2009年6月17日リリースのセカンドアルバム。
1年7ヶ月ぶりの新作。前作『
そら』をリリース後4枚のシングルを切っていくなかで、ギターを中心にした楽曲に、仰々しくない程度に弦楽器を彩りに添える路線ができあがったようで、今回はそんな曲たちが、いくらか歌唱力が上がったとはいえそれでも痛々しいほどか細さ歌声はそのままという彼女を支える。
曲提供者を見渡すと
前回のようなワクワク感ないのは残念。歌手としてメジャーデビューしたはいいものの、作曲者としての仕事がメインになってしまったような人が多くなった印象だ。そのためCharaやくるりの岸田繁の名前が目立つ。
Charaの手掛けたM3「Only you」は良曲で、新垣結衣との相性は良好。チャラも声量は誉められたものではないわけで、必然だったのだろう。一方、作詞にいしわたり淳治、作曲が岸田というM6「進化論」は、これまたずいぶんと難しい曲をあげたものだなと思ってしまうメロディで、くるりで歌われれば様になったのだろう。サビメロが一瞬昔のアイドル歌謡になるのが面白い。しかし、いしわたり淳治はどこにでも顔を出すなぁ。東野の素人発掘番組にもそろそろ登場しそう。
メレンゲのクボケンジは今回もいい仕事をしている。M11「レインボウ」はガッキーには珍しくアイドルアイドルした曲に仕上がった。
歌唱力のレベルが幾分上がったとはいえ、"果てしない 広がるこの海のように"と歌われても、その情景が少しも頭に浮かばない程度なわけで、その歩みは亀のごとくなわけだが、その足らない表現力はアレンジによって助けられる。彼女をサポートする周囲は本当に優秀だ。一方で、M10「巣箱」のような切ない恋心を歌った曲だと、囁くような歌声が有効に働き、それなりに聴き応えが出てくる。
女性シンガーソングライターからの曲提供も相性を考えれば悪くないのだが、ギターポップバンドとの絡みが増えると嬉しい。それと、彼女が独力で歌詞を書いた曲が今回は1曲しかなかったのはさびしい。悪くない詩を書くのだからもっと挑戦すればいいのに。映画よりも歌にもっと力を注いでもいいと思う。
1.Heart will drive (作詞:emmy / 作曲:田中隼人)
2.うつし絵 (作詞:岩里祐穂 / 作曲:クボケンジ(メレンゲ))
3.Only you (作詞作曲:Chara)
4.Make my day (作詞作曲:Keito Blow)
5.フリーバード (作詞作曲:矢野まき)
6.進化論 (作詞:いしわたり淳治 / 作曲:岸田繁(くるり))
7.la la... (作詞:新垣結衣&葛谷葉子 / 作曲:葛谷葉子)
8.ハチミツ (作詞:岩里祐穂 / 作曲:島本道太郎&村山☆潤)
9.piece (作詞作曲:川江美奈子)
10.巣箱 (作詞:岩里祐穂 / 作曲:葛谷葉子)
11.レインボウ (作詞作曲:クボケンジ)
12.赤い糸 (作詞作曲:小渕健太郎(コブクロ))
13.hug (作詞:新垣結衣 / 作曲:蔦谷好位置)