すばらしくてNICE CHOICE

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マージン・コール / Margin Call

86点/100点満点中

2011年製作の経済ドラマ。ケヴィン・スペイシーやデミ・ムーア、ポール・ベタニー、2009年の劇場版『スター・トレック』でスポックを演じたザカリー・クイント、大ヒットドラマ「ゴシップ・ガール」のダン役でも活躍するペン・バッジリー等が出演。今年の第84回アカデミー賞オリジナル脚本賞の候補になっている。製作費350万ドル。DVDスルー作。

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大がかりなリストラが断行された大手投資銀行。ピーターとセスの直接の上司エリックも首を切られ、即日会社からの退去が求められ、荷物をまとめ出口へと向かうところで、ふたりが彼にそれまでの感謝を述べるが、エリックはその言葉をやんわりと断り、自分がやり遂げられなかった仕事だとメモリディスクをピーターに渡す。その夜ピーターは会社にひとり残り、そのデータを分析すると深刻な事実が判明する。
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ピーター役のザカリー・クイントが仲間ふたりと起こした"Before the Door Pictures"が制作した作品であり、インディペンデント映画となる。そのためか製作費はわずか350万ドルと少ないが出演陣が異様に豪華でしかも実力派揃い。DVDスルー作品はたいてい外れるが、本作はどうして劇場で公開しなかったのか不思議に思えるほどの出来栄えだ。

リーマン・ブラザーズをモデルに、2007年の世界金融危機が起きる直前(前日)の経営トップの行動や心理を入社まもないアナリストたちの視点を中心にして描く群像劇。題名の"マージン・コール"の意味すら知らず、経済音痴な私でも何か不穏なことが起きていると分かる序盤からグイグイと引き込まれていく。

エリック(演じるのは『ラブリーボーン』でアカデミー助演男優賞候補にもなったスタンリー・トゥッチ)から渡されたデータをピーターが解析し、新たに数値を加え明らかにした新事実に、まず上司のウィル(ポール・ペタニー)を呼び出し、ウィルはさらに上役で帰宅途中のサム(ケヴィン・スペイシー)を呼び戻し、サムは事態の重要性を即座に理解し、部長のジャレッド(サイモン・ベイカー)と危機管理部門のトップのサラ(デミ・ムーア)を招集。最後にはCEOのジョン(トニー賞・アカデミー賞・エミー賞の3冠受賞者ジェレミー・アイアンズ)もヘリコプターで慌てて駆けつける。

下っ端にとって雲上人ともいえる経営トップのジョンの前でピーターが説明する段になって初めて見ている側にも会社が直面している危機が具体的にどういうことなのか明かされる。そこまでで始まってから40分ほどが過ぎている(上映時間は109分)。とにかく専門用語への説明が極力省かれている。それはその場にいる人間なら当然知っている言葉のはずであり、素人にも分かりやすいように説明がなされては緊迫感が薄れるのは必然で、それを避けるためだろう。ドキュメンタリーにも似ている撮り方のために、カメラの前を平気で人が通ることもあり、一瞬画面が暗転する箇所があったりもする。そのために自分がその場に放り込まれ、溺れかかっている船で右往左往する気分を疑似体験している気にすらなる。

市場が開くまでの数時間。事態を把握し、会社の意志をまとめ、戦略を練り、破綻しないために何をなすべきかという時間との戦いが描かれていく。一方では自分だけが貧乏くじを引かないよう仲間同士で熾烈な駆け引きもあり、また会社人間としては優秀だろうが、一般常識からはどこかずれている高額所得者たちの姿がユーモアをもって描写される。彼らの選択がいまだ経済に与えている影響を考えると色々思うところもあるが、声高に糾弾するのではなく、何が起きたのかどう行動し、何を思ったのか、実際のところは別にしてリアルに映し出したところに本作の面白さがある。


セス役のベン・バッジリーはアッパーイーストサイドで暮らす上流階級の坊ちゃん嬢ちゃんが通う高校を舞台にしたテレビドラマ「ゴシップ・ガール」シリーズでひとりブルックリンから通うダンを演じているのだけど、本作ではその彼に向かって、上司のウィルが"I hate Brooklyn(翻訳はブルックリンかよ)"と吐き捨てるシーンがあり、面白い。
2012.02.16 Thursday 23:58 | 映画 | comments(0) | trackbacks(0)
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2019.08.20 Tuesday 23:58 | - | - | -
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