すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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スイカ夜話祭り@下北沢GARDEN
雨がパラパラと降るなか、若者がてんで勝手に個性を振りまきながらも、みな一様に似た匂いを放っている街・下北沢を足早に進み、できたばかりという「下北沢GARDEN」に滑り込む。

ライブハウスとも思えない清潔感のある階段を下り、開始時刻の5分前に中に入るとすでにタケウチカズタケのソロが始まっていた。横長のフロアもギュウギュウ詰め状態。左右に設けられたバルコニーは音が悪かったので、頑張って混み合うフロアを突き進み、どうにかPAの真下を確保。「GARDEN」のHPでは立ち見でのキャパが500人。途中のMCによれば満員御礼となり、沖縄から来たお客さんも入れられなかったとか。


<第1部:SUIKAライブ> 18:00~18:20

【SUIKA】 18:00~18:20

SUIKAメンバーがぞろぞろと袖から姿を現し、早速ループし始めたATOMのMCはさておきにされ、Takatsukiのひと言"始まったら楽しむだけだぜ!"でスイカのライブがスタート。

"宝を探しに行こう"と一緒に歌い、"FLY! SO HIGH! もうすぐKISS THE SKY"と共に飛び立ち、"麒麟が太陽を食べる島"と日蝕を見られなかった悔しさを込めて叫び、初めて聞いた"ヤ"、"ワ"のコール&レスポンスにどぎまぎして、アトムの噛み噛みトークにはフロアが笑いに包まれ、新調されたジャンベなのにまたぶち抜くのではという勢いで叩かれる「マッシュルーム マスマティックス」に圧倒されているうちに、スイカのライブが終わってしまった。たった3曲、たった20分。これからというところで終了。

短すぎるのにも程があると思ったものの、でもその後の祭りの長さを考えれば妥当だったのかも。


1.Music Junkie
2.麒麟が太陽(ほし)を食べる島
3.マッシュルーム マスマティックス


変換中は恒例の夜話トーク。最初はタケウチカズタケとアトム。もちろんボケ担当がアトムで、タケウチカズタケはつっこみ。



<第2部:6組のゲストライブ> 18:25~21:07

【イルリメ】 18:25~18:47

ゲストライブ1発目は、パッと見、奇面組の零くんを思い出させる顔立ちのイルリメ。ラッパーでハンズフリータイプのマイクを使う人を初めて見た。トラックの音出しも自らこなすという、ひとり完結型のステージング。アーティストが自己表現をする場というよりも、デパートで行われる催しのように観客を楽しませることを第一義としたライブで、この日でいえば降神と真逆のスタイルだった。

お客さんをステージに上げ、ハンディタイプのリズムマシーンを担当させ、その"おぼつかない"ビートの上にラップを乗せたり、フロアに降りたり、ヒップホップファンでなくても受け入れやすいライブは楽しくて、そのエンターテイナーぶりは見事。音源や活動の様子からはもっと気難しい感じのライブをする人なのかなと思っていた。


【サイプレス上野とロベルト吉野】 18:47~19:17

サ上とロ吉のライブも楽しい。ヒップホップマナーに忠実なエンターテイメントなのだけど、初めて見た人でも容易に引き込んでしまう分かりやすさがある。客いじりも堂に入ったものでライブ慣れしているのがよく分かる。今回は新曲も披露されたりしていたが、ライブの流れや決めポーズ、笑いどころは基本的にはルーティン。それなのにふたりのキャラの良さに魅了されるのだ。ちょっとずるいなとは思うけれど、楽しいからそれでもいいかとなってしまう。

ロベルト吉野が中2の時の思い出をラップ。後ろではサイプレス上野がゴシゴシとスクラッチ。まあ酷いものなんだけど、彼らならオーケーと思わせてしまうのは、やっぱりずるい。最後はお得意のデス声で雄叫び。

久しぶりにフルで聴いた「ヨコハマジョーカー」はやっぱりいい曲だった。その流れからの「NEXT EPISODE」も感動的。次に登場したRomancrewのエムラスタに毒づかれていたけれど、予定の20分間を余裕の10分押しで終了。でも、あっという間に終わった印象だ。


