すばらしくてNICE CHOICE

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不可思議/wonderboy、神門、toto、MOROHA、イシダユーリ&狐火@池尻大橋2.5D

LOW HIGH WHO? PRODUCTION主催の「POETORY FES 2011 〜不可思議/wonderboyに愛を込めて〜」に行ってきた。いわゆるポエトリーリーラップと呼ばれているラッパーたちが一堂に会するイベントを不可思議/ワンダーボーイ自身が構想していたらしいのだが、彼は先月23日逝ってしまった。

わずか2週間(開催が発表されたのは1週間前の6月30日)しか経っていないが、ロウハイフー?主宰者Paranelの頑張りのおかげで、思い入れのあった7月7日七夕の日に開催されることになったのだ。昨年の七夕は手売りとwenod店頭のみで販売していた『不可思議奇譚demo.ep』をその年の春に加入したロウハイフー?から特典CD-R付きで新たに発表した日であり、また彼の代表曲のひとつともいえる「銀河鉄道の夜」にも"七夕"が登場する。


開始時刻の19時を少し過ぎた頃に会場の「2.5D」に着く。DOMMUNEが人気に火をつけたインターネットを利用したユーストリーム放送を本格的に取り入れたライブハウスであり、毎日のようにイベントの生中継をしている新しいタイプのハコだ。オープンは先々月とまだ新しい。地下1階にあり、フロアは縦10メートル、横幅5メートルほどだろうか、100人も入ったらいっぱいになる広さだ。ステージを正面に見て、右側後方にはユーストリームのコメント欄が映し出され、次々とスクロールされていく。左奥にあるバーカウンターの後ろの壁にはネットで流されているのと同じ映像が投影されている。


【マサキオンザマイク】 19:15〜19:42

一番手はマサキオンザマイク。不可思議/ワンダーボーイがまず最初に頭角を顕した第2期新宿スポークワーズスラムの司会進行をしている男だ。ラッパーでもあるらしい。彼が出てきてその姿を見るまで、私はなぜかマイクアキラと勘違いしていた。ずいぶん垢抜けたなと思ったが、よくよく考えると、いや考えなくても元四街道ネイチャーの彼のはずがない。マイクという同じ単語がMC名に入っているからだろうか。まあ、どちらもラップが下手であることに変わりはない。

彼はステージに姿をなかなか現さず、"サウジアラビアのサッカー選手が見たい"と延々叫び続けるパフォーマンスでスタート。"さっさと出てこい"と野次が飛ぶもなしのつぶて。7分が過ぎ頃に、フロア後方から現れてステージに上がった。"サウジアラビアもう耐えられないよ"とかいいながら。DJブースの裏で縮こまりながら叫んでると思っていたのはテープで、いってみればSEだったようだ。

登場してすぐにセイホーならぬセイント星矢でのレスポンス。このイベントが何のためのものか忘れそうになる。曲というよりも、"地デジに対抗するのはドラムンベースしかないんだよ!"といったMCを聞いて笑うステージであり、ある意味絶叫パフォーマンス。意外なほど長い持ち時間に引きつりつつも、最後にはワンダーボーイでのレスポンスをして、観客に趣旨を思い出させて終了。


【狐火】 19:43〜20:19

マサキオンザマイクの後はやりにくいといいながらマイクを握った狐火は、まず最初に不可思議/ワンダーボーイとの思い出話から入った。生前に一度だけ会ったという。彼のブログにも綴られているエピソードだけど、吉祥寺WARPで狐火がライブのリハーサルをしていると、初対面の彼がやって来て、デモテープだけを手渡してそのまま帰って行った。時間はないけど、勇気のある子なんだなとその時狐火は思ったそうだ。

彼が不慮の死を遂げたその日、狐火は代々木公園でPV撮影をしていて、夕方に不可思議/ワンダーボーイも合流するはずで、そこで2回目の対面となるはずだったが、結局それは叶うことのない約束となった。

1曲目の「僕に5分だけ時間をください」に入るまでのMCも長かった。2008年1月にひとつの決意をしたという。人から狐火はラップが下手だといわれることが多いが、自分ではそうは思っていなくて、"S.L.A.C.K.、RAU DEFよりリズム感があって フロウがあって、神門君やMOROHAよりリリシストで、ZONE THE DARKNESSより韻を踏む。HAIIRO DE ROSSIのような振る舞いがある"と信じ出していた。けれど1枚目は全く売れなかった。

