOICE

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志人×DJ DOLBEE『円都家族 / 今此処』

2009年5月2日リリースのシングル。

失われてゆくメディアに焦点を当てたTempleATS企画の、ポストカードレコードに続く、第2弾"8cmCDよ永遠に"。いわゆる短冊型のパッケージに入っている小さいCDのことである。アダプターがあったので辛うじてパソコンに取り込めた。本人はあまのじゃく的に楽しんでいるのかもしれないが、聴き手は非常に不便をしているぞ。ここまで来たら次はカセットテープなんて甘っちょろいものではなく、MDでお願いしたい。

M1「円都家族 ~¥enTownFamily~」は以前にMySpaceにアップされていた音源(ミックス前との表示があったのようなないような)よりもより音の粒がはっきりとし、また新たに声がかぶせられたりしている。

"崩れそうなそんな時には父さんを思い出そう
 挫け疲れやつれ果てたら母さんを思い出そう"

の部分で、それぞれ父母のセリフとして"お家に帰ろう"と入っていて、このパートがすごく印象に残った。志人の家庭がどんなだか知らないが、この家族の風景が彼の幼いときに見てきたもので、今でも彼らとの絆が強く残っているならすてきなことだなと思いながら聴いた。

そしたら、ホームページにこんなことが書かれていた。

"私はこんな家庭ではなかったけれど、せめて夢の中ならばこんな風景で家族と繋がっていたいと思って詩を書きました。「えっもう朝?」と驚いている 私は0歳の赤ちゃんの設定です。"

ああ、そう。まあ、なんにせよ、いい曲だ。自分をとりまく人間に対し素直に感謝の気持ちを表すのはヒップホップの定番ではあるけれど、それとは一線を画し、細かく真実味のある描写でもってひとりひとりの人間を描くことで、その人への温かい気持ちがよく表れていて、感謝感謝と連呼しなくても思いが伝わる。

カップリングのM2「今此処 ~Here Now~」は、同居人にいわせれば、これって小林大吾といった感じで、ラップというよりもポエトリーリーディングに近い印象を受ける。しかし、押韻に関しては非常に凝っている。例えば、"白髪だが矍鑠(かくしゃく)としたクジャク伯爵"といったように、これでもかと踏んでいて愉快。

この曲は、"クジラや獣、虫や蝶に、ネムノキや名月などに扮し、「今、此処」という永遠の時間軸を「無私」の世界観"で捉えたものと、HPで"志虫"が説明している。

"永遠の時間軸"というものが何なのかよく分からない。前半は太陽を失っておろおろするねずみさんやセクシーななめくじさん、がめついカメムシさん、ネムノキが描かれ、てっきり日蝕の話かと思ったのだが、後半のアロワナが出てくる辺りから文明の滅亡が始まってしまうので、整合性が取れない。作者のいう通りに、"永遠の時間軸"の話なのだろう。

"よしなしごとはよしな 未来を楽しめば良い"という星の助言を大切に胸にしまっておく。

どちらもトラックはダブルネームでクレジットされているように、DJ DOLBEE。丸みのあるビートに、志人の言葉を邪魔しない程度にアブストラクトで雄弁な上音。2部構成になっているM2は特に面白い。M3「Slow Time」は彼のインスト曲なのだが取り込めず。


久し振りの音源なわけで嬉しくないわけがない。諸手を挙げて讃美を送る次第だが、似た雰囲気の曲を2曲よりも、カップリングにはもう少し攻撃的な曲(世界観は攻撃的だけど)でも良かったかなと思わないでもない。例えば、「自由からの逃走 (the 3-hour lyrics)」とか「自由からの逃走 (the 3-hour lyrics)」とか「自由からの逃走 (the 3-hour lyrics)」とか。ちゃんとしたミックスのを聴きたい。
2009.05.02 Saturday 23:59 | 音楽 | comments(9) | trackbacks(0)
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2017.06.29 Thursday 23:59 | - | - | -
コメント
この日がやって来る事を
どんなに待ち望んだことか

