すばらしくてNICE CHOICE

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降神&wonderboy@代々木公園

代々木公園で行われた「Bottle/Exercise/Cypher vol.5」に行ってきた。

その前に寄った新宿タワーレコードでのSHINGO★西成のインストアライブが終わったのが21時3分。今回のゲストの降神や谷川俊太郎のパフォーマンスは21時からの第二部に予定されていて、終了時刻も22時頃と公式ブログにあり、まあ主賓は最後だろうと急ぎ向かった。

原宿駅改札を抜け、ダブルダッチに興じる男女の間を小走りで駆け抜け、深い闇が降りた代々木公園内をずんずんと進む。開催場所("中央広場時計台付近")のだいたいの位置は把握していたものの、頻繁に行くヨヨコーといえども最奥地に近いその場所に脚を伸ばすことはあまりなく、近くまで行けばきっと気づくだろうと運動不足でなまった足に檄を飛ばす。

21時19分、先を歩いていた女性がふと道を外れたので、何かあると踏み、そっちの方に注意を向けると案の定街灯のわずかな光の下に人が集り、輪を作っていた。50人ぐらいだろうか。恐る恐る近寄ると、確かに詩が読まれている。渋谷の街角を歩く詩のようだ。輪に加わり、耳をすました。

聴き始めて1分経ったか経たないかでいきなり中断となった。公園職員が闖入してきたのだ。許可を取って開催しているのか、宗教的なものではないのか、マイクは使うな、動画を含めた映像を使ってくれるな等々の確認や注意を主催者に突きつけ、最後には後ほど聴取するからと電話番号を聞き出し、とりあえずの続行が許された。

いかにもな事なかれ主義に笑いが飛んだが、ややしらけた雰囲気になったのも確かでどうなるのかなと思いきや、主催者の男性(先ほどまで詩を読んでいた人)が職員が退場した瞬間に、"、という詩でした"とその突然の珍客すらもひとつのパフォーマンスに仕立て上げてしまったので再び良い空気が戻ってきた。"言葉を話す人は全員詩人なのですから"とのひと言も良かった。

気を取り直した主催者は次は2篇用意してきた人のために2巡目の始まりを告げた。ということは、すでに降神の1回目のパフォーマンスは終わっていたようだ。残念。

まずはwonderboyがリーディングし始めた。終了後に本人に名前を確認するまで誰だか分からなかったのだが、生で聴いてもなかなか魅力的な声の持ち主だった。タイのプロサッカーリーグで選手として活躍する同級生に向けて書かれた詩は、時に友人が目の前にいて語りかけるように、時にいまだ何も持ち得ていない、何も成し得ていない自分たちを自嘲しながら進んでいく。テーマとしてはありがちなものだが、それを読み上げる彼の声には切なさが混じり、そこが良い。来年5月にアルバムリリースを考えているらしく、期待したい。

次は降神のなのるなもない。彼が口を開くだけであっという間に別世界を創り出す。"できることなら何も感じない機械になりたい なんて正気かい? 伝わらないもどかしさに疲れの取れぬ日々の忙しさに置き去り"。歌うようなフロウはとても音楽的で耳には心地良いのだが、正直書けばその歌われる内容は理解しにくい。"ガイドラインは俺たちのワイルドさ"はどのタイミングで飛び出したのか覚えていないが、脳にこびりつく一節だった。

1分ぐらいで終わり、間髪入れずに志人へ。"隣国を愛す我らひとつの民族と捉える 信仰する宗教やまとわりつくナショナリズムはさておいて 目には見えぬ壁という壁を通り抜けるのだね 邪念を捨て 誰もが似て非なる各々だけの風となる"。いきなりとうとう始まる志人のリーディングは、なのるなもないに比べれば、イメージしやすい言葉が使われているために幾分物語性を感じる。が、深いところで理解できていないのは同じ。

緩急をつけ、さらには動と静を意識しながら、韻は踏みまくり、馴染みのフレーズを盛り込み、聴く者を圧倒していく。やっぱりこのふたりはすごい。ヒップホップとかそういった狭いジャンルにとらわれることなく、自分たちのスタイルを模索し、深化させ、それを確実にエンターテインメントに落とし込んでいる。

最後は谷川俊太郎が読むということで、みんなで彼に近づき輪を狭めた。そのことで生まれた妙な一体感が面白い。谷川が読んだのは「詩人の亡霊」と題された1分ほどの詩だった。

"詩人の亡霊が佇んでいる"で始まる、なかなか意味深長な詩だ。"文学史の片隅に名を残した"詩人の亡霊は"書棚の奥でいまだに親友と名声を競い合っている"という。しかし、生前の詩人はわずかばかりの名声を得たのかもしれないが、実際は詩の真理を理解せず、また自然の神秘を言葉にできたと思っているだけだった。なぜなら詩人は"一滴の汗も血も流"すことをしなかったからだ。

この詩を選んだ理由が気になった。若い詩人たちにそうならないように気をつけろよというエールなのか、それともこの日に読まれた詩があんまりな出来であり、詩人を名乗るのは結構だが、この詩人の亡霊と同じことだぞとの苦言だったのか。

ともかく、谷川のリーディングで終了。21時34分。


たった4人のパフォーマンスしか見られなかったわけだけど、すでに完成されたスタイルを持ち、見せることに磨きを掛けている人たちだったこともあり、何のストレスもなく、短い時間ではあったものの楽しめた。wonderboyを目撃できたのも嬉しかった。
2010.12.10 Friday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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2017.06.22 Thursday 23:59 | - | - | -
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