1.INTRO
2.TIME IZ ONLY IT THAT CAME ~ サイプレス上野とロベルト吉野
3.サ上とロ吉
4.ZZPPP
5.FEEL LIKE DANCE
6.CRAZY LOVE (rap by ロベルト吉野)
7.ヨコハマジョーカー
8.NEXT EPISODE
9.ヒップホップ体操
10.WONDER WHEEL


タケウチカズタケとアトムによる夜話トーク。本人たちは聞かなくてもいいというけれど、面白いから聞いてしまう。おかげで休む時間がないという嬉しい悲鳴。ここでくじの結果が夜話新聞に載っていることを知り、絶対当たってるはずという根拠のない自信が見事撃沈。

タケウチカズタケにライブ中の様子がハムスターに似ているといわれてしまったアトムが深呼吸の仕方を教えようとした矢先に、次のセッティングが完了したのでせっかくのヨガ講座がぶった切られる。


【Romancrew】 19:23~19:48

スイカ夜話 第13夜」でスイカのtotoさんは「虹の交差点」を聴くと泣いてしまうと話していたけれど、私は「Dream」のALI-KICKヴァース──"チャートトップ10がこんな音で満たされ 多くの才能がそこで活かされる / 一つ一つ叶えていこう"──を聴いていると、何ともいえない悲しい気分になってしまう。この日は途中でリリックが飛んでしまっていたが、それでもやっぱりもの悲しくなった。即興で付けられたリリックも、"例えばNYに行ってJay-Zにビートを売り付ける"といった前向きなものであるし、テーマも少しずつ夢を叶えていくというものではあるのだけど、ほとんど変わらないランキングの現状を考えると何ともやりきれない気持ちにさせられる。

寺尾聰の「ルビーの指環」をサンプリングした新曲を披露。将絢が担当する歌ものフックが味わい深い。途中のMCで、2枚のアルバムが廃盤になっているのはレーベルが潰れたことが原因と話し、"レコード会社は信用しないで、自分たちでやろうと思う"と嬉しくなるような意気込みも語っていた。この新曲も含めた6曲入りEPを年内中にリリースする予定らしい。夏に見たイベントでやってた「My Girl」も入ると嬉しい。


1.First Song
2.Go For Broken
3.Blues Skywalker
4.Dream
5.? (新曲)
6.Crossroad


【STERUSS】 19:52~20:18

BBOY PARK2009では相棒のBELAMA2が不在で、のっけからものすごい勢いでかましていたcrime6だったが、この日は信頼できるベラマツが横にいたためか、いつかの夜話で見たときと同じように、出だしでビートと噛み合っておらず、見ているこちらがハラハラさせられた。でも、すぐに調子を取り戻し、愚直なまでに真っ直ぐなラップを吐き出すようになったけれど。

クライム6とベラマツという硬軟の絶妙さ加減に、DJ KAZZ-Kの太いビートと洒脱な上音。この3人のバランスは日本語ラップのなかでも随一だと思う。

同居人はクライム6のラップしている姿を見るたびに、こんな先生だったら人気出るよね、かっこいいからと話している。確かに、失敗も消し去りたい過去も泣きたい夜も全てを真摯に綴るリリックやそれをストレートに伝える熱いパフォーマンスは文句なしのかっこよさがある。

ベラマツが介護サービスの仕事に従事しているというのは知っていたが、この日のMCでは認知症対応型デイサービスの所長をしているのだと具体的に話していた。介護現場の雇用環境の厳しさを伝えるニュースを見たばかりで、ベラマツの口からもその辺りのことが語られもしたが、続けて話したエピソード、"東京見学に行こう"には爆笑だった。

彼が欠席した先日のBボーイパークはどうしても外せない仕事が入っていたからだと想像するのだが、この仕事をしているからこそのリリックに満ちる慈愛だったりすると思う。今の彼らのラップは仲間や家族恋人への感謝が歌われたり、人生を肯定的に捉えるリリックが主なわけだけど、だからといってよくあるチャート向けの薄められたものにならず、確かな説得力を生み出しているのは、彼らの生活が地に足をつけたものだからなのだろう。