自分に足りないのは行動力だ思い至り、社会的に広く関心を呼んでいる時事ネタをラップし、YouTubeに挙げることを始め、また同じカ行のMC名を持つ有名ラッパーと同じ日にアルバムを出すことで、その大物ラッパーの周辺の人たちがCD屋の陳列棚の写真をブログにアップするから、その時に自分のアルバムも写り込むことができて、宣伝力アップになるという本気とも冗談ともつかない努力も行ったそうだ。ちなみに後者の実践例が昨年6月に出したアルバムでキリコのサードアルバムと同日発売だった。

そんなこんなな取り組みを行い、2008年1月からずっと同じ気持ちを抱き走り続けているとかっこつけた後にようやく1曲目を披露した。今年リリースのアルバムの表題曲でもある「27才のリアル」は、本当に入社したかった会社の採用面接に落ち、その面接官にメールで送りつけたリリックが元になっているとのこと。仕事とはいえ、面接官も大変だ。

3曲目「マイハツルア」はセカンドアルバムのタイトル曲。間奏部での今年のゴールデンウィークに帰省した際、祖母が作ってくれたタケノコご飯のくだりはさすがにグッときた。


狐火の作品は最新作『27才のリアル」しか聴いたことがない。正直いって"壁アルバム"だ。一番聴き苦しい曲はこの日の4曲目だった「一身上の都合のうえ炎上」という自殺についての曲なわけだけど、まずラップそのものが下手な上に湿っぽく、さらに過剰な熱さはアルバム全編に行き渡っていて、2度3度聴いてもう結構となる。

だからこの日も一番の苦行になるのかなと戦々恐々としていたわけだが、意外や意外楽しめたから不思議だった。曲のテーマからも楽しめたと書くと語弊はあるが、彼が一部で人気があるのも理解できた。特に2曲目までは、ライブなのにフラットな語り口でラップされていたのが良かったのだと思う。もともと、"音よりも言葉が先に行く"強くも生々しい表現を武器にしているわけで、フロウにまで過度な情感を込めなくとも十分伝わるのだろう。

それと、ライブ時間の3分の1を使うMCの巧さも特筆すべき点だ。重い曲でも笑いを交えながら、曲の解説を丁寧にしているのは好感がもてた。もちろん、曲を聴いただけで理解できるに越したことはないだろうが、特にヒップホップのミュージシャンで懇切丁寧に意図を話す人は少なく、面白かった。


まあでも一番驚いたのは、MOROHAのアフロがMCでも話していたが、狐火のライブDJだろう。2.5Dのフロアに入り、まず最初に目につき、オオッとなった女性が彼のバックDJ、というか音出しをしていたのだ。色々不幸を背負ったラップをしているが、うまいことやってるではないかと思ってしまったのも事実。

1.僕に5分だけ時間をください
2.27才のリアル
3.マイハツルア
4.一身上の都合のうえ炎上
5.最後の曲だとしても


【イシダユーリ】 20:20〜20:34

不可思議/ワンダーボーイがデモEP収録曲「所信表明演説」内で影響を受けた詩人のひとりとして名前を挙げている女性詩人。

不可思議/ワンダーボーイのリリースライブでもやっていた、最後に"できるだけ大きい数字から"カウントダウンする詩で始まり、"ゼロ"の言葉と共に鳴ったのはTHA BLUE HERB「未来は僕等の手の中」のインスト。この日最も正統派ヒップホップが響いた瞬間だったかもしれない。不可思議/ワンダーボーイの歌詞やネット上で公開されているインタビューなどを引用した彼のための言葉が紡がれていく。O.N.Oの音の上で不可思議/ワンダーボーイとの思い出を語り、彼のリリックを散りばめ、自身の厳しい生き方を述べる。彼女の健気さとザ・ブルーハーブの頑固さが不思議な共鳴を果たしてたのも興味深い。

"私は私の話しかしない みんなはみんなの話をすればいい それは私の記憶だ 私に食い込む記憶の残骸だ...人は人を利用する 人は人を食い散らかす 人は人を締めつけて生きる"

最後となる3篇目もトラック付きで、プロレス雑誌からの引用などもあるどこまでが遊びでどこからが真意なのか見定めることの難しい詩世界を広げていた。


彼女のパフォーマンスを意識して見るのはこれで2回目。正直いえば、彼女の言葉全てを理解するのは難しい。時折鋭く突き刺さるフレーズがあり、その痛烈さと、なにより言葉に対し真摯に向き合い、それをノートに文字として封じ込めるだけではなく、外に音として発する時に付加される真剣さに圧倒される。彼女は自らの感情の共有化について端から望まず、また期待もしていない。その媚びない言葉たちは、普段はラップミュージックという大衆音楽に慣らされている耳に鋭く響き、痛みにも近い。


