すばらしくてNICE CHOICE

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EXILE『愛すべき未来へ』

2009年12月2日リリースの7枚目のアルバム。

前作『EXILE LOVE』から2年、弟分グループのJ Soul Brothersが合流したことにより、7人から14人体制になってからは初となるオリジナル作品。

この2年間常に話題を提供し続けてきた彼らへの期待感は売上にも如実に反映し、発売週の売れ行き(初動)は前作の67.0万枚を軽く上回り、嵐の75.3万枚には及ばなかったものの、73.0万枚という数字を叩き出した。嵐はベストアルバムなわけで、オリジナル作としては今年最高の記録となる。昨年末リリースのMr.Childrenの12枚目のアルバムでさえ70.7万枚であり、深刻な売上低迷状態の音楽業界で驚異の数字だ。ちなみに、本作以上の初動売上を誇ったオリジナル作をここ5年間で見てみると、2005年に94.7万枚を売り切ったケツメイシの『ケツノポリス4』があるだけだ。

本題に入る前にひとつ断りがあるわけなのだが、私は本作でEXILEを"総合エンターテイメント"集団として見ていない。というのも映像で動く彼らを見ない/見られないからだ。ただCDだけを、音だけを聴いての評価となる。ATSUSHIとTAKAHIROのふたりの歌声とその周辺の制作陣が織りなす音楽だけを切り取る。つまり、ボーカルの周りでくるくる踊っているダンサーたちについては触れない。


本作はあらゆる年代に訴えかける作品だ。聴き手の年齢を選ばない。シンガーソングライターと呼ばれるミュージシャンたちが台頭し始めた頃から、ポピュラー音楽は細分化され始め、聴き手はそれぞれ自分の好む音だけを聴き込み始めた。誰もが口ずさめるヒット曲という意味での"みんなの歌"が失われて久しい。若者の間でははやるけれども、年配者には理解できない曲や、その反対も当然あるし、あるいは若者の間でもこと細かく嗜好する音が違ったりする。

しかし、このアルバムは普段は若者の音楽だからと敬遠してしまう層が聴いても楽しめるに違いない。もちろんどの曲もカラオケで歌えるように分かりやすい構成やメロディが心掛けられ、従来の若いファンも盛り上がれるだろう。"みんなの歌"になるほどの破壊力のある歌はさすがにないが、誰もが楽しめるアルバムではある。これだけ好みの細分化が進んだ現代で、"みんなの歌"が生まれることは奇跡に近いと思う。同時に誰もが楽しめるアルバムも難しいはずなのだけど、彼らは見事にそれを成し遂げている。

日頃アーティストエゴ丸出しの音楽を聴いている身としては、顔の見えないマスを相手にして、一歩も引かずに楽しませる作品を提供していることに、感心するしかない。

いわゆる"J-Pop"と呼ばれるポップミュージックはどれも一緒で何歌ってるのか分からないし面白くないと思っている年代の人たちも昨年の日本レコード大賞で大賞を取ったM6「Ti Amo」や、M7「ふたつの唇」などのバラード曲を聴けば考えが変わるとはずだ。メロディラインの流麗さと嫌みのない滑らかな声で歌われるそれらは実に良質な歌謡曲なのだ。

M6でいえば、数々の若手を発掘し、ヒット曲も多く生み出してきた松尾潔による歌い出しの言葉が、"日曜日の夜はベッドが広い"であり、その意味深なフレーズから紡ぎ出されていく歌は陳腐な不倫ものではあるのだが、中村仁のメロディが付けられることで妙な艶めかしさが生まれ、昭和を彩りカラオケ文化を発展させたあの頃の歌を彷彿させる。

一方で、アルバムの幕開けはアップテンポな曲調であるし、ダンサーを従えてパフォーマンスする彼ららしい楽曲であり、作品を引き締める。また、これまでの日本のグループの常識を覆し、拡大路線を歩んできたという挑戦心を聴き手にも植え付けるような前向きさが歌詞にはあり、どの曲も総じて明るい。

