すばらしくてNICE CHOICE

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「Like A Game Remix」

国産ヒップホップにおける無料ダウンロードという手法は1年前のこの時期でもまだ一般的ではなかったが、今年に入ってからはすごい勢いで増えている。iTunes内の"free DL song'10"と名付けたカテゴリにはすでに82曲ある。MINT、DARTHREIDER、L-VOKAL、Takatsuki、環ROYといったすでに作品を一般流通させ、インディーズではあるものの、こと日本語ラップの世界では広く知られているアーティストたちの曲もあるが、岩国のHIGH5や週一ペースで交互に出しているATENESTUDIOの雄大とHI-SOのように、このフリーDLを通して初めて知った人たちの曲も多く、そういった出会いが楽しくて色々落としては聴いている。

DL曲はタカツキが先日発表した「ほっぺた」や「マナマナ」のようなお蔵だしパターンから、環ロイのように新機材を導入したのでとりあえず音を出して録ってみたといった作り込んでいないものまで様々だ。アーティストの素顔を垣間見られた気がして興味深い。

しかしこの手のリリースで幅を利かせるのはリミックスものだ。トラックメイカーが曲を改変する"リミックス"ではなく、ありもののトラックの上にラッパーが自分のリリックを乗せる"リミックス"だ。2006年にDABOがBusta Rhymesの「New York Shit」の東京版「TOKYO SHIT」を作り、様々なラッパーが自分なりの「TOKYO SHIT」を歌ったのと同じだ。あのときはMIXIで広まり、YouTubeにアップされたが、今はTwitterを介するようになり、ユーチューブでの視聴だけではなく曲自体もフリーDLできるようになり、iPodで簡単に聴けるようになったのが嬉しい。

ダボといえば、Jay-ZとAlicia Keysがコラボした「Empire State Of Mind」のリミックスも昨年末にいち早く取り入れていた。COMA-CHIと組んで「Tokyo State of Mind」を発表し、「TOKYO SHIT」と同様に日本各地でご当地ソングを作らせた。この辺りからユーチューブへの曲アップと同時に音源のフリーDLが一般的になった印象だ。

洋物トラックを使うパターンでいえば、50Centに気に入られたというSIMONの「Tequila, Gin Or Henny」は比較的新しい流行か。今月に入ってからもLボーカルがSHINGO★西成や鎮座DOPENESSと組んで「SHOCHU, ROOBEE, SAKE」を出している。今人気があるのはRED CAFEとFABOLOUSによる「I'M ILL」かな。ダボやMikris、一昨日は横浜のあるまがリミックスを発表していた。

もちろん米国産トラックだけではなく、日本人の曲でもリミックスは行われている。RHYMESTERが数年ぶりにリリースしたシングル曲「ONCE AGAIN」を使ったリミックスバージョンはユーチューブにかなりの数上げられている。


ようやく本題。最近フリーダウンロードの知らせを待ちわびているのがこの「Like A Game Remix」だ。下手くそなフリースタイル中に今でも時々飛び出す、"ライクア〜"という例の安易な比喩表現を言葉を扱うことに長けたラッパーたちがいかにうまいいい回しができるか競うゲームだ。競うはいい過ぎだとしても、言葉の使い方が巧みか否か、あるいはセンスがあるのかないのかが如実に分かってしまうところがこのリミックスの面白いところだ。ふたりのラッパーが掛け合い漫才のように楽しげにラップしているのも聴いていて単純に楽しい。


KLOOZ『NO GRAVITY』

2010年4月23日アップの無料ダウンロード・ミックステープ(http://bit.ly/chA0sj)。

そもそも「Like A Game」は、KLOOZというサイコロ一家/THE LIFE ENTERTAINMENT.に所属するラッパーの最新ミックステープの収録曲だ。ユーチューブに上がっていないので貼り付けることはできないが、アルバムのDLサイト(http://bit.ly/adxuMn)で視聴できる。11曲目がそうだ。フリー音源をコンスタントにアップして注目を浴びているAKLOとの愉快なラップを聴くことができる。

【追記】2010.05.31
<a href="http://klooz.bandcamp.com/track/like-a-game-ft-aklo-ban" rel="nofollow">Like a GAME ft.Aklo Ban by klooz</a>
bandcampにこんな機能があったとは。konyagatanakaさん、ありがとうございます。

1ヴァース目は自分のラップについて、2ヴァース目でフロウを、続いてライム、最後の4ヴァース目でスタイルを何かに例える。ここでの言葉の選択がそのラッパーのセンスの良さを示すわけで難しいところでもあり、楽しいところでもある。MCバトルで放たれたキャッチーかつ強烈なパンチラインが会場を沸かせ、相手がどれだけ韻を固く踏んでいてもフロウが巧みであっても、そこが勝負の分かれ目になることは多々ある。それと同じで、最上の比喩は曲をよりよく見せる。

結論を先に書いてしまえば、クルーズとアクロのこのオリジナル版をまだ誰も越えていない。クルーズの"ETC"は一瞬分からないのだけど、アクロの問いかけでその意味が分かるのはふたりの絶妙なコンビネーションだ。3ヴァース目のクルーズのラップで、格闘ゲームのキャラクター・ダルシムが飛び出すのもいい。"誰も使わないインド人で楽しむ"にちょっとした間を入れているは"誰も使わない韻"と踏んでいるのだろうし、評判のアクロと対等の巧さを発揮している。最後に登場したBANがしっかりオチをつける辺りもよく練られている。