【EeMu】 20:35〜20:54

ロウハイフー?所属のトラックメイカーEeMuによるDJタイム。一筋縄ではいかないビートが繰り出されていたが、ライブアクトがみな濃厚な上に矢継ぎ早に登場となるタイムスケジュールが組まれていたので、この20分が唯一の休憩時間だった。ビートはともかく上音はやさしく響いた。


【toto with Tyme(MAS)】 20:54〜21:28

2部の最初はSUIKAのtotoさんから。音はMASを率い、今回の彼女のソロアルバムの音を一手に担ったTyme。

最初は、"くらーいくらーいくらーい場所にいる"という言葉から始まるフリースタイル。彼女は数日前にTwitterで呟いていた。"不可思議wonderboyを私は物語で見送ることにする。今までで1番長いフリースタイルセッションになるかな"。その言葉通りに10分を超える音と言葉の物語は道を作り、大きな虹をかけ、光の川を見る。その風景をきっと銀河鉄道に乗った彼も楽しんだろう。最後には輪廻転生をちらりと見た気にすらなった。

スイカの3MCが揃った、ソロアルバム収録の「雲の上のお話」では、相変わらず天国の門番は欠席だったものの、"世界で一番楽しい天国の門への辿り着き方"とトトさんがいえば、Takatsukiも"ワンダーボーイの新居に遊びに行こうぜ"と返して始まった。

スイカのフロントマン3人がパフォーマンスしていることもあり、新譜の中では唯一スイカらしい曲なのだけど、ライブで聴くと音のバランスが悪く、音源での楽しさが再現されていない印象がこれまであった。でも、この日は音がしっかり整備されている環境にあったためか、これまでで一番良かった。かえすがえすも小林大吾の不在が残念。

最後は、"風に連れられていい場所に行こう"の言葉と共に「windy」で締めた。タイムが繰り出す音はこれまで以上に猛々しく、トトさんの言葉に襲いかかる。もちろん彼女の言葉はただファンタジックな優しさだけではないし、パフォーマーとしても鍛えられているから、しっかりと受け止めつつもたおやかに暴風を受け流し、猛烈な音の上に言葉をそっと乗せていく。1曲目に続いて、「windy」もまたセッションの様相が後半どんどん強まり楽しかった。


1.フリースタイル
2.ドア
3.雲の上のお話
   with Takatsuki & ATOM
4.windy


【MOROHA】 21:33〜22:04

モロハ。ラッパーのアフロとアコースティックギターのUKによるヒップホップデュオ。曽我部恵一に認められ、昨年10月には彼主宰のレーベルROSE RECORDSからファーストアルバムをリリースした。熱い言葉を放つ男がいるとの評判は耳にしてたし、彼らが主催しているイベント「40分」は意義深いもので、その第1回に不可思議/ワンダーボーイも出演していた。しかし、曽我部が評価したというのが、彼の審美眼は認めつつも反対に障害となり、聴かず嫌いをしていた。


まずは、「YouTubeを御覧の皆様へ」改め、「Ustreamを御覧の皆様へ」でスタート。ライブは楽しいから、PCの画面越しではなく、俺らに実際に会いに来いと甲高い声でまくし立てる。ユーストリームのカメラに向かって、"うらやましいだろ!めちゃくちゃ楽しいぞ!!"と煽る。

2曲目「俺のがヤバイ」は、ヒップホップ恒例の自画自賛曲なのだけど、そういった曲にありがちな慣用句を使わず、切り口が実に斬新だ。たいていのラッパーは尊大に構え、かっこつける。その姿勢に間違いはないし、それが好まれるジャンルではある。だけど、この日出演したラッパーは自分のかっこ悪さ/だささをさらけ出し、それを売りにしてしまえる強さがあった。アフロもまた自分のださいところをとことんまで見せて、逆説的にかっこいいと思わせてしまう熱さがある。

ヒップホップが言葉の音楽であることに自覚的な彼は、いくつもの印象的なフレーズを吐き出していた。"いい訳はやさしく肩を叩くが その先の面倒は一切見ちゃくれない"。

最後に、"俺半分ともう半分は誰かで最後の曲をやらせてください"と話し、UKはゆっくりと和音を響かしていく。"気がつけばあれから1年が過ぎました。宇宙には気候の変化はないけれど〜"と、あの銀河鉄道のレール敷設工事の話を物語り始めた!アフロは地球に残した彼女への手紙が読み上げていく。そこへ、"そういえばもうひとつ報告があります。新しいパートナーがやってきました / 24歳細身の青年 お洒落とはいいがたいクシャクシャの帽子 / 落ち込んだりはしゃいだりやけにさがわしく / 振られたり浮かれたりやたらさわがしく / なんだか見ていて飽きない男です / 照れ笑いの気のいい男です"。