4曲目の中近東っぽいフレーズがループする曲は初めて聴いた。ベラマツの"ライトハンドからレフトハンド"というラップで始まり、"想像にまかせて飛ばすフロウ"で終わる。

新曲はアルバム『円鋭』に充満していた温かさを保った曲調で、鬼だまりに影響され、鏡の前でラップの真似をしていたら、後ろでお母さんが見ていたというクライム6の笑える思い出で始まる。"いつか笑い話のワンデイ"というフックも印象的だった。

鈴木勳が『円鋭』のリリースパーティはいつやるのと今頃になって電話してきたというおもしろエピソードを披露してから始めた「尖」もやっぱりかっこいい。"11月1日"に行われる鈴木勲のライブに彼らは呼ばれていて、この曲をやるらしい。(彼らのブログによれば、12月26日(土)だったよう。場所は横浜のジャズバー『KAMOME』)


1.INTRO
2.風見鶏のうた
3.exit breath
4.?
5.大時計のダンス
6.? (新曲)
7.「尖」


タカツキとtotoさんによる夜話トーク。タカツキがtotoさんのBガールっぷりを演出しようとするが、totoさんはそんな設定などさておきで、ヒップホップってあまり知らないんですとぶっちゃけ始める。

最初に生で見たラッパーはメテオで、腹下し中だった彼はフリースタイルでずっとそのことをラップしていたという。強烈な出会いだ。その後は、totoさんがSSWSでアトムやZOE、DEJI、KEN THE 390、COMA-CHIらと出会った話をさらっとしてから、スイカでライブをし始めたときのおとぼけほのぼの話を披露。

ヒップホップイベントはみんな黒い服着てキャップ被ってて怖かったというのはよく分かる。怖いかどうかは別として、ユニフォームのごとく一様に同じファッションなのは本当に奇異。



【小林大吾】 20:23~20:42

"肉、肉、肉、肉、肉と続いた後の野菜"担当・小林大吾。エレカシの宮本ならきっとブチ切れてるはずな表現で自己紹介した彼は、出てくるなりの大吾コールに、"帰りてぇ"との返しでフロアに爆笑の渦をおこしていた。

いつものようにマイクスタンドを使うのではなく、マイクロフォンを右手でグワシッと握りしめ、ラッパーのごとく躍動感のあるパフォーマンスを見せた。1曲目は、"広がる荒野の果てから轟く地響き"で始まる新曲(でいいのかな?)。小気味良く放出されるリズムある言葉はもちろんのこと、彼にしては珍しく寸詰まりの跳ねたビートで面白かった。オチもえっ、そこなのという不思議さ。この1曲だけで小林大吾ワールドにさ迷い込んでしまった。

2曲目の「話咲く種をまく男」はライブでやるのを初めて聴いた。最後のヴァースはフロウがあり、すでにラップなわけだけど、生は音源以上にラッパー然としている。

締めはタケウチカズタケとの「sonuds like a love song」。サードアルバムが本当に楽しみ。


1.? (新曲)
2.話咲く種をまく男 no kidding
3.手漕ぎボート helmsman says
4.sonuds like a love song (Spoken Version) feat. タケウチカズタケ


【降神】 20:42~21:07

GeshiFes2009以来となる降神。バックDJはKOR-1。

"油塗れの関節にキスをして愛してるだなんて・・・ 変わった人ですね"、とまずはなのるなもないが薄くたなびく電子音の上に言葉を乗せていく。一方の志人は、地球のために受粉して花を咲かせすくすく幹と根を伸ばし最後には宇宙の果てまで伸びていくという壮大なリリックを童謡のようなメロディに乗せて歌う。ラストはふたりで、"いつまでも太陽と輪になって愛し愛している"で締め、序曲が終わる。

最近のライブではよくやっている、"ムカデに トカゲ 木陰に隠れて ~"で始まるアカペラでの掛け合いから、なのるなもないのヴァースに、"海帰りの体に心地良いよ 海と風の匂い"のフレーズがある新曲へ。この曲は強調されたリズムが今までの降神にない曲調で、踊れるのがいい。

