読了。
☆☆/5点中
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4月。理工学部応用化学科の院生・山田は北海道から研究のために1年間研究室にやってきた斉藤恵に好意を抱き、次第にふたりは親しくなっていく。しかし、斉藤恵は既婚者で人妻研究員だったのだ。
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また今回も題名がすごい。覚えにくいし、口に出すのもはばかられるほどの気恥ずかしさがある。小学館は大ヒット作『
世界の中心で、愛をさけぶ』を出して以降、それにあやかってか長くも直球なタイトルの作品が多いのだけど、中村航も初期三部作を終えてからは小学館から上梓することが多くなり、その例に漏れず『
100回泣くこと』、 『
絶対、最強の恋のうた』といったベタな題名をつけるようになった。今回も思いっきりベタなので小学館なのかなと思いきや、角川書店だった。そういえば前作の『
あなたがここにいて欲しい』は祥伝社だったか。
内容はといえば、ふたりの1年間の恋愛模様を、時にせつなく、時にバカップルモードそのままに、またポエム要素もふんだんに取り入れつつ描かれる。題名そのままの気恥ずかしさは確かにそこら中にあるのだけど、不思議と読ませるのは主人公の語り口にある種の真摯さが宿っており、それが最後まで損なわれないからだろう。ふたりの間には大きな障害が立ち塞がるものの、うまくいって欲しいなと思いながら読み終えることができる。ただ、最後の部分はもっと突っ込んだ終わり方にして欲しかった。物足りなさが残る。
『
絶対、最強の恋のうた』で登場した名脇役・木戸さんが今回も大事なところ(?)で顔を出す。大野と坂本はゲームのキャラとして少しだけ活躍。