アフロは同僚となり、友人となった"24歳細身の青年"と共に働き、銀河鉄道をついに開通させた。原曲と違い2ヴァース目もアフロからの手紙の体裁だ。新しい友人を家に招こうとするが、彼は他の仕事のために旅立ってしまう。だからアフロはこういうのだ。

"どうしても彼に合いたくなった時には 置き土産のCDをラジカセに入れて
 歌詞カードに彼の面影を重ねて 増していく言の葉に唇を重ねて
 誰かが彼を思い出す限り あのドヤ顔を思い出す限り
 ポエトリーリーディングは鳴りやまないっ"

前半にイシダユーリが「所信表明演説」の一部を引用した時、ただ彼の言葉を再生させるだけではなく、彼の想いも見事に乗せたパフォーマンスであり、不可思議/ワンダーボーイの言葉をそのままの熱量でよみがえらせるのは彼女しかできないのではないかと思ってしまったのだけど、モロハはまた違う形で彼の表現を組み上げ、そして別の色の熱を放っていた。実は次の神門も同じく、彼を復活させるのだけど、表現者たちのその弔いの仕方は、ただ自分たちの悲しみを表すだけではなく、見ている者全員の想いも汲み取ってしまえる大きなものであり、改めてすごいなと感じた。

正式な題名は知らないが、「銀河鉄道の夜 Part.2」が終わった時、横で見ていた女の子は目を真っ赤にし、後の方では大号泣が起きていた。

1.YouTubeを御覧の皆様へ
2.俺のがヤバイ
3.恩学
4.三文銭
5.銀河鉄道の夜 Part.2


【神門】 22:06〜22:36

昨年の2月に渋谷o-nestで行われたワンマン以来となる神門のライブ。CDリリースも間隔が空いていて、すでに懐かしさすら感じさせるのは、最近の日本のヒップホップは無料配信での曲発表という流行があり、次から次に新しいラッパーが登場しているからだろう。

出囃子はcannaというデュオの「風の向くまま」。彼らがデビューの翌年の1999年に5枚目のシングルとしてリリースし、オリコンシングルチャートでも最高位25位になった曲らしい。モロハ終了後にすぐにステージに立ったが、彼らが残していった余韻を払拭する狙いもあるのか、しばらく曲を流し、間を取った。

"半袖バイブスより不可思議/ワンダーボーイに愛を込めて"と始まり、1曲目は「J-Popより愛を込めて」。最近は明るい曲を作れているといいながら、9月リリースの4枚目のアルバムに収録されている「これでいいのだ」。

この日2.5Dに向かいながら聴き直していたのは神門の『』の2枚目のディスク『死終』で、その中でも「いのち」はすごく響くものがあり、これをやられたらイヤだなと思っていたのだけど、やっぱり披露されてしまった。1ヴァース目と最後のラインをアカペラでパフォーマンスし、そのまま次のアルバムに入っている曲へ。

新譜にも収録していない完全な新曲「満月」は観音クリエイションの手によるもの。先に天国に旅立った妻が残した夫を想う曲だ。

神門の不可思議/ワンダーボーイとの出会いは、まさに先月の18日。彼が神門のライブを見に行き知り合ったそうだ。神門は彼の作品をすでに聴いていたが、実際に会ってみたら思い描いていたイメージと違い、"ものすごいアホでバカで"、ふたりは同い年ということもあり、すぐにうち解け合い3時まで飲んだとのこと。

そしておもむろに、"もう止めたぁ世界征服止めた〜〜〜"とがなり始めた。やがてフロアも歌い始め、合唱に。そこから、まさかの「Pellicule」。トラックはまんまで。リリックはふたりの一度きりの邂逅を綴ったもの。"初対面でいきなしタイマンしようぜ 酔ってずっと死ね死ね死ね ただただ連呼 あの日撮った写メ全部笑ってる"。

ラッパーというのはすごいなと思った。吐き出す言葉の数十倍の意味をその言葉に乗せるのだから。音とフロウ、声音、言葉全てを駆使して、悲しみ喜び思い出悔しさを表現し、あの日をみんなに見せることができるのだ。

