すばらしくてNICE CHOICE

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掌幻『瞬間CLIP』

2011年6月22日リリースのファーストアルバム。
/5点中

昨年のBBOY PARKのU20 MC BATTLEで準優勝に輝いた若手MC(ちなみに優勝は孔雀の菊丸)。1989年東京は墨田区生まれの墨田区育ち。基本は手売りのようだが、渋谷BOOT STREETにはなかったのになぜか渋谷DISK UNIONに在庫があった。

手に取ったきっかけは7月の初旬に彼が48時間限定で無料配信した「どうしちゃったんすか!?」だった。先のMCバトルではそれほど印象に残らなかったわけだけど、この曲では彼が愛読していた漫画『ろくでなしBLUES』が改悪に近い形でドラマ化されることに憤り、作品への思いの丈と不満疑問を爆発させていて好感が持てた(まあ、その漫画に関しては私は特にアレだけど。でもチラッとドラマを見たけれど確かに酷かった)。そのことをTwitterで呟いたら、出たばかりのアルバムもよろしくと返事があり気に留めていたら、偶然並んでいたので購入。千円というのもありがたい。

悪くはない作品だと思う。無駄に力んでかっこつけたり、よくあるヒップホップイディオムに逃げたりしていないし、日本語のイントネーションを大事にしているので歌詞カードがなくても聴き取りやすい。押韻を疎かにしないし囚われすぎでもない。フロウは幅があるし、歌メロを取り入れたフックもありポップな路線を恐れていないのは好印象だ。沈鬱なメロディにストリングスをかぶせるM3「雨が降る」は良かった。実際のクラブの現状は知らないが、インターネットで配信されている分を聴く限りでは若手ラッパーは続々と誕生している。その中でも彼の資質は平均以上だろう。

惜しむらくは突出したものがないことか。表題曲となる1曲目のフックで彼はこんなラップをする。"伝えたい想い 腐るほどある"。そして、"瞬間瞬間 瞬間を描写 瞬間瞬間 瞬間の感情にフォーカス"していくことを宣言。そうして言葉にされた感情は満たされない想いだったり、劣等感、自画自賛、引きずる恋心、あるいは今の生活や幼い頃の思い出だったりする。しかし、それはどこにでもあることで彼にしか出てこない言葉ではない。M8「990 〜HARUKA〜」で歌われるのは大病を患う年の離れた妹への想いなわけだけど、その気持ちは理解できてもどこかよくあるテレビドラマ的なのだ。

表現力が足りない。せっかく日本語でラップしているわけで、ありきたりな物語を思い起こさせ、ああいう感じねと終わらせてしまうのではなく、ハッとさせられるフレーズで思わず引き込まれてしまうラップが聴きたい。フリーダウンロードだった「どうしちゃったすか!?」にはその強度があった。

そうはいっても全12曲をほぼひとり(最後に女性歌手の客演曲がある)で作り上げたわけだ。それは本当にすごいことだ。全トラックを手掛けたYue Cueもまた地元の仲間らしい。最近よくあるタイプのトラックだが、ラップと同じように突出した個性はないものの、バラエティに富んだトラックを用意したわけで、こちらも評価されてしかるべきだろう。

上がブレイクせずかなり詰まり始めている国産ヒップホップ界ではあるが、こうして若い才能が次々に頭角を現し始めているのは健全だし、希望が持てる。
2011.11.07 Monday 23:59 | 音楽 | comments(0) | trackbacks(0)
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2017.11.16 Thursday 23:59 | - | - | -
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