とはいえ、15曲中9曲がバラードということで、アマゾンのレビューではファンが怒りを表明している。でもそれは前述したように、ファンだけではなく、日本に暮らす全ての人から認知され、愛されるグループたらんとするが故に器を大きくした結果であり、彼らの選択は正しい。それに、ファンをないがしろにした場合のしっぺ返しは大きな代償を払うものだと知りながら、それに怯えることなく、大きくなることを求める姿勢は端から見ている分には面白い。

アマゾンレビューでもうひとつ大きな不満として挙げられていたのが既発曲の多さだ。シングルのカップリング曲まで漏れなく収められているために、初音源化曲はたった6曲と少ない。しかし、シングルの初動枚数はほぼ17万枚で推移しているわけで、今作を手に取ったほとんどのリスナーは私のように街やテレビでは聴いたことがあるけれど、まともには聴いたことがないという層なのだ。だからB面曲も含めたシングル曲が入っていることに特に不満はない。

始まりの3曲は踊れる曲、4曲目の「優しい光」からM9「Heavenly White」までがメロウ路線、エッジの効いたギターが鳴るM10「THE NEXT DOOR」から再びアップテンポな曲が3曲続き、M13「Angel」から表題曲にして最後の曲となるM15までバラードとなる。

そのM15「愛すべき未来へ」では、"子供たちが夢を持ったまま生きていって欲しいと願うから / 今僕らがここでなにをすべきか / 愛すべき僕らの未来のため"と、さながらMichael Jacksonの「Heal the World」のごとく切なる願いを込めて歌われる。

メリハリの利いた全15曲、時間にして70分。踊りはなくても音と言葉だけで十分楽しめるアルバムとなっている。

天皇の即位20年を祝うイベントで彼らが選ばれたときはどうしてエグザイルなのかと疑問に思ったものだが、聴いてみてその理由がよく分かった。恋や愛を衒いなく歌い上げ、一生懸命に前に進もうと努力している人間を応援し、真摯に平和を希求する。小難しい言葉やアーティストとしての煩わしいエゴは極力差し挟まない。誰でも口ずさめるメロディに徹する。だから彼らは広く受け入れられ、人気を博すわけだ。


制作陣に関しては前作とほぼ変わらない。その中に、BACHLOGICがいることを喜びたい。M2「SHOOTING STAR」とM12「GENERATION」の2曲に関わっている。日本語によるラップ/ヒップホップ音楽はRIP SLYMEやKREVA、あるいはFUNKY MONKEY BABYS、童子-Tといったラッパーやグループがチャートで善戦しているが、インディーズでもここ2~3年は新しい潮流が生まれ、盛り上がりを見せている。そうした中でも若手で一番と目されるSEEDAというラッパーのアルバムを手掛け、どんなに売れても1万枚がいいところの小さな界隈で名を馳せた注目のプロデューサーであるバックロジックが、来週にはミリオンに届くだろうアルバムに参加し、100万人もの聴き手と向かい合っているわけだ。嬉しくないわけがない。

音にはうるさいと自認する日本語ラップ村の偏狭な住人が認めたインディーズ作品を生み出し、さらにはメジャーでも通じるトラックメイキングをしている彼は、ラッパーのようには目立たないのでその動きは分かりにくいが、もうすでにKREVAと並ぶ日本語ラップ界の成功者なのかもしれない。

日本語でのラップといえば、バックロジックもかつて在籍していた大阪のグループDOBERMAN INCがM11「FIREWORKS」で参加している。ただ、作詞にはその面々の名前が表記されているものの、曲名の横に"feat."での形でクレジットされていないのは何とも不憫な話だ。今回は収録されなかったシングルのカップリング曲で、アメリカのラッパーFLO RIDAが参加したときは、"feat. FLO RIDA"となっているのに。まあ、名前が載らなかったのも納得の出番の少なさではあるのだけど。