"こんな夜は泣き声よりも笑い声の方が天の川はるか向こう超えるから 明るく締めよう"と、お酒の歌だという「今から」で陽気に締めくくった。

1.J-Popより愛を込めて
2.これでいいのだ
3.いのち
4.?(新曲)
5.満月
6.Pellicule Remix
7.今から



ロウハイフー?のパラネルから挨拶。このイベントは本来8月に予定されていたものだったらしい。


【不可思議/wonderboy】 22:45〜23:17
トリはこの日の主役、不可思議/ワンダーボーイ。2011年5月22日に行われたロウハイフー?の設立5周年を祝うイベント「D.I.Y」でのステージが再放送された。

1.世界征服やめた
2.銀河鉄道の夜
3.生きる
4.所信表明演説
5.暗闇が欲しい
6.ポエトリーリーディングは鳴りやまないっ
7.Pellicule
8.いつか来るその日のために

不可思議/ワンダーボーイのライブをおそらく一番見ているだろうパラネルが一番良かったライブと太鼓判を押すのが、この5月22日に同じ「2.5D」で行われたステージだ。リリースライブでも不可思議/ワンダーボーイ自身が見に来てくれた片想いの子に向けて恥ずかしいぐらいにメッセージを発してしまったと話していた。

ステージの手前に映写機が備え付けられ、舞台後方の壁に在りしの日の勇姿が映し出された。"会いて〜 マジで"なんて言葉が飛ぶ。1曲終わるごとに盛大な拍手が起き、大事なところで噛んだりしたら笑いも漏れ、「所信表明演説」の最後には"よ!ワンちゃん"の声援も。前のめりのいいライブだった。

「暗闇が欲しい」の最後に、"別にさぁCD出してさ めちゃくちゃにもてたりしなくていいからさ 自分の好きな女の子ひとりを振り向かすことができるような 実力が欲しい"とドヤ顔を決めた時には、"ださい"の声が挙がり、大盛り上がった。

彼はライブで話すMCをきっちり考えてからステージに上がると前に話していた。その彼が、最終曲の前に話したのは、"いやホント未来のこととか全然分からないけどさ 未来のことが分からないからみんな頑張れるし これからも未来のことが分かりませんように"だった。

その「いつか来るその日のために」が終わるとワンちゃんコールが起きた。



最後パラネルがもう一度登壇し、7月7日を不可思議/ワンダーボーイの願いを叶える日と決めたと話した。今年はこのイベントを行い、来年は彼が作りたがっていたセカンドアルバムをリリースする予定だという。家族から譲り受けたパソコンデータに未発表曲は2曲しかなかったらしい。でも、アルバムには収録されず初回特典の形で限定された発表の仕方しかされなかった曲もあるし、素敵なリミックスも作られることだろう。来年が楽しみだ。

2011.07.07 Thursday 23:59 | 音楽 | comments(4) | trackbacks(0)
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2020.08.05 Wednesday 23:59 | - | - | -
コメント
克明に語ってくださってありがとうございます。
彼の愛されっぷりがまたいとおしいですw

わたしが不可思議を知った時には、もう彼は亡くなっていたけれど、いまも彼のアルバムを聴きながら信じられない思いでいっぱいです。

言葉の力 なんて意識していなかったけど、不可思議に出会ってからは言葉や人の力(…っていうとすごく使い古されてチープだけど)を感じます。
これからも彼の言葉がいろいろなひとに伝わることと、たくさんの表現者たちが自分の思いを発信し続けることを願います。
かわせみ | 2012.11.13 Tue 08:06
かわせみ様

こんにちは。
せっかくコメント頂いたのに返信遅れましてすみません。

> これからも彼の言葉がいろいろなひとに伝わることと、
> たくさんの表現者たちが自分の思いを発信し続けることを願います

本当にそうですよね。心の底からそう思います。

これまであるアーティストが亡くなり、死後その作品がリミックスされることに少し忌避感(商売っ気を感じたのでしょう)がありました。でも、彼の死の後は、そうしたリミックスは彼の言葉にさらなる息吹を与えるものなのだと思えるようになり、そうして彼の遺した言葉やフロウ、表現がいつまでも生き続けるなら本当に素晴らしいことだと思うようになりました。
gogonyanta | 2013.01.14 Mon 17:18
この人たちが作った歌は
とてもよかった歌だった、
some | 2013.01.17 Thu 19:23
some様

こんばんは。
コメントありがとうございます。

亡くなってしまったから過大に評価するというありがちなことはしたくないですが、まだまだ粗い面も含めてそれすらも魅力としてしまうアーティストでした。本当に残念です。
gogonyanta | 2013.01.18 Fri 00:36
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