新宿タワレコの棚にこのシングルが並んでいるのを見た時は
この感動をなるだけ長く味わいたくて
しばらく近づかず、遠くから眺めてました

よっぽど不審だったのか
店員から声をかけられてしまいましたが…

ただそうでもされないと、いつまでもCDを買えそうになかったので
店員さんに感謝です

この年になっても
首を長くしてリリースを待ち望み
発売日になると朝からニヤニヤが止まらず
店に行く道中では幾度も走り出してしまうという
中学生バリの音楽への初期衝動というか
アイドルに本気で恋する童貞ぶりというか
そんなイカ臭い気持ちを思いださせてくれる
志人がいてホントに良かったです
今はアルバムが延期された事すらプラスだったんじゃないか?
と思えるほどこのシングルの発売に浮かれまくってます
内容に関して語る事は何もありません
nyantaさんにおまかせです

さて、先日の高円寺での志人のライブですが
50分という長丁場を初めて耳にする数曲の新曲を交えてのもので
楽曲に関しては次のアルバムは余裕で
LIFEを越えるだろうと思わせる素晴らしいものでしたが、
一抹の不安を感じてしまったのは曲間のポエトリーでした

以前からライブの曲間では人生の素晴らしさや
地球の大切さを問いてきた志人ですが
この日は時間もあったせいか
どっかの団体のイベントじゃないかと思う程で
今まではギリ踏みとどまっていたと思うんですが
その一線を踏み越え、自然の偉大さを説きまくって
会場はドン引きでした

ただこの円都家族のリリースを体験した今は
志人が信じるものなら、無条件に受け入れ
僕も入信しようと思います
what's? | 2009.05.03 Sun 22:25
どうも。お久しぶりです。上のコメントの方もおっしゃっておられるように、高円寺で見た志人にはどこか宗教的な側面を感じてしまい、以前のような純粋ないい気分では彼のライブを体感できませんでした。別に平和、自然を説くことが悪いとはもちろん言いませんが、僕が彼に求めているものはそうじゃないのかなーと。今回のシングルに感じたのもそのような思いです。これが彼の新しい側面なのだと言われればああそうなんですか、と解釈するしかないんですが。志人の哲学がなんか平凡なベクトルに行ってしまったようでちょっと残念です。なんかライブでのセットリストも固定されつつあるし。。。

とりあえず5月の渋谷ルイードでは久しぶりに降神としてのライブが見られそうなんで、まあ楽しみにはしてます。

高円寺ではKOCHITOLA HAGURETIC EMCEE'Sのほうが楽しめました。鎮座dopenessは今年ソロで出すようなので期待してます。


なにげに今年も豊作になりそうですね。TBHR、seeda、ダースレイダーなどなど。。。
僕はエミネムに一番期待してます笑


あ、ちなみにスチャダラはまだ聴いてません笑
gogonyantaさんがかなりすすめておられるので、機会があったら是非聴いてみたいです。LB勢にはもっともっと前に出てほしいですね。
wanyanaguda | 2009.05.03 Sun 23:30
なんどもすみません。
なんか何が言いたいかよくわかんなくなってたんで。
要するに、彼のダークな部分がなくなってしまったようで残念だなということを言いたかったです。


長文失礼しました。
wanyanaguda | 2009.05.03 Sun 23:33
ダーク ダーク ってなんだ? 人間色んな部分があるんじゃないか?


