すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
08 / 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
<< 浜崎あゆみ『Love songs』 | main | KEN THE 390『NEW ORDER』 >>
DJ NAPEY『NAP TRAP!』

2010年1月20日リリースの4枚目のアルバム。
/5点中

1.[inst]
2.feat. DABO & JAZZY BLAZE
3.feat. ERONE(韻踏合組合)
4.feat. AGRI8 & K-ONE(LARGE PROPHITS)
5.feat. ICE BAHN
6.feat. COPPU
7.feat. DU-DUCK
8.feat. MC STATE
9.feat. HANABiS
10.feat. TAK THE CODONA
11.feat. ENDY(H.R.C)
12.feat. YOUNGI
13.feat. RYUZO
14.feat. 神門
15.feat. TRASH the JUN07


M1「intro 〜NAP TRAP〜」で鳴らされているビートはかつて全く受け付けることができなかった硬質なそれではない。流麗な鍵盤の調べの下で、低音はするどく耳に突いてくるのではなく、大地を踏みならすかのように響く。ベースが効いていることも深い鳴りに繋がっている。

神戸の若手ジャジー・ブレイズがやけに遠慮してダボに花を持たせようとするM2「アンチテーゼ」では王道感のある派手なトラックを、大阪を拠点とするラージ・プロフィッツのふたりが参加したM4「I'd rather die than give U control」はラップ自体は狭量で憤慨ものなのだけど、鍵盤の使い方が独特で面白く、また和を意識したものから完全にジャジーなものまで、深みの増したビートと共にトラックの幅が広い。

本作で最も奇妙で魅力的なのがM5「stILL」だ。ブラシで跳ねるリズムやジャズピアノが小粋に鳴らされたかと思えば、80年代ロックのような安っぽい荘厳さを通過し、ラテンへと表情を素早く変えていく。そのブレンドの節操のなさが楽しい。耳は音を追ってしまい、アイス・バーンのラップが正直聴こえてこない。

以前に聴いたセカンドアルバム『FIRST CALL』と比較すると、トラックの印象がずいぶん変わっていて、M5までは音にばかり耳がいくのだけど、M6「tragic LOVE」はラップにハッとさせられる。女性MCのコップは決してうまいラッパーではない。けれど、声に妙な一途さがあり、言葉が真っ直ぐに飛び込んでくる。アコースティックギターと笛の音を主体としたトラックは実直なラップを損ねず、調和が取れている。

強烈だったビートと共に2枚目で印象に残っているのは、神戸のトラックメイカーの作品らしく関西圏のラッパーが多く起用されているというものだ。初めて聴くラップが多く楽しめたのも事実だったが、その反面彼の好みは強面のラップのようで、趣味が違うなとも感じた。今作でも前半はややハーコーなラップ曲が並んでいるわけだけど、M6でいきなり女性らしさを内包した生真面目なラップが飛び出してくるわけだから驚く。M5のトラックにも通じるDJ NAPEYの多面性なのだろう。

札幌のDJ PERRO aka DOGGにフックアップされたこともある地元神戸のMCステイトのラップをまともに聴くのは初めて(M8「shelter」)。自身のヒップホップ観を熱く語るリリックが悪くないだけに、INIの丸写しラップはもったいない。

Mr.OZがそこにいるかのようなM10「KILLER killer 〜abyss〜」を抜けた先に本作の最初のハイライト、タクザコドナのM11「今宵のミラーボールのように」が待っている。拠点とする池袋で開かれていた思い出深いパーティやクラブ従業員を実名入りで語りつつ、ヒップホップという文化を大上段にではなく、彼自身の取ってきた軌跡をラップすることで自然と伝わる曲になっている。曲自体は短いのに、情景がありありと思い浮かぶ。彼は次回作が本当に待ち遠しいラッパーのひとりだ。

M13「摩那街灯」でのヨンギも悪くない。男臭さは変わらないが、ANARCHYのような咆哮ラップではなく、自身の現実をありのままに比較的淡々と綴るラップは、本作リリースの直前に出されたセカンドアルバム『街路樹』の収録曲よりずっといい。

本作のもうひとつのハイライトは神門によるM15「泥中花」だ。DJナペイのセカンドに収録された「蓮の花」を歌った神戸薔薇尻だけに向けて書かれたこの曲には、神門のかっこいいところとかっこ悪いところの全てがない交ぜとなっている。彼の想いは神戸薔薇尻本人だけではなく、聴く者全ての胸を打つ。ほとばしる感情のままに書いたように見えるし、実際ラップもよれるのだけど、彼が慕い嫉妬し恐れ怒りでも復活を強く待ち望むとするラッパーの名前が最後に明らかにされる構成の巧みさからも、冷静な計算の上に作られているのだろう。だからこそ彼の思いの丈はよりドラマティックに胸の内に響く。

タクザコドナと神門。このふたりのラップを聴くだけでも本作を手に取る価値はある。けれど、それぞれのジャンルの旨味をしっかり消化し、高い完成度に繋げているDJナペイのバラエティに富んだトラックも充分楽しめるものになっている。その上、関西、特に神戸のラッパーを多く招いた辺りにも強い意気込みを感じる。良いアルバムだ。
2011.01.28 Friday 23:58 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
スポンサーサイト
2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
コメント
コメントする











この記事のトラックバックURL
http://gogonyanta.jugem.jp/trackback/3451
トラックバック
Profile
Search This Site
Category
New Entries
Comment


Archives

今日も愚痴り中