続くのはJemapurの「Birds Sanctuary」を使った、3~4年ぐらい前からやっている曲。一応新曲になるのか。フックに入る前の"センスオブワンダー"のところは降神には珍しく歌えるところのでちょっと嬉しい。

"朝になり花開き山光り 鳥たちは踊り出し 森はよみがえり~"で始まり、"目覚めれば涅槃 静かなニルヴァーナ 自らを呼び起こす 森の奥 シジュウカラが飛び踊る 異空間 夜話"。ここからは志人の独壇場。私のような信者にとっては神聖な空間に変貌する。志人の紡ぐ言葉のひとつひとつに変な合いの手を入れる人がいたが、叱りつけたくなった。

スイカ夜話がたたえる空気感と彼が望む世界を言葉で次々とリンクさせていく。その一方で、"あかさたな はまやらわをん の波紋 シャボンの中で遊んでいる"と踏み抜きつつもネタはジョジョというキャッチーさがまたたまらない。

ひとりひとりに語りかける静かな語り口から、再び声を張り上げての"僕らはこんな世界が見てみたい"。そして、なのるなもないと共に具体的な理想社会──"政治や経済もない"、"テレビも携帯も鳴らない"、"街中はみんなが知り合いで 家畜もブロイラーも生きている"──をアカペラで歌い上げる。

ここでようやくバックトラックが静まりかえったフロアに戻ってくる。夏至フェスの時と同じく、志人の"この世の全ての巡り合わせとは会うも自然会わぬも自然 合縁奇縁なる出会いの倫理~"で始まる「return to the childhood」。

"踊ろうよ 全ての命と 望もうよ 壮大な世界を 誇ろうよ 後悔のないよう この世は君が主人公"

"ああ なんてすばらしいんだ 君の生まれた地球というのは ~"でスタートするアカペラの掛け合いの後に鳴ったのは「帰り道」のイントロ。降神のライブは何回か見ているけれど、彼らが登場してきたときとこの曲の冒頭が鳴ったときだけ歓声が上がる。最初のはもちろん期待感からの大歓声だ。しかし実際に聴いてみて、音源との違いによるギャップなのか、ライブ中フロアは沈黙が留まり続ける。そして、ようやっと顔なじみに出会えた気分になるのか「帰り道」で再び歓声が爆発するのだ。

確かにいい曲ではあるが、それ以外にも踊れる曲はあるし、厳選されウィットにも富んだ言葉の数々に酔うことは容易だし、ふたりの作り上げる歌声の調和に感嘆を抱くこともできる。しかしなぜだか「帰り道」だけが受け入れられている印象で残念に思ってしまう。そうはいっても、ビルドアップされた「帰り道」のビートの重さは小箱にすごく合うし、同曲に期待される叙情性のようなものを蹴散らしているのが小気味良い。

"野を越え 山越え 谷越え 川を越え ありがとうへ さようならへ おかえりへ ただいまへ 旅立とう"を通常は「帰り道」の前に披露されるのだけど、今回はまだ夜話の"旅"が続くということなのか「帰り道」後にやっていた。


この日も志人の独特な世界観はいかんなく発揮されていた。環境に優しい地球愛ともいえる博愛モードはまだまだ続いているよう。一方のなのるなもないはテンションが高めだったのが嬉しかった。時に声が裏返るほどだったのだけど、その通る声は狭いとはいえないライブハウスに響き渡り、じっくり堪能できた。


1.? (新曲)
2.? (新曲)
3.? (Jemapurの「Birds Sanctuary」)
4.return to the childhood
5.帰り道



<第3部:SUIKAとセッション> 21:11~22:48

スイカ楽器隊メンバーの紹介などをしつつ、タケウチカズタケのソロ夜話トーク。ここから第3部。ここまでですでに3時間経過。

【SUIKA + Romancrew】

1曲目は以前ライブでやっていた「Love Comes & Goes」で始め、途中FREEDOM「GET UP AND DANCE」を挿入し、「F.R.E.E.D.O.M」に繋ぐという演出の「GET UP AND DANCE」がCommonの「Reminding Me (Of Self)」(タケウチカズタケのブログを読むまでCommonだってことに気づかなかったけれど)になったバージョン。

