すばらしくてNICE CHOICE

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ZONE THE DARKNESS『THE N.E.X.T.』

2010年12月8日リリースのセカンドアルバム。
/5点中

1989年2月生まれ、東京都葛飾区新小岩在住のソロラッパーZONE THE DARKNESSの2枚目のアルバム。2008年暮れに行われたUMC東京予選でRUMIと当たり、MC名のダークネスに引っかけられ、"何か縁起悪いな"と攻撃されていたのをYouTubeで見て、その名前を知ったのが確か最初だった。生で見たのは翌年のBBOY PARK「UNDER 20 MC BATTLE」。決勝まで上りつめ、KOPERUに敗れはしたものの、好戦的なスタイルは強く印象に残った。

ただ、"好戦的"というのもものはいいようで、端的にいえば口汚く相手を罵倒するスタイルであり、好きになれなかった。だからその年にリリースされた1000枚限定の自主製作アルバム『心象スケッチ』もwenodで見かけはするのだけど、手に取ることはなかった。ただ、評判が高まる一方であり、昨年の早い時期だったかにものは試しとばかりに購入してみたら、MCバトルでのあの獰猛なラップではなく、丁寧なライミングと、表題通りに心のひだを丹念に言葉にしていくラップスタイルで同じラッパーなのかと驚いてしまった。

何でも、"2007年の冬、三度目の逮捕で少年院へと送致され"、"ラジオから聞こえてくるビートに合わせ、密かにリリックを書き溜める"というまさにストリート育ちの優等生そのものといった十代だったようだ。ファーストアルバムに収められた曲の大半はその頃の辛い心境を綴った曲となる。

本作は、沈鬱でモノクロームに包まれた前作の世界から一気に飛翔し、ジャケットからも明らかなように華やかな色彩を帯びた。EccyやYakkleといったStyle Recordsの音や、FragmentにMichita、PUNPEEという信頼のトラックメイカーのビートの上に、日本語のイントネーションを大切にし、パンチラインを炸裂させ、メッセージにこだわるラップが見事に着地する。これまで通りの精緻なライミングを捨てずに、さらにはSEEDAに近いフロウを試してみたり、また薬物汚染された「不思議の国のアリス」を生み出し、かたやShing02の「S02-2102」に肩を並べるSFストーリーテリングに挑戦していたりと目を見張る成長ぶりだ。

帯でHAIIRO DE ROSSIがいみじくも書いているように、ゾーン・ザ・ダークネスは"仲間や音楽に対して最高に真摯に向き合っている"。その熱意と歌詞カードがなくても伝わるラップは聴く者を奮い立たせる力がある。出自は真逆だし、リリックの内容も立ち位置も大きく異なるが、言葉に絶大な信頼を置くという点で神戸のラッパー・神門に近い。

もうひとつ、神門と似ている点がある。それはライブの方が良いということだ。彼のライブは上野のCastle Recordsで行われたインストアライブでしか見たことないのだけど、粗削りながらも、録音されたラップよりさらに体重が言葉に乗せられ、前のめりで突き進んだ40分間のライブではすごい量の熱がほとばしっていた。インストアライブだから、クラブとは違い、明るい蛍光灯の下で行われるわけで、スピーカーも満足できるものではないし、条件が悪いにもかかわらず、アルバムの曲をほとんど全曲披露していて本当に圧倒された。

それと比較してしまうと、整えられ聴きやすくなってはいるけれど、満足できずにいる。バラエティに富んだトラックにリリックを揃え、意欲作なだけに余計に残念だ。


キャッスル・レコーズでの購入者特典CD-R。

「僕と孤独と夜」(3"55)収録。
produced by fanfan

恋愛を綴った曲はアルバムの最後にミチタ・トラック(M13「You & Me」)で収められている。それと、未来SFストーリーテリング曲のM3「Tokyo25世紀」もまた最後に胸が熱くなるオチが待っている。しかし、この曲も収録した方が良かったのではと思うぐらいに突き刺さる恋愛歌であり、未収録なのはもったいない。

タワーレコード特典。
「Are You Ready? feat. O-JEE, バラガキ, ZEUS, T2K & Young Freez」(5"54)
produced by LostFace

前作同様に本作でも客演なしの男気溢れるワンマイクのアルバムとなったわけだけど、特典曲では東京の若手を集めた勢いのあるマイクリレー曲が収録された。M4「奮エテ眠レ」のリリックにも登場するオージーと、Yellow Diamond Crewからバラガキとゼウス、かつて渦中の人だったThe LoyalityのT2Kに、初めて名前を知ったLOCAL BABYLONのヤング・フリーズという5人と共にマイクを回す。
2011.02.15 Tuesday 23:58 | 音楽 | comments(2) | trackbacks(0)
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2017.03.22 Wednesday 23:58 | - | - | -
コメント


はじめまして。
いつも日本語ラップのCDのレビューを見さしていただいてます。


ZONE THE DARKNESS、良いアーティストだと思います。

僕はこの人の虜になり、最近アルバムを買いはじめました。
2nd,3rdのアルバムは見つかって無事購入できたのですが、
1stの「心象スケッチ」がどこに行っても見つかりません…。
1000枚限定ということらしいのでもう売り切れたのでしょうか…?

1stアルバムすごく気になります。
どんなアルバムだったか、感想など教えていただきたいのですが…

ばいたんこく | 2012.05.14 Mon 19:36
ばいたんこく様

こんにちは!はじめまして。

> 1stの「心象スケッチ」がどこに行っても見つかりません…。
> 1000枚限定ということらしいのでもう売り切れたのでしょうか…?

数年前にはwenodなどにまだ普通に置いてあったのですが、今は廃盤のようですね。

> どんなアルバムだったか

THA BLUE HERBのILL-BOSSTINOの影響下にあると思いました。「孤憤」を意識した曲で始まります。でも押韻は今と同じようにきっちり踏み込んだスタイルでその点は今と変わらないです。テーマ的には捕まった話や生い立ちの話などだったような・・・。簡単ですみませんが、ファーストアルバムらしい粗さと溌剌さのある作品です。
gogonyanta | 2012.06.03 Sun 17:15
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