すばらしくてNICE CHOICE

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RHYMESTER『マニフェスト』

2010年2月3日リリースの7枚目のアルバム。
/5点中

前作『HEAT ISLAND』の発売が2006年3月。翌年1月と2月に2枚組ベストアルバムと客演集を発表、一時活動休止を宣言した武道館ライブがその翌月。三者三様のソロ活動を経て、2009年10月まさかのBACHLOGICトラックのシングル『ONECE AGAIN』で復活。ライブはちょくちょくやっていたようだが、オリジナル作品としては丸4年ぶりとなる。

先行リリースのM2「ONCE AGAIN」にバックロジックが起用されたように、他にもDJ WATARAIやMAKI THE MAGICといったベテランから、DJ MITSU THE BEATSにEVISBEATS、DJ大自然ら中堅、さらにはCOMA-CHIも新作で起用していたMONKEY_Sequence.19をいち早く抜擢している。

モンキーシークエンス19以外のトラックメイカーは従来のRHYMESTERらしい楽曲を提供しているために、外部の音を導入したからという違和感はない。宇多丸とMummy-Dのラップが乗れば、ライムスターになることを再確認できる。ただ、モンキーシークエンス19は空気を読まないいかついトラックを提供していて、コマチだったら苦戦するのだろうが、"キング・オブ・ステージ"を自称するだけあって、貫禄の言葉遊びを繰り広げている。

音は外部から新しい風を呼び入れたが、客演ラッパーはなし。ラップは宇多丸とマミーDのみ。DJ JINのうんざりするようなボーカルもなく、ふたりのラップだけで勝負している。


ボーナストラックを抜いた全13曲のテーマは多岐にわたる。"気分はヤケにトウが立ったルーキーズ"と謙虚な一面を見せながら本編の幕が上がる。宇多丸の真骨頂ともいえる社会批判を織り込んだライミング、自分たちを迎入れ、成長させてくれた渋谷を語り、月を題材に洒脱なトラックの上で男と女が繰り広げるラブゲームとそのいい訳、ピリッと効かした皮肉に言葉遊びと、ベテランらしい巧さを随所で見せる。

本作随一のM9「K.U.F.U.」はホーンを効かしたDJジンによるトラック。2ヴァース目のマミーDのフロウと、3ヴァース目の宇多丸のリリックが光る。熱くラップした後は肩の力を抜き、スチャダラパー的なおもしろリリックでゆったりとした時間の流れを作る。間違いも多いけど、何度でも立ちあがるんだよと再びギアを入れるとクライマックスに向けて落涙必至のドラマが展開していく。M12「Come On!!!!!!!!」でようやく不釣り合いな謙遜を捨て、キングとしてのライムスターの姿が浮かび上がる。本編最後には雄々しく響くホーンをバックに、言葉に託してきた想いを綴る。

非常にバランスが良い。日常も恋愛も自画自賛もおもしろ話も社会批判も全てラップに落とし込んでいる。デザートとしてボーナストラックにはM2のリミックスが収録され、DABOは後輩として、TWIGYは同じ時代を駆け抜けた仲間として、最後のヴァースを担うZEEBRAは国産ヒップホップに対し同じ志を持つ同志として語りかける。できすぎな感がなきにしもあらずだ。


ライムスターのファンは幸せだ。アルバム『俺に言わせりゃ』でデビューして17年。コンスタントにとはいえないまでも、アルバムの枚数を確実に積み重ね、メジャーに登っても分かりやすい売れ線に走ることなく、ラップミュージックを続けている。17年経っても大きく変化せず、ビートを作り、誠実に言葉を繰り出し乗せることに少しも倦むなく、時に休息を挟むことで、音楽への気持ちをリフレッシュさせる賢明さも併せ持つグループは彼らだけだろう。

しかし、今回じっくり聴いてみて分かるのはやはりこれまで通り少しも引っかかるところがないということだ。いつものライムスターがより王道たらんとして作られた作品でしかない。外部トラックメイカーを参加させても揺るがない。それを立派と捉えるかは人それぞれであり、私は各トラックメイカーがライムスターに配慮した楽曲だったことにがっかりした。また、最近は活きの良い若手が無料配信の形で次々とミックステープを発表している状況を見るに、重い馬体をどうにか疾駆させている3頭の脇を若い駿馬が颯爽と駆け抜けていく図が思い浮かんでしまう。
2011.02.04 Friday 23:58 | 音楽 | comments(4) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
コメント
新しいアルバムが3月にでるのに重い馬体はないでしょうよ

あとトラックは各トラックメイカーからコンペ的に募って、その中からメンバーが選んだそうですよ


っていうかミックステープを無料配信し続けてたらライムスター以上のプロップスを得られるんですかね?