こども | 2009.05.04 Mon 01:00
what's? 様

どうもです。
what's?さんの高揚感が伝わってくるコメントで、私も伝染しそうです。でも確かにタワレコで並んでいるのを見たときは、ちょっと信じられなかったですね。誤報ではなく本当に本当にリリースされたんだと思いました。あの柱のそばの薄暗いスペースには確かに後光が射してました。シングルが立派に出たんだから、降神のアルバム発表も少し信じられるようになりそうです。

> 、先日の高円寺での志人のライブ

志人のライブを人一倍ご覧になっているwhat's?さんにとっても初めて聴く新曲があったということは創作熱は相当高いところにあるんでしょうね。

最近プリンスのブートレッグを色々聴いているのですが、志人のライブ録音とかって売ってないんですかね。ファンとしてあまり誉められた姿勢ではないですけど、あれば買ってしまいそうです。

ライブでの説法ならまだしも、作品にまで影響し出すと少しきついかもしれませんね。それと実際に聴いていないので、何ともいえないのですが、自然の偉大さを説くのに、志人ならではの言葉で表現されるなら、私も信者の端くれとしてはオーケーかもしれません。でもうさんくさいその手の団体が声高に話すのと同じ言葉だったらさすがに引いてしまうかも。

でも50分間志人オンステージというのは羨ましすぎですよ。行けば良かったなぁ。

ライブの話ありがとうございます。



wanyanaguda様

こんばんは。
ホントお久しぶりですね。嬉しいです。
ライブ情報もありがとうございます。

> 志人の哲学がなんか平凡なベクトルに行ってしまったようでちょっと残念です。

身の回りの気にもかけていなかったものに気づき、感謝を捧げ、大切に愛おしむという姿勢(それが哲学とまでいえるのかは分かりませんが)は、ありがちといえばありがちなんですが、人間って成長するとそういうものなのかなとは思います。サードアルバムのIll-Bosstinoもそうですよね。志人も今年で28でしたっけ。そろそろ結婚とか子供とか考えはじめるのだと思います。丸くなったといえば丸くなったのかもしれないですが、そこで若い頃と変わらない風変わりなことをやり続けるのはまた別の才能のような気がします。そういう芸術家も確かにいますが。

何にせよ、上でwhat's?さんがおっしゃっているように、そうなった志人でもその表現方法は希有で、まだまだ面白いと思います。ヒップホップという枠を壊しつつも、考えられないぐらいに踏みまくっているわけですよ、M2なんかは。先日のライブを実際に見ていないからなのかもしれませんが、このシングルを聴いた今は志人という表現者がこの先どう変わり、どう成長していくのか見てみたいと思いましたね。

ルイードの降神としてのライブも楽しみですね。鎮座ザドープネスがソロですか、それは面白いですね。期待したいなぁ。あと、ダースレイダーのは客演が豊富で良さそうです。キリコとのは視聴しましたが、良かったです。エミネムはまあ聴くのかなぁ。だいぶ前に聴いたきりなので、どう変わったとか分からなそうで、ちょっとあれですが・・・。般若のアルバムはかなり楽しみです。



こども様

こんばんは。
少しお行儀が悪いようですね。

子供には難しいかもしれないでちゅが、人間にはいろんな側面があるということは当然の前提として書いてるんでちゅよ。行間を読もうね。
gogonyanta | 2009.05.04 Mon 01:41
こどもな書き込み済みませんでした。行間読んでなくて済みません。ばぶ
 
私が志人に求めているものと、wanyanagudaさんが求めているものが違うのですね。 降神の2nd「望」でも「Dreaming」や「悩め」、「天国と地獄」「無呼吸教室」という曲が暗めな感じのものが収録されていますけど、
一方で私は「Hello baby」なんかの志人も志人だと思うのです。
wanyanagudaさんが志人に求めているものは何でしょうか?

"FUCK THE POLICE"を唱えて反社会、反体制 をひけらかす様相が今日のギャングスタラップに見受けられますが、私はそういった思想や哲学の方がなのるなもないの言う所「狭い世界」だと思うのです。

私は志人の非社会的な所が良いと思います。 
人や地球の事を客観的に見ている視点が好きです。
直情的な言葉をかける時もありますが。その主語や主人公が人間ではなかったり、人間なのか神なのか分からない壮大な視点を彼は持っていると思います。 私の様なステレオタイプ人間が多く居るこの世の中、私は今の開発発展主義の社会に「自然」や「平和」を説く事の難しさを感じます。

みんなそれを「ありきたり」と考えるからでしょう。 
エゴを捨てないと「エコ」なんて語れないと言った所でしょうか?