生演奏ということで、DJ TOKNOWのレコードに行ったり、生音に戻したり、パーカッションと鍵盤を消してベースだけにしたりと生音の自由度を生かしたメドレーになっていた。

スイカとロマンクルーとのコラボ曲「Get On The Bus」はオンボロバスに次々とみんなが乗り込んでくるというイメージで作られた曲とのこと。曲としての完成度は今ひとつだったものの、途中でtotoさんがエムラスタにクッキーを渡し、それを歌いながら将絢と分け合い食べてたりと楽しみながらやっているのが伝わってきた。


1.Love Comes & Goes ~ F.R.E.E.D.O.M SP medley with SUIKAバンド
2.Get On The Bus (新曲) with SUIKA


【SUIKA + イルリメ】

1曲目が歌ものだったこともあるのかもしれないけれど、この人のノリはバンドブームの頃のロックバンドが醸し出していた雰囲気によく似ている。良い悪いの話ではなく、変にミュージシャン然としているわけではなく、親しみやすさがあり、一緒になって盛り上げようとする感じが似ているのかな。

スイカとイルリメのコラボ曲は、タケウチカズタケの弾くキラキラとした光の帯の中で、ややポエトリーリーディングに近いラップが繰り出されるメロウな曲調。イルリメは歌ものフックのみを担当。寒さが身に染みる時期に聴くとより温かくなれそう。


1.ミュージック with SUIKAバンド
2.? (新曲) with SUIKA


【SUIKA + 小林大吾】

1曲目は大好きな「三角バミューダの大脱走」。しかも生音バージョン。タカツキとtotoさんはコミカルな振り付けで踊りながら、ところどころで"サッチモー"と入れたり、"ムール貝博士"とひと声添えたりとさらに楽しい1曲になっていた。曲を始める前に"カンペなど存在しない。君の曲を覚えられないはずがない"とタカツキとtotoさんがいっておきながら、最後に読み上げられる臨時ニュースでさらりとカンペを取り出してニュースのパートをしゃべり始めたtotoさんも面白かった。メンバー同士の和やかさ、それでいて音楽性の高さもある辺りがスイカ夜話の魅力だと思う。

続いて、小林大吾とtotoさんによるリーディング。交互にすてきな言葉がこぼれ落ちていく。途中で後ろ脚の片方がない猫が登場したのは嬉しかった。言葉や文章の印象深さはもちろんのことなのだけど、ふたりの声は体に深く浸透していくしなやかな強さがあって、それもまた魅力だ。


1.三角バミューダの大脱走 paradise lost with Takatsuki, toto & SUIKAバンド
2.柔らかなそぶりで with toto


【SUIKA + サイプレス上野とロベルト吉野】

ジャンベが音高く鳴らされた生音の「バウンス祭」では恒例の前から座らせていき、1、2の3でジャンプさせる演出があった(上の写真はみんなでしゃがんでるところ)。素直に楽しい。彼らが得意とする曲調ではあるのだけど、「WONDER WHEEL」も楽しく歌える曲だ。

2曲目は、「スイカ夜話 第14夜」でも披露されていた彼らの「START LINE」にスイカMCzからアトムとタカツキが加わるバージョン。アレンジとリリックはちょっと変わっていたのかな。アトムのラップが熱い。


1.バウンス祭 ~ IT'S MY TURN ~ WONDER WHEEL with SUIKAバンド
2.START LINE RMX with ATOM, Takatsuki & SUIKAバンド


第3部のセッションタイムは、ここまでで1時間ぐらいか。サ上とロ吉はメドレーがあったので17分近いステージだったし、他のセッションも初めて聴く曲を放り込んでくるものだから、耳を皿にして聴くことになり、当然気持ちもそれぞれ零にして聴きたいしで、体と心が悲鳴を上げ始めていた。そうはいっても、続くのが降神。嬉しいような辛いような、そんなコンディションだったのだけど、スイカとの新曲はとてつもなかった。