正直、今いる若い駿馬が20年後も同じ速度で走り続けているとは思えないんですが…
ゆう | 2011.02.23 Wed 05:35
あくまでいち個人の感想ということをお忘れなく。

確かにライムスターほどのプロップスを得るグループはこれから現れるのは難しいでしょう。

ただそのカリスマ性みたいなもんは時代やタレント性があってのものであって、

面白味に欠けるというのは納得できるところです。

スキル云々はもう広く伝わっていますからね。

これはいくところまでいったアーティストならほとんどに言えることだと思います。

次のアルバムで色々と分かるでしょうね!
トルネード投下 | 2011.02.23 Wed 11:21
自分は好きでしたねこのアルバム
外部のトラックメイカーが遠慮したように思えるということでしたがそれでもライムスが、ということで刺激的に感じてしまいました
簡潔で具体的なリリックも楽しかったですし
またやはりジンがラップしなかったということで・・・

客観的な評価を並べた但し書きを書かれたのは前作の記事が荒れたからでしょうか
つまらない人たちもいたものです
P | 2011.02.23 Wed 13:33
ゆう様

こんにちは。
コメントありがとうございます。

> 新しいアルバムが3月にでるのに重い馬体はないでしょうよ

ああ、そこはリリース間隔のことではなく、無料という形であってもミックステープでとりあえず発表する活きの良い若手が色々出てきていて、そっちを聴いている方が刺激的で面白いという意味ですね。

> トラックは各トラックメイカーからコンペ的に募って、その中からメンバーが選んだそうですよ

だからですね。

> ミックステープを無料配信し続けてたらライムスター以上のプロップスを得られるんですかね?

そうなんですか?初耳ですが、そういう意見もあるのでしょうか。作品が良ければ、商品だろうが、フリーだろうが支持を得ると私は思っています。現にS.L.A.C.K.の新譜は、外見は酷いものでしたが、評判はすごくいいですし。

> 正直、今いる若い駿馬が20年後も同じ速度で走り続けているとは思えないんですが…

そうですね。さんピン世代で生き残り、コンスタントに作品を発表している人たちがひと握りなのと同じように、今我が世の春を迎えているラッパーも次第に淘汰されていくと思います。その事実と作品の質、あるいは私の感じ方はまた違う話かと。



トルネード投下様

こんにちは。
いつもありがとうございます。

> これはいくところまでいったアーティストならほとんどに言えることだと思います。

全くもって同意です。私はスピッツが好きなんですが、今の彼らには変化しようという気概はありません。いつもと変わらないスピッツサウンドを鳴らし続けています。そして、ファンとしてはそれでいいのです。いつまでも若々しい音であって、ときめくメロディなんですから。ストーンズファンも多分そうなんでしょう。ただ、部外者となると、その予定調和に不満を抱いてしまうという話なんでしょうね。

> 次のアルバムで色々と分かるでしょうね!

そうなんですよね!これだけ製作期間が短かったわけで、今までにない勢いがあるでしょうし、ちょっと期待しているところはあります。


P様

こんにちは。
よく分かってらっしゃいます!

> 客観的な評価を並べた但し書きを書かれたのは前作の記事が荒れたからでしょうか

思ったよりも但し書きが長くなってしまいました。。。

> 簡潔で具体的なリリックも楽しかったですし
> またやはりジンがラップしなかったということで・・・

DJ JINはどうしてマイクを握るのか全く理解できませんでしたし、今回はふたりだけでラップしたというのはホント正解だったと思います。
gogonyanta | 2011.02.26 Sat 15:40
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