すばらしくてNICE CHOICE

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POCKY『親不孝KID'Z AMBITION』

2009年9月2日リリースのファーストアルバム。

DARTHREIDERがCEOを務めるDa.Me.Recordsからデビューした福岡天神出身の新人ラッパー。なんと18歳。ダースレイダーのブログに詳しい経歴があったので編集して引用。

1991(平成3)年生まれ。キングギドラや映画『8 MILE』に影響を受け、中学2年でリリックを書き始める。中学3年の春に般若のライブを見て、ラッパーを志す。その年の夏に初ライブを経験。"親不孝通り"で実力を磨く。16歳の時(2007年)に、博多にライブをしに来たダースレイダーにフリースタイルを仕掛け、その際にデモ音源を手渡す。そのクオリティーがあまりに高く、ダメレコからのデビューに繋がる。

昨年のダメレコ4周年を祝うイベントで、ポッキーの名前を初めて知り、ライブを見た。若さゆえの粗さはあったものの、ひたむきにヒップホップを正面から見据えたラップスタイルは堂に入ったもので、言葉の選択にもキラリと光るものがあった。その時に本人からもらったデモCD『STREET BITTER EP』(ダースレイダーに渡したものと同じかは不明)はなかなか乙な出来映えで、すぐに記事にした。私は見られなかったが、今年のBBOY PARKのU20のMCバトルにも出場したようで、残念ながら本戦には出られなかったものの、善戦したようだ。

私はフリースタイルバトルにさほど興味が湧かないので、実際の戦いもDVDも見ることはないのだが、上でも書いたBボーイパークでの20歳以下のMCバトルでは10代ラッパーが言葉巧みに舌戦を繰り広げていた。ただ、音源まで出している人は少ないように思う。U20枠のバトルで優勝したコペルがアルバムを出していることを先日知ったが、自分名義の作品を自主からでもリリースしている他のラッパーは思い浮かばない。

TWIGYが連れ回しているSYZZZY SYZZZAはツイギーと共にYOU THE ROCK★の新譜に参加しているが、さすがの彼もソロ音源はまだのようだ。そういえば、SEEDAがSHIDA名義で初音源『デトネイター』をリリースしたのは19歳だったか。


18歳という年齢に話が向かってしまい、内容になかなか踏み込めないのだけど、彼のラップや音そのものは老成とまではいわないが、若さゆえの浮ついた印象が薄く、ひどく生真面目にヒップホップたらんとしている。テーマは、5曲入りのデモCDと同じで、地元愛、自身の存在証明、決意表明、向上心のないラッパー批判といったものに終始する。グラフィティ讃歌も1曲ある。歌詞カードはないが全ての言葉が聴き取れ、いくつものパンチラインを発見することは容易だ。

音は1ループ主体のトラックで、ダースレイダーとEI-ONE以外は初めて聴くトラックメイカーばかりだが、それぞれが燻り過ぎもせず、電子音まみれのド派手さも由とせず、背筋がピンと伸びたポッキーと同じ姿勢の音を紡いでいる。

不幸な生い立ちといったバックグランドや、イリーガルであること、あるいはスタイルの奇抜さなどの奇を衒った仕掛けで聴き手の耳を奪うのではなく、ラップそのものを、言葉の音楽を聴かせようとする強い意気込みが感じられ、非常に好印象だ。真っ直ぐで分かりやすい言葉だから、そのまま聴く者の胸に飛び込んでくる。はったりや虚栄心といったものが微塵も感じられない。


ただ、本作を評価できるのは18歳が作ったという点を多分に考慮しての話でもある。いくら真面目で素直なラップだからといってそれが13曲(うち2曲はインスト)もあれば、いい加減飽きてくる。ほとんどテーマが同じということもあるが、ラップスタイルもまた一本調子だからだ。ミニアルバムサイズならまだしも、フルアルバムだといささかだれる。

でも、それは総製作者として名前を連ねるダースレイダーからの助言があったからなのかなとも想像する。愚直なまでに3ヴァースを基本とし、歌ものフックは皆無。ラップの内容は自分が実際に目にしてきたことに留め、リリックには自分が普段話す言葉のみを使う。18歳でやれる以上のことには手を出さない。そういった姿勢に、まずは基礎固めに徹した1枚という印象を抱く。

ピアノの調べがきれいなEI-ONEトラックによるM13「ミチシルベ」のリリックにもある。"とにかく単なる序章 始まったばっか"。その通りなのだろう。



M8「WRITERZ HIGH」は博多の街で活躍するグラフィティライターに感謝を捧げる曲なわけだけど、3ヴァース目のリリックに大きく頷いた。ダースレイダーの新譜に収録されていた「JAPANESE WILDSTYLE」ではNORIKIYOのヴァースを批判したものだけど。

"メディアの歪んだ報道 グラフィティを消した後 バビロンが場を提供
 残すのはクソみてぇなアートの紛いもん"

石原慎太郎都知事が創設した大道芸人公認制度・ヘブンアーティスト(オーディションを通り、ライセンスを取得した芸人のみが指定場所での大道芸を許可されるシステム)に対する疑問と同種の違和感を覚える。本来自由な表現行為に"お上"が口を出すのはどうなのだろう。ただ、そうはいっても「JAPANESE WILDSTYLE」のところでも書いたように、程度問題ではあると思うし、汚らしいタグだけは街から一掃されて欲しい。
2009.09.07 Monday 23:59 | 音楽 | comments(4) | trackbacks(0)
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2017.06.22 Thursday 23:59 | - | - | -
コメント
美しいタグはあると思いますか?

kussi | 2009.11.02 Mon 03:11
kussi様

こんにちは。
コメントありがとうございます。

美しいタグ。。。あなたはあると思いますか?
gogonyanta | 2009.11.03 Tue 12:24
そうですよね

私は意外にバランスが良いものもあると思いますが、美しいタグは見たことないかも知れません。
上記の"汚らしいタグは"の部分が
タグ全てを指すのか、
汚らしいタグ一部を指すのか、
わからなかったので後者なら美しいタグを知ってるのかなと思いコメントさせて頂きました。

思えば大多数が汚らしいものばかりですね
kussi | 2009.11.03 Tue 16:27
kussi様

こんばんは。
失礼ながら質問を質問で返したのにもかかわらず、お返事をいただけて嬉しいです。

> 上記の"汚らしいタグは"の部分がタグ全てを指すのか、汚らしいタグ一部を指すのか、
> わからなかったので後者なら美しいタグを知ってるのかなと思い

ああなるほどそういうことですか。それなら前者ですね。タグだけに注意して街を歩いているわけではないので、多くの落書きを見逃しているのだと思いますが、目に付いたモノで美しいと思ったことはないです。

あれを仮にアートと呼ぶなら、それはそれで結構なのですが、それなりの審美眼を持てば、良さというものが分かるのかもしれません。でもまあ、たいていが汚らしくも汚らわしい出来としか思えず、素人目ですごいと思える"作品"はありませんね。
gogonyanta | 2009.11.05 Thu 01:44
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