すばらしくてNICE CHOICE

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口口口『everyday is a symphony』

2009年12月2日リリースの5枚目のアルバム。

7月9日にいとうせいこうが電撃加入し3人組となった口口口(クチロロ)にとって初となるアルバム。フィールドレコーディング、つまり街の音や人の会話、自然のさざめきを録音し、それを切って貼って繋いでループさせ、アルバムタイトルが象徴するコンセプトアルバムとなっている。

いとうせいこうはこれまでも、サードアルバム『GOLDEN LOVE』収録の「おばけ次元」にラッパーとして参加したり、シングル『snowflake』のカップリング曲の作詞を担当したりしていたわけだが、正式メンバーとなるとあのコテコテのオールドスクール・ラップが全ての曲に挿入されるのかと危惧していたのだけど、あにはからんや恐れていたほどではなかった。

それよりも街の音を拾い、曲の前後や曲中にぶち込んでしまう方法論は、アルバムに統一感は与えるものの、折角の美しい旋律を台無しにしてしまうほどやり過ぎている楽曲あるのは残念だ。M4「卒業」は青臭さが香ばしい青春ものだが、実際の卒業式の模様をところどころで入れることで、音楽としてというよりも頭で理解し、楽しむ曲に仕上がってしまっている。M9「moonlight lovers」はその点でおかしなガヤがシャットアウトされているために、高品質のシティポップスとして楽しめる。

今回のコンセプトが成功していると感じられたのは、M3「Tokyo」だ。駅の案内放送を随所に挟み込み、東京という巨大都市を巧みに7分間の曲の中に現出させていて面白い。

その瞬間に感じことや見たことをそのまま呟くミニブログTwitterを利用し、ライブに来られないモニターの向こう側のファンをもひとつにさせてしまった彼ららしい曲になっているのが、M10「夢中」だ。今自分が見えている景色を押韻というフィルターのみでそのまま言葉にしていく。特に三浦康嗣の、さしずめ「アメトーーク」での"思いついたこと言いたい芸人"みたいな、あるいはひとりブレインストーミングといった趣の3ヴァース目が良い。もちろん計算された言葉の並べ方ではあるのだろうけれど、ひとりの人間の思考を直に辿っているのではというユニークさがある。

街の景色、音、匂い。そこで暮らす人々の生活、想い、歩み。そういったものを1枚のアルバムで表現しようとし、ある曲では頭でっかちになり、またある曲では成功しているわけだけど、彼らの持ち味のひとつであるポップミュージックと本作のテーマがばっちりはまった唯一の曲がM14「00:00:00」だ。8分半のこの曲で、1秒ずつの心の移り変わりから膨大な時間の流れまでを言葉にし、メロディに乗せ、日々の営みをロマンティックに歌い上げている。


上記してきたように、今作のコンセプトは思想ありき的なところから始まった印象が強く、最も大事なはずの音楽との融合が図られていない。いとうせいこうが持ち込んだ企画と睨んでいるが、詳細は不明だ。口口口のメンバー変遷を見る限りでは、彼はくるりでいうところのクリストファー・マグワイア的なピンチヒッターだろうし、彼らは自分たち(とはいえ、おそらくは三浦ひとり)が面白いと思ったことを素直に取り込み、変化していくことで成長するグループだろうから、今回の方法論は一度きりだろう。だから次の新しい音を楽しみに待ちたい。願わくば、『GOLDEN LOVE』の頃のアッパーなポップミュージックに戻って欲しいが、それは無理な望みだと分かっている。
2009.12.11 Friday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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