【PRIST & SINSI-T】

2010年5月8日アップ。
フリーDL音源は1週間限定だったためにすでに削除済み。

最初に発表されたリミックスはこの曲。PRISTとSINSI-Tのふたりは初めて聴くラッパーだが、トゥイッターやブログによれば、ふたりとも荒川区出身でクルーズと同じサイコロ一家とのこと。"上海万博"などの風化しやすいけど、旬な言葉を盛り込むのは今一瞬だけのゲームとして面白い。それと、ボクシング漫画『はじめの一歩』ネタが飛び出すのも好き。悪くない。


【Ks.da Squad (Jiny & Rasel)】

2010年5月13日アップ。
320kbpsのmp3ファイルを落とせたが、今ではできないよう(http://bit.ly/dgldOw)。

このユニットも初めて。関西弁だし、検索をかけると大阪や神戸のイベントに出演するという告知が引っかかる。Jinyの方はオリジナルの形式に則ったラップをするが、例えに意外性がなく物足りない。一方のRaselはぬめったフロウでこのゲームの縛りをあまり気にせずにラップしていて、そこが面白い。

彼らは「Beamer, Benz Or Bentley」をリミックスした「車、電車 or 歩き」なんて曲もユーチューブにアップしていた。(http://bit.ly/dCCOMl)


【CHIKATETSU】

2010年5月14日アップ。
ユーチューブのリンク先からmp3ファイル(320kbps)を落とせる。

CHIKATETSUは渋谷を拠点に活動するラッパーで、B2B-CONNECTIONというクルーの一員らしい。MySpaceを見たら、昨年フリーDLアルバムを発表していたようだ。この形態での作品発表が本当に増えている。全てを把握している人っているのかしら。まあそれはともかく、このリミックスの特徴はひとりでやっていること。それだけだ。自分のラップを"ふりかけ"やら"コンビニ弁当"に例えるが、それがかっこいいのか疑問であり、もしかしたら意図的にマイナスなものに例えているのかもしれない。その逆説を上手にフォローし、プラスに転じさせているかといえばそうではないので、ますます分からない。


【CHIKATETSU & KAZZDOGG】

2010年5月17日アップ。
ユーチューブのリンク先からmp3ファイル(320kbps)を落とせる。

上のチカテツがひとり版を発表した3日後に出したふたりバージョン。同じB2B-CONNECTIONのKAZZDOGGと共にリミックス。カズドッグという人は千葉・柏の人らしい。しかし、ふたりとも比喩が同じレベルで微妙な出来。ただ、4ヴァース目で互いを批判するプロレス的展開は新しい。


【MATCH & RICK】

2010年5月20日アップ。
フリーDL音源は1週間限定だったためにすでに削除済み。

MATCHのトゥイッターを見ると沖縄は普天間出身とのこと。一方RICKは、ブログによれば、渋谷を拠点にし、ソロの他にラッパー・NEXと共にCRIXXというユニットでも活動している。『CONCRETEGREEN 10』に数曲か収録されている。リックの"警視庁捜査一課"はかなりツボ。"ダイヤモンド"と自らいうようにかなり固いし、同時に柔軟。マッチはエロネタに行きがちだけど、"ギャルズのタイツ"にはそう来るのかという面白さがある。


【GASFACE & JB】

2010年5月25日アップ。
mp3ファイル配布中(http://bit.ly/9i4e1p)。

このふたりはクルーズの知り合いなのかな。よく分からないのだけど、ふたりともラップはお世辞にも巧いとはいえない。でも延長戦を始めたのは新機軸。その5ヴァース目は"ボイス"についてで、GASFACEの"加藤鷹の喘ぎ声"には笑った。


【RioR & Morrow】

2010年5月27日アップ。
1週間限定(6月8日まで?)でフリーDL中。
mp3ファイル(http://bit.ly/9O9bpX)、wavファイル(http://bit.ly/ceCVek)。

今のところ一番新しいリミックス。ふたりとも東京のラッパーらしい。当然のように初めて聴く。Morrowは声が好みでかなり惹かれる。漫画『北斗の拳』の"雲のジュウザ"が飛び出したと思ったら、次の瞬間ギアを素早く切り替えるところにしびれた。4ヴァース目の"長谷川穂積"もその通りだと思う。かたやRioRは最初から最後までエロネタ一本でそれはそれで潔い。


短い小節の中にどれだけ魅力的な比喩を詰め込むことができるのか、聴いている側も実際にラップしている方も遊び感覚はもちろんなのだけど、言葉のセンスがはっきりと問われるわけであり、笑いながらもちょっとした真剣さが漂うこのリミックスがもっと広がると嬉しい。まあ、思わず口ずさんでしまう"ライカ・ライカ・ライカライカゲーム"というフックを聴けば、誰もが試してたくなりそうだけど。このリミックスを発表しているのはまだ無名の若手ばかりだが、中堅どころも参加したら面白くなるのになと思う。Lボーカルや鎮座ドープネス、環ロイといった切れ味鋭い言葉を放つラッパーならクルーズとアクロのオリジナル版を越えられるかもしれない。

最後に、この曲のインスト(wavファイル)はクルーズのブログ(http://bit.ly/cLofK8)で配布中。一応DLサイトへの直リン→http://bit.ly/9DyjS7。
2010.05.29 Saturday 18:05 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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