すばらしくてNICE CHOICE

暇な時に、
本・音楽・漫画・映画の
勝手な感想を書いていきます。
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書籍(2月分)
米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』

読了 2012.02.07
☆☆☆☆/5点中

これは面白い。昨年ようやく米澤の『ボルトネック』と出会った3、青春ミステリが好物なのに今さらという感がぷんぷんするのだけど、今になってお宝を発見し読むことのできる作品がまだまだたんまりあるというのは幸せなことだ。ただ、シリーズ物が多いので、古本屋の百円棚を中心に渉猟している身には順番通りに入手できず積読状態が高くなりつつあるのが残念。

それはともかく本作は魅力的だ。お嬢様方が集う大学の読書サークル"バベルの会"がどこかしらに登場する連作短編集であり、切り口が少しずつ異なりながらも、どの1編も丁寧に紡がれた文章で伏線もしっかり張られ、こう来るのかというオチが待ち受ける。「玉野五十鈴の誉れ」と表題作が特に良い。


中山七里『おやすみラフマニノフ』

読了 2012.02.09
☆☆☆/5点中

2010年の第8回「このミステリーがすごい!」大賞で大賞に輝いた筆者の第2弾。1作目の『さよならドビュッシー』と同じようにピアニストの岬洋介が謎を解き明かす役を担う。前作はピアノ奏者を主人公にしたが、本作は音大に通うヴァイオリニスト視点となる。冒頭に前作の主人公がちらりと出てくるなど、同賞出身で一番大きくブレイクした医療ミステリ『チーム・バチスタの栄光』シリーズの前例に倣ったようだ。そういえば受賞作はどちらも黄色を基調にしていた。

音楽ミステリとなるが、まあ「チーム・バチスタ」シリーズもそうだけど、ミステリとしては弱く(推理小説を読んでいても犯人捜しをしないし、流れるままに読み進める私でも今回は序盤で犯人この人でしょと分かるほど)、学生たちが将来について悩む青春小説としての色合いが強い。文章自体はまだ不安定さを残すし、物語の作りもいささか不恰好な嫌いはあるものの、演奏シーンの熱い書き込みが帳消しにする。映画化も面白そうだ。


東山彰良『ライフ・ゴーズ・オン』

読了 2012.02.15
☆☆☆☆/5点中

『ジョニー・ザ・ラビット』以来読んでいなかったので、久し振りの東山作品。やっぱりこの人の書く文章は好きだ。本書と同じ出版社から上梓していた『ジョニー・ザ・ラビット』は、双葉社からの発表ということもあるのか、ウサギを主人公にしたユニークなハードボイルドで、実験的な設定でも面白く書けるものなんだなと感心していたが、その翌年に発表された本作はこれまでの真正ヴァイオレンス路線とは違い、真っ当な青春小説になっていてさらに驚かされた。しかも、ホールデン・コールフィールドの系譜に連なりそうな少年期から青年期にかけての思春期の懊悩を描いたものになっている。『ライ麦畑でつかまえて』を例えに出したけれど、実際に読んだのは20年も前の話でよく覚えていないし、その影響下にあるといわれる作品を読んだ時の印象との比較でしかなく、非常に危いが。

大田区平和島に生まれ育った少年・雅治は、すぐに暴力を振い、昼間から寝転がっている父親とお花畑が頭に広がる母親との間に生まれた3人兄妹の次男坊として、まるでゲトーのような環境の中を自分だけがまともだと自覚し、あるいはそう思い込ませながら成長していく。

何が良いとはっきり書けないのだけど、少年の目を通した景色はとてもクリアで、自分がその世界にはまり込んでいるような感覚すら抱く。決して幸せな話ではないし、厳しい環境でのサバイバルでもあり、この界隈で育ちたくはないなと思うが、そこで健気に生きる雅治から片時も離れなくないと思うほど魅力的な世界であることも事実で、最後のページが来ることが悲しかった。雅治に幸あれ。


伊坂幸太郎『オー!ファーザー』

読了 2012.02.25
☆☆/5点中

伊坂幸太郎といえば、00年代では一番ぐらいに好きな作家で出る作品のほとんどが当たりという驚異の打率を誇ったのだけど、最近はちょっと離れていて久し振りに読んだ。なのだけど、どうにもページをめくる手が遅い。端的にいえば面白くない。ユーモアあふれる会話文に、巧みな伏線が売りだったのにどれももたつく。帯にある"「えっ、これも伏線だったの?」と、すべてが繋がる技の冴え。"は本書に贈る言葉ではない。あとがきを読むと2006年3月から翌年12月まで新聞連載されたものを2010年に上梓したとのことで、時期的には面白いはずだし、ひとりの母親に4人の夫がいて、その高校生の息子を主人公に共同生活を送るという設定は悪くなく、キャラクターも立っているのに、最後まで物語が弾まなかった。
2012.02.29 Wednesday 23:58 | | comments(0) | trackbacks(0)
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2017.07.26 Wednesday 23:58 | - | - | -
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