【SUIKA + 降神】

まずは降神がスイカバンドを従え、ゆっくりまったりとフロアをかき回していく。"見たこともない聴いたこともない望ましい生き方が嫌いだから~"と志人独特の節を付けたラップのようなポエトリーのような実際のところは歌だねというフレーズを謎かけのごとく吐き出す。

高橋結子のビートと共に、"私たちは泣き笑い踊り騒ぎ花開き学び合い形なき魂で分かち合い~"とこれまでもたびたび聴いてきた一節を"空に掲げ 光与えよ"までふたりで歌い、降神とスイカ楽器隊との短いセッションが終わる。

スイカMCzが現れ、コラボ曲がスタート。数本の白いスポットライトだけが照らすステージに、5人が"遠くから遠くから"の言葉を幾度も唱えるなか、タケウチカズタケの静かな旋律がこれから向かう長い旅路のための準備が整うのを待つかのように流れる。

totoさんの問いかけに4人が次々と答えていく。"闇の始まりには何があったの?"、"ひとつの音だけがそこにあった"。アトムヴァースから、原初の音が言葉のあるメロディになる旅を、壮大な物語を語り始める。タカツキ、なのるなもない、志人、そして最後にtotoさんが新しい物語を生み落とす。


とても初めて演奏されたとは思えない完成度だった。身動きひとつ出来ず、ステージを見入ってしまった。各ヴァースに十分な長さがあるので14分もの長尺曲になっているのだけど、全てのパフォーマンスがすばらしく、ステージから目を離すなんてことはもったいなくて出来やしない。静かな迫力が胸に迫る。展開も良かった。ラッパーとしての実力や個性では各人とも際立っているわけで悪いわけがない。それぞれの後半に織り込まれるメロディの付いたラップが特にきれいだった。実力者たちのなかでひとりポエトリーリーディングだったtotoさんがこの曲の要だ。その凛とした声が音の物語の芯を支える。色々書きたいけれど、歌詞カードを片手にもう一度じっくり聴きたい。早い音源化を望む。

"遠くから遠くから オレンジ色が 手のひらに手のひらに 写り込むのさ 追いかけて追いかけて 陽が沈む丘 行かなくちゃ行かなくちゃ 紫の空"


1.? with SUIKAバンド
2.? (新曲) with SUIKA


会場がスイカと降神のコラボに圧倒されているなかで登場したステルスは正直かわいそうに思えた。スイカもあれだけ完成度の高い新曲を作っておきながらどうしてトリにステルスを据えたのだろうと疑問符だらけだったのだけど、いざセッションが始まってみたら、クライム6のラップが雰囲気をがらりと変えていき、なるほどと思いながら楽しんでいた。


【SUIKA + STERUSS】

1曲目は生音版「真夏のジャム」。

夜話祭りの最後の曲にもなった2曲目はスイカとステルスのコラボ「SKYFISH」。"影 ビル 山 空 星 宇宙"で始まるこの曲もすごく良かった。以前聴いたときは曲としてまだ固まっていない印象だったが、この日の「SKYFISH」では2グループに一体感が生まれていた。サ上とロ吉でもひとつのピークに向かった感はあったけれど、降神とスイカでさらにその上の感動があり、最後のステルスは楽しくて楽しくて、夜話ってやっぱりいいなと思いながら笑顔で踊ってた。ステルスがトリだったのも納得できた。


1.真夏のジャム with SUIKAバンド
2.SKYFISH with SUIKA




最後は出演者全員がステージに上がり、大団円。さすがに全員でのセッションはなかった。上の写真では右端に腕しか見えていない、この日の一番の功労者タケウチカズタケが挨拶。いつまでも鳴り止まない拍手のなか、"じゃあ撤収!"のひと言で楽しかった祭りが終わった。

