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VA『Fat Bob's ORDER vol.2』

2010年12月リリースのコンピレーションアルバム。
/5点中

8月の『Vol.1』に続いて、名古屋のインディーズ・ヒップホップレーベルJET CITY PEOPLE(JCP)のコンピレーション集第2弾。お値段据え置きの千円。でも7曲入りから15曲入りへボリュームは2倍に。名古屋のレコード屋だけではなく、東京は恵比寿のヒップホップ専門店wenodにも置かれていたが、現在は売り切れ。

彼らのレーベル名は名古屋の偉大なロックバンドBLANKEY JET CITYから来ている。さらにいえば、歌詞を一手に担っていたボーカル浅井健一は、野性味溢れる魅力的な人々が自由に暮らすジェットシティという架空の都市を結果的に描いてみせたわけだが、呂布カルマや鷹の目たちはその住人であることを自負しているのだろう。

ブランキー・ジェット・シティが初めて出演したテレビ番組「三宅裕司のいかすバンド天国」で、彼らが果たした功績も呂布カルマたちがJCPを名乗る理由のひとつなのかもしれないと本作を聴いて思うのだ。

通称"イカ天"は80年代の終わりに放送されたアマチュアバンドのオーディション番組で、たまやTHE BEGINらをデビューさせた番組としても知られる。そうした実力派が出演する一方で、明らかにお笑いに走った色物バンドも多かった。というのも、三宅裕司が司会ということで、ただの音楽番組ではなく、素人バンドに笑いを求める側面があったからだ。巧いだけではなく様々なスタイルのバンドを出演させ、バンドブームを生み出しという意味ではいってみれば、生命の大実験場といわれるカンブリア紀のバンド版みたいなものでもあった。

ブランキーに話を戻せば、彼らが登場したのは番組の最後の方であり、ひと昔前のロックミュージシャンのようにリーゼントに決め、言葉少なに媚を売らず、生真面目に音楽だけを鳴らし、バカ騒ぎが加速する一方の番組に鮮烈な印象を与えた。おかしな格好、奇抜な歌い方や歌詞でもって見た目の派手さを競うバンドが多い中、明らかに異質だった。彼らが信じる真のロックを鳴らしていた。

そして、今の日本のヒップホップの状況だ。業界そのものは相変わらず再浮上を果たせないままでいるが、多種多様なスタイルが生まれてきている。さんピンCAMP後とも、「Grateful Days」直後のバブルとも違い、SEEDAが蒔いた種は確実に成長を続け、また、ネット環境が整備されたことで若い世代が次々に頭角を現している。その一方で、テレビに登場し、日本のヒップホップを定義付けているのは、女性歌手の脇で刺身のツマのごとく立っているラッパーやフロウという言葉の意味を知らない合唱型ラップを歌うグループたちだ。

多様性こそが進化の源ではあることは原則として理解できても、自分たちが憧れ、志したヒップホップとは異なる方向に進み始めている今の状況に苛立ちや憂いを覚え、本来ヒップホップが持っていた魅力を再び取り戻そうと考え、立ち上げたのがJCPというレーベルなのだろう。本作を聴いていると、そんな思いにとらわれる。


1曲目から太いビートにばんりの野心的なラップに引き込まれ、M2「HOT SEX」ではファーストソロアルバムを出したばかりのSOCKSが鷹の目の派手なビートの上でタイトかつ下世話なラップを乗せる。この2曲を聴いただけでも勝利を確信できる。そしてM3「恥知ラズ」の呂布カルマがダメ押し。後に彼のサードアルバム『STRONG』にも収録されたのは少し残念。ここだけで聴けるというありがたみが欲しい。4曲目はBB9からB-eatが成功に飢えたラップを響かせる。

どの曲のラップもレベルが高く、はっきりと分かる下手がいない。ROO-TIGERのいるAPPにしても、M5「APP ANTHEM」では音を厚くしているのに平坦に聴こえてしまうという意味では録音環境の限界を感じるが、ラップそのものは独自性がある。

M9「Me to ME」でのJEVAは『Vol.1』に引き続き、ここでもかっこいいラップで魅せる。呂布カルマにも似た声のすごみはかなり魅力だ。それでいて気持ちよく聴けるグルーヴがある。JCPの面々はニューハーフレコーディングで顕著なように、マイクリレーでの1ヴァースを任されると映える。だけど、ソロになるとその良さが曲の最後まで持たない。本作でも中盤でやや中だるみが見られるのはそういうことだろう。でも、道端ジェシカ好きのジェヴァは反対なのが面白い。数曲発表されている無料配信のマイクリレー参加曲では目立たないのは本当に不思議だ。まあ、2曲しかソロ曲を聴いたことがないので、即断もできないわけだけど。


フリースタイルバトル界の実力派K.Leeも加わり、公式SoundCloudの無料ダウンロード曲ではすでにお馴染みのLUCYがいるCROSS BORN VANGUARDの曲も収録され、また鷹の目のビートも鼻息荒く、前作よりもJCPというレーベルの色が強く押し出された作品になっている。かなり良い。


1.KARMA BRAIN / ばんり
2.HOT SEX / SOCKS from D.S.B
3.恥知ラズ / 呂布カルマ
4.現実逃避 / B-eat from BB9
5.APP ANTHEM / APP
6.傘がある / CROSS BORN VANGUARD
7.WHAT / Campanella from L.D.K
8.I NEED LOVE / BASE
9.Me to ME / JEVA from SEXY MOUNTAIN BLOW
10.jihad [ぼくたちの10年戦争remix] / CROSS BORN VANGUARD
11.ヤバいRAP / 呂布カルマ + Campanella
12.LOVE LETTER / Bravoo from BB9
13.名もなき詩 / CROSS BORN VANGUARD + ROO-TIGER from APP
14.Nostalgia / TOSHI from 現場叩き上げ
15.Runaway Train (Alcohol Boogie) / K.Lee from BB9

M3 produced by 蓮臥
M5 produced by KILL手順BEATS
M7 & M14 produced by Ramuza
それ以外のプロデュースは鷹の目
2011.10.11 Tuesday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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2020.09.09 Wednesday 23:59 | - | - | -
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