72点/100点満点中
昨年日本でも大ヒットした『
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』の第2弾。監督は引き続きトッド・フィリップス。主要キャストも変わらず。製作費は倍増の8000万ドル。2011年公開作品。
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あれから2年、今度は歯科医ステュが結婚することに。式は花嫁の両親の出身地であるタイで上げることとなり、親友のフィルやタグ、それとタグの義弟で問題児アランも駆けつける。前回のこともあり、花嫁のまじめな弟テディも交え、今回の結婚式前夜は軽くビールだけを飲むことになったのだが、翌朝目覚めてみるとまたしてもひどい二日酔いで昨夜の記憶が吹っ飛んでいた・・・。
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アメリカでの成績は好調で、公開初日には
前作の1670万ドルの約2倍となる3160万ドルを稼ぎ出し、"実写コメディ及びR指定コメディ"としては最高の初日興行収入となる。金曜日から日曜日までの3日間(公開初週末)では、コメディ作品としては『ザ・シンプソンズ MOVIE』の7400万ドルを抜いて史上最高の8594万ドル。さらにR指定作品としては『マトリックス リローデッド』の9170万ドルに次ぐ史上2位を記録する。しかし、2週目末の興行収入は64%減となり、
前作のような伸びはないようだ。
なるほど。今作も笑える。米国の興行収益の動きを見ても分かるように、
前作のあまりの面白さに初日から足を運ぶ人が多かったのも頷ける。その期待には応えている。が、2週目での落ち込みからも察することができるように、クチコミで広がるほどではない。
舞台をハリウッドからタイに移し、行方不明者を親友で花婿のタグから花嫁の弟テディに変わるが、展開はほぼ
前作と一緒。シリーズ2作目というよりもリメイクだ。下ネタやブラックジョーク(タイの僧侶を笑いに使うのはさすがにいかがなものかと思うが、他国でも傍若無人なアメリカ人らしいといえば、それまでか)はさらに過激さを増してはいるものの、
前作がただのドタバタコメディとはひと味違い、高い評価にも繋がった点である緻密なミステリー仕立てという部分までが
前作をなぞっているのは疑問だ。
飛び級で大学に進み、医学を志しているという設定のテディや、
前作にも登場した中国系マフィア・チャウが、さらに映画をかき回してくれるのだが、やはり
前作と比べるとなると、本作は弱い。
前作ほどのテンションで泣き笑いしながら見られる場面があるとしたら、ラストシーンだろう。ギリギリで一行が駆けつけ、パーティが始まり、思わぬサプライズゲストも登場し、ヘッタクソな歌を披露。そしてテディがおもむろに懐から取り出すブツ。ヒャーとかウゲーとかいう悲鳴が挙がる中エンドクレジットが流れて終わる。そういえば、ピンポン球をプイって飛ばす芸をやはりタイの怪しげな夜のお店で見たことあるが、あれはあの国オリジナルなのだろうか。
悪くはないコメディ映画だ。ただ、
前作を本歌取りし、その差異をも楽しもうという笑いではなく、新展開で魅了して欲しかった。
日本では唯一六本木だけで公開された18禁バージョンを鑑賞したわけだけど、通常版を知らないので、その違いは不明。劇中でシーメールが登場し、局部をモロ出しするのだが、それを出すか隠すかの違いだったのだろうか。まあ見せたほうが如実で面白いのかもしれないが、わざわざ見るようなものでもない。
ウィキペディアを参照していて驚いたのは、レスリー・チャウを演じたケン・チョンの経歴。劇中のテディにそっくりだ。アメリカ生まれの韓国系米国人で、高校ではヴァイオリニストとしてオーケストラに参加し、その高校をわずか16で卒業。飛び級で大学に進学し医師となる。病院勤務するかたわら、スタンダップコメディアンとしてステージに立ち、次第に才能を開花させ、テレビや映画で活躍するようになったのだという。『
トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』にも出ていた。