最後はずいぶんと細かい話になってしまったが、いつどこで誰と聴いても楽しめる高品質なポップアルバムであり、グループとしての一側面からだけではあったけれど、彼らの人気の理由が分かった気がした。


1.Someday
  作詞:ATSUSHI / 作曲:miwa furuse / 編曲:h-wonder(和田弘樹)
  【31st SG】
2.SHOOTING STAR
  作詞:Kenn Kato / 作曲:ERIK LIDBOM / 編曲:BACHLOGIC&ERIK LIDBOM
  【33rd SG c/w】
3.Your Smile
  作詞:TAKAHIRO / 作曲編曲:浅田将明
4.優しい光
  作詞:ATSUSHI / 作曲編曲:春川仁志
  【32nd SG c/w】
5.If ~I know~
  作詞:ATSUSHI / 作曲:Tomomi Narita / 編曲:中野雄太
6.Ti Amo
  作詞:松尾潔 / 作曲:中村仁&松尾潔 / 編曲:中村仁
  【28th SG&best AL『EXILE BALLAD BEST』】
7.ふたつの唇
  作詞:松尾潔 / 作曲編曲:中村仁
  【33rd SG】
8.A leaf ~螺旋状のサヨナラ~
  作詞:秋元康 / 作曲:高木宏明 / 編曲:h-wonder(和田弘樹)
9.Heavenly White
  作詞:小竹正人 / 作曲編曲:春川仁志
10.THE NEXT DOOR
   作詞作曲:l'il showy / 編曲:中野雄太
   【30th SG&31st SG c/w】
11.FIREWORKS
   作詞:michico&DOBERMAN INC(P-CHO、GS、KUBO-C&TOMOGEN) /
   作曲:T.Kura&michico / 編曲:T.Kura
   【32nd SG】
12.GENERATION
   作詞:Kenn Kato / 作曲:BACHLOGIC&ERIK LIDBOM / 編曲:BACHLOGIC
   【31st SG c/w】
13.Angel
   作詞:ATSUSHI / 作曲編曲:原一博
14.forever love / ATSUSHI
   作詞:ATSUSHI / 作曲:Arno Lucas&Jerome Dufour /
   編曲:Arno Lucas&Kenji Sano
15.愛すべき未来へ
   作詞:ATSUSHI / 作曲編曲:宅見将典
   【31st SG c/w】


『EXILE CHRISTMAS』(初回生産盤限定)
1.Silent Night
  作詞:Josef Mohr / 作曲:Franz Xaver Gruber / 日本語詩:由木康 /
  編曲:中野雄太
2.夢見るようなクリスマス
  作詞:谷中敦(東京スカパラダイスオーケストラ) / 作曲:Quadraphonic /
  編曲:Quadraphonic&iccha
3.Lovers Again
  作詞:松尾潔 / 作曲:中村仁 / 編曲:中野雄太
  【22nd SG&5th AL】
4.HOLY NIGHT
  作詞:ATSUSHI / 作曲:Daisuke "DAIS" Miyachi(宮地大輔) / 編曲:今剛
  【21st SG c/w&5th AL】
5.I Believe
  作詞:TAKAHIRO / 作曲:浅田将明 / 編曲:中野雄太
  【26th SG&6th AL
6.LAST CHRISTMAS
  作詞作曲:George Michael / 日本語詞:松尾潔 / 編曲:中野雄太
  【29th SG】
7.愛すべき未来へ (オルゴール・バージョン)
  作詞:ATSUSHI / 作曲:宅見将典 / 編曲:Kayo Tsuchiya
  【31st SG c/w】
2009.12.07 Monday 23:59 | 音楽 | comments(4) | trackbacks(0)
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2017.04.19 Wednesday 23:59 | - | - | -
コメント
始めまして。roariと申します。
半年ほど前から毎日楽しみにしながら、拝見させていただいています。

