すばらしくてNICE CHOICE

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スティーヴン・キング『夕暮れをすぎて』

読了。
☆☆☆/5点中

昨年発表された中短篇集『Just After Sunset』を二分冊にした一分冊目。全13篇のうち前半の7篇──「ウィラ」「ジンジャーブレッド・ガール」「ハーヴィーの夢」「パーキングエリア」「エアロバイク」「彼らが残したもの」「卒業の午後」──が収録されている。ひとりの訳者が全てを訳出したのではなく、分担したためにこの速い日本語版の上梓に繋がったのかな。ともかくこのスピード感はすごく嬉しい。

短篇ということでどれも手軽に読みやすく、またキング臭が少しも損なわれていないので、存分に楽しめた。

雑誌発表の時に読んでいた「ウィラ」のちょっとした驚きは再読にもかかわらず新鮮。彼らのもの悲しさもまた一段と深まったように思えた。「ジンジャーブレッド・ガール」はすごく良かった。中篇といえる長さなのだけど、あっという間に読んでしまう。キングお得意の閉鎖空間での偏執狂との一騎打ち、そこからの転換のうまさ、シンプルだからこそ物語る力を堪能できる。想像力の衰えを少しも感じさせない「エアロバイク」も良かった。余分三兄弟とは似て非なるものだけど、まあ似たような彼らがご主人様である主人公にもの申す話で、コミカルさと恐怖を同時に味わえる。

圧巻は「彼らが残したもの」。9.11の衝撃と受容の物語である本作は事件後わずか1ヶ月で書き上げられたというのだから驚きだ。いつの頃か翻訳小説はキングしか読まなくなったので、アメリカの他の作家があの事件についてどのような物語を生み出しているのか知らないが、本作から滲み出る悲しみや痛々しさは強烈だ。

そして、「彼らが残したもの」の後に、「卒業の午後」を持ってくる辺りに何というか、モダンホラーの帝王たるキングらしさがあるのかもしれない。


二分冊目は新春に出るらしい。お財布に優しい文庫での出版だし、楽しみだ。
2009.09.29 Tuesday 23:58 | | comments(0) | trackbacks(0)
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