22時48分。ということは5時間近くやっていたのか。すごい祭りだった。肉肉肉肉ときたま思い出したように野菜なイベントで、ずっと楽しくて最後までドキドキしっぱなしで、でも疲労困憊なライブだった。気の抜ける時間がほとんどないのだから。いやぁでも楽しかった。今は疲れていても、やがて思い出に残るのはありえないぐらいに楽しかった5時間のことだけなんだろうなと思う。

この日にやったコラボ曲は全て『スイカ夜話』と題された、発売日はまだ未定のアルバムに収録されるという。それと、スイカファンとしてはスイカが3曲しか持ち歌を演奏しなかったことには不満だったが、12月12日にホームグラウンド「青山月見ル君想フ」でワンマンライブ「スイカだけ夜話」が開催される。すごく楽しみだ。
2009.10.17 Saturday 23:59 | 音楽 | comments(11) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:59 | - | - | -
コメント
お疲れさんです。
自分も友達と行きました。

小林大吾の「野菜の時間です」には笑いました。
でも自分にとっては全部肉でした。


もうこんなライブ2度と無さそうですね…
すいっこ | 2009.10.21 Wed 00:27
すいっこ様

こんばんは。
お互いお疲れ様でしたね。

確かに肉だらけだった感はあります。夜話トークでさえ、メテオの名前が飛び出せば、思わず耳をそばだててしまうわけで、立ちっぱなしの5時間は楽しいにもかかわらず、大変でした。

DVDにして出して欲しいとも思いますが、アトムのライブ第一主義な考え方からいくと難しそうですね。でも、手元でもう1回見たい! スイカメンバー勢揃いのオーディオコメンタリー付きで。
gogonyanta | 2009.10.21 Wed 02:11
お疲れさまです。
降神とのセッションの時、最初のリリックが飛んでしまったtotoさんをそっと抱きしめる、
なのるさんの姿にとても感動しました。泣きそうになりました。
しかし自分はそんな事は置いといて、ずっとダイゴー!ダイゴー!って叫んでました。
ええ、はい、すみません。
宇宙人 | 2009.10.21 Wed 02:18
こんにちわ

仕事前に降神、ステルスだけでも観てこうと思って
行ったら
まさかの当日券完売!

今回は青山じゃなく
家の近所だった事もあり
余裕こきすぎました

そのショックも癒えた頃にnyantaさんのレビューを
読んで
またショックがぶり返してきました

読まなきゃよかった!

でも、もし行ってたら
確実に仕事に穴を開けてたので
行かずに良かったと
無理矢理思う事にします
what's? | 2009.10.21 Wed 13:27
gogonyanta様

こんばんは。
いつも記事楽しく拝見させていただいております。

夜話行けたんですね!
記事も相変わらず臨場感の伝わる内容で、本当にありがとうございます。

私も観戦しましたが、長丁場でしたね〜。
帰宅後は、ぐったりして即就寝でした。

が、イベント中は、疲れを感じさせない盛り上がりでしたね。
正に“肉”のオンパレードでしたね笑
強いていえば、ROMANCREWが個人的に期待していただけあり、ちょっと残念だったかもしれません。

サイプレス上野とロベルト吉野、ステルスは最高のパフォーマンスでした。

何より、SUIKAの皆さんは、あのながちにも関わらず本当に最高でした。
DEFELO | 2009.10.21 Wed 20:14
宇宙人 さん

素敵なエピソードを壊すようですがw
totoさんは最初の方マイクの調子が悪かったみたいですよ。
で、なのるは後ろの方を向いてtotoさんのマイクを確認していました。
(それが抱いてる様に見えたのかな。)
この曲だけデジカメで撮影していたので確認してみました。
つまらないことを横から失礼しました。
名無し | 2009.10.21 Wed 23:05
宇宙人様

こんばんは。
コメントありがとうございます。

降神とスイカのセッションのときの冒頭でのtotoさんとなのるなもないについてですが、下で名無しさんが書かれていますように、totoさんのマイクが不具合を起こしていて、声が出なかったようです。そのためにtotoさんが袖に一度引っ込もうとしたのを、なのるなもないが肩に手をかけて、totoさんを止めて、マイクを交換したようでした(私は後ろの方から見ていたので、しかと確認したわけではないですけど)。でも結局totoさんはその後なのるなもないに正常に作動する方のマイクを渡し、袖で新しいのに変えて戻ってきたと記憶しています。