普段から、何かと「EXILEの音楽が心に響かない」とおっしゃっていたgogonyantaさんがEXILEのCDを手に取り、ブログに感想を書き、しかも、出て来るのが好評価の言葉ばかりだったのが意外でした。

それと一つ気になったのが
>映像で動く彼らを見ない/見られない
音楽番組を見れば、EXILEが出てるのなんて、しょっちゅう見れますし、テレビでやってなければ、YouTubeを漁ればいくらでも見れるわけで、何を思って「見られない」という表現を使ったのでしょうか?
何かしろの理由があって、見るに耐えないということなんですかね?

話は変わりますが、EXILEの裏でHilcrhymeの新曲が発売されていましたが、結果は18位の0.5万枚。
久しぶりに、すぐフィーチャリングとか言い出さない、かつ歌謡曲にも成り下がっていないラッパーがチャートに出て来たなと喜んだのですが、案の定、1発屋に終わってしまいそうで残念です。
売れるのにも一苦労なのに、売れたら売れたで、出だしで売れすぎたら、消えてしまうとは何ともせちがらい業界ですね。
roari | 2009.12.12 Sat 11:52
意外に長いモノには巻かれるタイプなのかな。グリーンも意外に評価してたし。しかしながら確かに売れるモノにはそれだけの理由があるのは分かりますが、この感想はちょっとらしくないなってな感じです。前作の評価が嘘のよう。
モリタカズヨシ | 2009.12.12 Sat 17:36
http://www.twj.to/skateboard3/DSC03922-thumb.jpg

この左の人がBLです。
かっこいいですね。
様様様 | 2009.12.12 Sat 18:31
roari様

こんにちは。
はじまして。

> 出て来るのが好評価の言葉ばかりだったのが意外でした。

聴いた私も驚きだったんですけどね。でも「Ti Amo」はいい曲ですよ。J-WAVEのピストン西沢の番組グルーブラインに出ている秀島史香が、最後のサビに入る直前に「Ti Amo」と囁いているのもポイント高いです。

>> 映像で動く彼らを見ない/見られない
> 音楽番組を見れば、EXILEが出てるのなんて、しょっちゅう見れますし、
> テレビでやってなければ、YouTubeを漁ればいくらでも見れるわけで、
> 何を思って「見られない」という表現を使ったのでしょうか?

それはですね、テレビでEXILEを見ない日はほとんどないのですが、歌っているのはほぼシングル曲です。DVDデッキは長らく不調でして、付属のDVDも見られず、さらにPCのスペックのなさにYouTubeはスムースに見られない等々の理由からです。ダンス込みの彼らの本当の良さを知るには、やっぱりコンサートなのだと思います。それを体験したことがない上に、DVDも見ていない身にとやかくいえることはないと自重したわけです。

> Hilcrhymeの新曲

前作の「春夏秋冬」はじわじわと売れていき、長くヒットしたわけで、曲の良さがあったのでしょうが、今回はそれほどでもないというリスナーの厳しい判断の結果なのでしょう。来月にアルバムがリリースされるというアナウンスがあったのも大きいのかなとも思いました。



モリタカズヨシ様

こんにちは。
コメントありがとうございます。

ネットも含めた社会生活において、"長いものには巻かれよ"、あるいは、"八方美人であれ"は私の基本方針です。それはともかく、GReeeeNの記事をそのように素直に読まれると書き手としては困惑してしまいます。本記事についても同様ですが。

でもまあ、これまでもアーティストの表現を大きく曲解してきた私なのですから、それも自業自得でしょう。このようなネットでの駄文でも表現のひとつでしょうし、一度世に出たならば、あとは受け手のものです。好きなように解釈されて結構です。



様様様様(やりますね)

こんにちは。
情報ありがとうございます。

BLってそんな顔をしているんですね。男前です。
gogonyanta | 2009.12.13 Sun 12:39
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