そういった意味では「円都家族/今此処」では見事に私に教えてくれました。 これも勝手な解釈ですが、「対話」こそが本質に触れ、お互いを理解し合う事なのだと。 

父や母、祖父や祖母、兄弟と対話を失っていませんか?
虫や鳥、星や、もののけ達と対話を失っていませんか?

という事を志人の曲から私は感じました。

人間は矛盾する生き物だと思いますが、あえて「今此処」では彼は「人」の視点を失ったのではないでしょうか? 勝手な解釈ですが、だから「志虫」なのかなと。

他のラッパーの話になりますが、
shingo2とかはどうですか? 新作ではもはや何が言いたいのか分かりませんでしたし、LIVEでもカッコ付けている感じがしてなりません。
私にとってはブルーハーブもそうなのです。 結局ラップはカッコつけてなんぼなんですかね。 もうそういったラップは何故か拒絶反応が出ます。

志人やなのるなもないの方が色々な心象世界を体験させてくれましたし、
狭い世界から私を逃がしてくれました。

志人は、カッコつけてない「裸」な所が私は大好きです。


長文失礼致しました。 







こども | 2009.05.04 Mon 13:17
こども様

こんばんは。
丁寧な長文をありがとうございます。
最初からこのように書いて下されば良かったのに。。。

こどもさんのシングルへの解釈は大変参考になります。"「人」の視点を失った"のか、失おうと努力しているのかは私には分かりません。しかし、どのような視点で描こうと、"「裸」な所"が表れてしまうところが志人の魅力だと思います。だからこそ、盲信といわれようが、彼の表現がいかように変化しようとも追い続けたいと思ってしまうのです。

> Shing02
あれだけ日本語を巧みに扱えるラッパーは数少なく、すばらしいと思います。初期は引用が多めの取っつきやすさの伴う表現だったために、どうしてもその頃のラップを求められがちですが、自分の言葉で自分なりの表現を追及する現在の姿勢もまた評価されるべきと思います。

> THA BLUE HERB
こどもさんとやや同意見ですね。ライブのIll-Bosstinoは2007年に見たきりなのですが、ちょっともういいかなというものでした。カッコつけ部分がお腹いっぱいといった感じです。でも音源ではそのカッコつけがそれほど表に出ていないので、次のアルバムには期待しています。次に到達する頂がどこなのか楽しみです。

これからもよろしくお願いします。
gogonyanta | 2009.05.08 Fri 00:59
お久しぶりです!
志人のコレ、タワレコにあって買おうか迷ったんですが、グループイノウの新譜と
FACTのセカンドを買っちまいました・・・。

ここで言うのもなんですが、FACTの新譜フツーにかっこよすぎます。
カオティック、スクリーモ好きには堪らないです。


期待してたグループイノウは・・・
まぁ、リップって曲が良かったぐらいですかねぇ?


あ、ちなみに明日はBOSSを見に航空公園に行きます。
ボクはLIFESTORYのMainline〜Motivationのビッキビキな音が
なんだかんだで一番かっこいいと思ってるので楽しみです!

gogonyantaさんも行くのであればライブ評楽しみにしてます!
ピクニック | 2009.05.08 Fri 22:54
ピクニック様

こんばんは。
お久しぶりです。

group_inouはそのうち書くつもりです。まだ聴いてないんですが・・・。FACTはあの能面かぶっているバンドですよね。ノーチェックでした。気にしてみます。

> THA BLUE HERB
フェスに出たんですね。それすら知りませんでした。曽我部恵一と一緒というのも面白い組み合わせです。ボスについては、上でも少し書いているのですが、ちょっといいかなという気分で、次のアルバムのタイミングで見られたらと思っています。
gogonyanta | 2009.05.10 Sun 01:23
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