セッションのときにふたりが目を合わせてパフォーマンスしているのを見ているのは、何だかいいものですよね。

> 自分はそんな事は置いといて、ずっとダイゴー!ダイゴー!って叫んでました。

ああ、大吾コールが起こるなんてとちょっと驚きましたが、宇宙人さんもそのひとりだったのですか。小林大吾はかわいそうにちょっと萎縮してましたよね。今度彼が夜話に出るときは私もやってみようかな。。。



what's? 様

こんばんは。
残念でしたっ!!!

そんなwhat's?さんにはいいものがあります! とはいってもクジの特典の3枚組夜話アルバムではないのですが、もしよろしければ、私宛てに一度フリーメールか何かでメールをいただけないでしょうか。お時間があるときにでも、ぜひぜひよろしくお願いします。私のメアドは「gogonyanta@excite.co.jp」です。



DEFELO様

こんばんは。
おかげさまで色々画策したおかげで参戦できました。

でも、吉祥寺のは行っておいて良かったですね。イベントは最高で、大満足でしたが、スイカそのものの時間は少なかったですもんね。そういえば、吉祥寺でのMCで話していた降神との新曲話を間違って理解していたようで、てっきり「ジベタリアン」の発展形になるものとばかり思ってました。そしたら、あれだけの長さな上にものすごい完成度で、打ちのめされましたよ。いやぁ、すごかったです。



名無し様

こんばんは。
私にではないですが、ご指摘ありがとうございます。

私は後ろの方から見ていたので、はっきりとは分からなかったのですが、そんな動きでした。確認ができて良かったです。ありがとうございます。
gogonyanta | 2009.10.22 Thu 02:24
いつも楽しく拝見させていただいております。
初めてコメントさせていただきます。
スイカ夜話祭は私の大好きなアーティストしか出ないということで、企画発表当初からすごく楽しみにしており、
前売りも購入しまして夜話くじも期待していたのですが、いざ当日、親族の不幸により自粛せざるを得ないといった、私にとっては二重の不幸でありました。

ここでこんな不幸話をして申し訳ないのですが、本当に夜話祭は行きたかった…正直泣くに泣けませんでした。

私は特にSTERUSSが好きで、真夏のジャムのセッションはどんな感じだったのか詳しく知りたいです。
あのピアノループを生で弾いたんでしょうか?この真夏のジャムも夜話アルバムに入るんでしょうか?

過去のスイカ夜話の動画はけっこうUPされてますが、今回のはUPされている方もいないのでとても残念です。
長文失礼しました。
山吹式部 | 2009.10.24 Sat 02:37
山吹式部様

こんばんは。
はじめまして。

「真夏のジャズ」はタケウチカズタケが弾きまくりでした。音源だとヴァースに入った途端にピアノループが小さくなりますが、ライブですし、そんなことは関係なくいい感じにラップとオルガンがぶつかり合い融合してました。ベラマツ・ヴァースの最後は、"今日は夜話に立てるクリスマスツリー"でした。

夜話アルバムにはどうなんでしょうね。勝手に想像するだけですけど、スイカ全員と他のグループとのセッション曲が入るのかなと思いました。でも、生音バージョンの「真夏のジャズ」も収録されたら嬉しいですよね。
gogonyanta | 2009.10.26 Mon 01:51
ああ、自分の恥ずかしい勘違いがここにきて発覚。
名無しさん、gogonyantaさん、ご指摘ありがとうございます。
ああ、ほんと恥ずかしい。
宇宙人 | 2009.11.03 Tue 17:22
宇宙人様

こんばんは。
ドンマイです。

スイカレディヲの最新版はもう聴かれました? スイカ夜話祭を振り返ってということで、面白い話が盛り沢山でした。スイカのHPでダウンロードできます。あの日はクマもやって来てたみたいですよ~
gogonyanta | 2009.11.05 Thu 01:45
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