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ハート・ロッカー / The Hurt Locker

76点/100点満点中

本年度アカデミー賞最多の6部門(作品・監督・オリジナル脚本・編集・音響調整・音響編集)で受賞を果たしたキャスリン・ビグロー監督作。製作費1500万ドル。2010年公開作品。

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テロの脅威が続く2004年夏のイラク・バグダッド郊外。米国陸軍ブラボー中隊の爆発物処理班の新たなリーダーとしてジェームズ二等軍曹がやって来た。サンボーン軍曹とエルドリッジ技術兵を補佐役とした爆弾処理チームは任務明けまで38日間を切っていた。しかし、ジェームズの処理手順は破天荒なもので、護衛に回るサンボーンとエルドリッジは戸惑うが・・・。
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アカデミー賞では本作の監督キャサリン・ビグローの元旦那がライバル作『アバター』のジェームズ・キャメロンということで話題(互いに9部門で候補)になり、いざ蓋を開けてみれば本作が主要部門をせしめたわけだけど、おかげで映画館が混雑してしまい、結局この時期に見ることになってしまった。原題の"The Hurt Locker"は米軍のスラングで"苦痛の極限地帯"や"棺桶"を意味するとのこと。

撮影中は本当に公開されるのか不安だったと関係者が語っているのをどこかで読んだので、てっきり低予算映画かと思ったらそんなことはなく、『アバター』の2億3700万ドルの製作費に比べれば微々たるものではあるが、ヨルダンロケによる各場面はバグダッドの現実を知らない身にはリアリティがあり、祖国に早く帰りたいと願うサンボーンやエルドリッジの心境を心から理解することができる。

脚本はマーク・ボールというジャーナリストで、実際の体験が基になっているらしい。爆弾処理兵の死亡率は他の兵士の5倍以上というデータもあるらしく、それをまざまざと見せつけるオープニングから、グッと作品世界に持っていかれる。新任のリーダー・ジェームズの型破りな爆弾処理のやり方にエンターテイメントとしての緊張感と躍動感が伴い(赤と青どちらのコードを切ったらいいのかというような緊張感を煽るありがちな手法が皆無なのもいい)、さらには揺れる手持ちカメラを駆使することでリアリティ度が高められ、イラクからのニュースで時折伝え聞く国連施設に仕掛けられた車爆弾、あるいは死体爆弾といった現実が描かれる。

砂漠の真ん中で処理済み爆弾の後処理をした帰りに、唐突に始まる狙撃戦の描き方が執拗で、映画としてのバランスの悪さを覚える。しかし、灼熱の太陽の下での長時間にわたる辛い戦いがあったからこそわだかまりが消えていき、部屋飲みシーンでのチームがひとつになる展開が生きるのだろう。同時にジェームズが抱える闇がじわりとスクリーンからにじみ出る場面でもある。

ベトナム戦争映画にしろ、これまでに作られてきたイラク戦争映画にしろ、さんざん描かれてきた戦場にいるときにしか充足感が得られなくなってしまった兵士、いってみれば"カーツ大佐"の子供たち、を家族と過ごす平穏な日々を短く挿入することで描き出す。

兵士とってみれば治安維持という善意(まあ兵期後に大学に入学できるとか特典もあるのだろうけど)でイラクにやって来たのに、住民からはないがしろにされ、終始テロの脅威に怯える日々であり、一方で、テロを警戒するあまりに米兵の過剰な武力行使は酷いものであることをあまさず映し出す。本作をそんな風に見る人には反戦映画であるだろうし、反対に自分の目の前で爆弾が破裂したにもかかわらず、それでもまた戦地に向かい、次の八百何個目かの爆弾を処理しようとする立派な兵士に強い男としての理想像を見てとり憧れる人もいるのだろう。

いずれにせよ、血が飛び散り、汗が流れ続け、おかしな情緒に流されず、安易な結論もなく、戦争を正面から見据えた骨太な作品であり、楽しめた。惜しむらくは砂漠での狙撃戦が少し長めだった点と、夜の市街地で敵を深追いするシーンで、ジェームズの心境の変化がスムースでなかった点か。
2010.04.11 Sunday 23:59 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2020.04.08 Wednesday 23:59 | - | - | -
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